業務フローとは。実務に役立つ業務フローのメリットや書き方を解説

業務フローとは。実務に役立つ業務フローのメリットや書き方を解説

ENGINEER.CLUB編集部

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IT業界の現場は、プロジェクト規模が大きくなればなるほど多数の人と関わり合いながら業務を行います。多くの人に作業内容をスムーズに伝達し、安定した業務を行うためには業務フローは重要です。

業務フローはプロジェクト管理やシステム開発、日々の運用管理等などを行うために必要不可欠なツールのため、見方や作成方法を学ぶことによって自身の業務の幅を広げることに繋がります。


1.業務フローとは

作業の実際の手順や、工程を整理したものが業務フローと呼ばれ、仕事を円滑に行う上で欠かせないものとされています。業務フローを可視化し、共有しやすくするためのものが業務フロー図となります。

IT業界で行う業務は手順や工程が複雑になる事が多く、次に何をするべきか、誰に業務を依頼したり情報共有したりするか等、作業する人が業務の流れを把握している必要があります。業務フロー図を作成することで全体像が理解しやすくなるため、マニュアルや新人研修として使う際に利用されています。

また、業務フロー図と似たものに「データフロー図」というものがあります。どちらもフローを示した図で、視覚的に理解しやすくする為のものですが、目的と示す対象が異なります。

フロー図目的利用方法
業務フロー図具体的な業務プロセスや手順を視覚的に示す。ヘルプデスク対応や顧客注文処理など、ある程度処理内容が固定化している仕事を整理、最適化する。
データフロー図システム内のデータの流れや処理を視覚的に示す。システム内の処理を整理することでデータの管理を整理、最適化する。

本記事は業務フロー図について説明いたしますが、業務フロー図もデータフロー図も作成時の考え方はほぼ同じです。データフロー図を作成する際の参考にもなりますので是非ご一読ください。


2.業務フロー図を作成することはメリットが大きい

業務フロー図を用意することは安定したプロジェクトの進行には不可欠で、その最大のメリットは業務の可視化が行えることです。可視化することによって多くのメリットが生まれます。

2-1.業務内容を共有しやすくなる

業務フロー図は決まった記号や図を用いて作成されます。そのため、一度読み方を覚えてしまえば誰でも作業の流れを理解することができます。そのため、業務フローがあれば異動してきた人や、新入社員が入社してきた場合でも情報共有をスムーズに行う事が出来ます。

2-2.作業漏れなどの単純ミスを防げる

業務フロー図を用意し、作業の流れが可視化されることによって今は何の作業を行っているか、次に何をすれば良いかを理解することができます。流れを把握することで手順漏れを防ぐことができ、またミスが発生しやすいポイントなどはミスの有無を確認するプロセスを追加することで業務の改善を行う事が可能です。

2-3.業務の課題や例外パターンを洗い出せる

業務フロー図を作成する際には行うべき作業を全て洗い出す必要があります。業務を洗い出しすることによって不要な作業を発見する、順番を変更することで手間を減らすなどを行う事が可能となり、業務効率を向上することができます。


3.業務フロー図の書き方

業務フロー図の例としてヘルプデスクでユーザーからの問い合わせを受け付け、回答を行うフロー図を用意しました。こちらの図ではヘルプデスクで受け付けた後、問合せ管理システムに記録してシステム管理者と連携して回答を行うまでのフローを記載しております。横軸に登場人物を並べ、上から下に流れるようにフロー図を作成することで、いつ誰が、どのような順番で業務を行うのかを表しています。

フロー図

業務フロー図を作成する際にはいくつか気を付けなければならないことがあります。

3-1.作る目的を明確化する

業務フロー図を作成するとき、目的を明確化する必要があります。明確になっていないままに作成してしまうと、目的を達成するために必要な内容がおろそかになってしまいます。例として、作業の流れを指し示したいものであれば、あまり細かな作業を記述する必要はありません。業務のミスを防ぐために作成するものであれば詳細な手順を記載し、確認する工程を含めることでより目的に沿った業務フロー図となります。

3-2.誰が、いつ、どんな時に、どのような作業を行うか整理する

業務フロー図は「誰が」「いつ」「どんな時に」「どのような作業を行う」を整理して作成する必要があります。書き方としては、作業内容を上から下、もしくは左から右へ流れるように表現し、順番を矢印線で示すことが多いです。一つの軸に登場人物を表し、もう片方の軸に時間の流れを記載して業務の流れを一目でわかるように記載することが多いです。

3-3.記号を活用する

業務フロー図で使用する記号はJIS規格で定められており、その中でも頻度の高い記号を説明します。これらの記号だけで実用性のある業務フロー図が作成できるため、是非覚えておきましょう。

名称記号説明
矢印線矢印線各記号を結ぶことで、処理の流れを表します。
開始・終了開始・終了端子とも呼び、業務フローの開始と終了を表します。
開始時は最初の起点となる作業内容を記載し、終了時は最後の状態を記載します。
処理・プロセス処理・プロセス実施すべき業務内容を簡潔に記載することで作業内容を表します。
判断・条件分岐判断・条件分岐判断、もしくは条件によって以後の作業内容が変化する際に使用します。図形から延びる矢印線には「yes/no」といった判断基準を記述します
システム、データベースシステム、データベースシステムやデータベースに入出力を行う際に使用します。
書類書類書類やドキュメントといった、紙媒体を利用する際に使用します。

4.業務フロー図を分かりやすく作成するためのポイント

誰が見ても理解しやすい業務フローを作成するためのポイントは以下の通りです。

4-1.図形の種類はなるべく少なく

図形の形はあくまでも例であり、重要なことではありません。定義に沿って細かく分類するよりも、わかりやすく記載することを心がけることが重要です。「誰が」「いつ」「どんな時に」「どのような作業を行う」の観点が重要であり、開始・終了、処理、判断の図形の3つがあればこれらを満たすことができます。

4-2.時系列順に並べる

上から下、もしくは左から右に読むと作業順になる様に記載しましょう。条件で処理が分岐した場合でも、なるべくこの流れは変えないことが重要です。時系列に混乱が発生すると、業務の全体的な流れを直感的に理解しづらくなります。

4-3.判断するための条件を明確にする

判断・条件分岐の場合は、必ずyes/noもしくは真/偽の形で判断できるように記載しましょう。分岐の条件がはっきりしないと、処理を行う際にどちらに進めばよいか判らなくなってしまいます。

4-4.必ずしも詳細に記載することが政界ではない。

業務フロー図は業務の全体像を把握することが目的となります。処理を細かく区切ってしまうと、フロー図の記述量が膨大になってしまい、内容が理解しづらくなってしまいます。細かい作業は別に手順書や別のフロー図を用意することによって補完する形にしましょう。一つのフロー図の分量としてはA34用紙1枚に収まる程度の分量が適当です。


5.業務フロー図を使用する上での注意点

業務フロー図は作成すれば完了というものでもありません。実際に運用を行って、問題点や本来必要のない作業が見つかった場合は適宜修正をして、より良い業務フロー図にメンテナンスし続けることが大切です。


6.業務フロー図作成ツール3

業務フローを作成する場合にはツールを使用するのが良いでしょう。業務で利用しやすい、もしくは触れる機会の多いツールを以下にご紹介します。

・Excel / PowerPoint

ExcelやPowerPointでも十分にフローチャートを作成することが可能です。Office製品に触れる機会は多いと思いますので、まずはこちらで簡単なものを作成するのが良いでしょう。

・VISIO

こちらもマイクロソフトの製品のため、実際の業務環境で利用できる場合も多いかと思われます。VISIOは図形作成の専門ツールのため、複雑なフロー図を作成するための機能を備えています。テンプレートも多く用意されている他、リアルタイムでの共同編集も行えるため、チームで大量のフロー図を作成する際に強力なツールとなります。

・Google Drawings

Google社が提供している無料業務フロー図作成ツールです。こちらで作成したフローチャートはGoogle Driveに保存されるため、他のデバイスからのアクセスが容易です。Googleアカウントを用意する必要がありますが、外部への公開が容易なメリットもあるため用途に応じてこちらを利用するのも良いでしょう。


7.まとめ

業務フロー図は人によっては軽視されることもありますが、業務の流れを可視化し、全体像を把握するために必要な作業となります。作成することで、課題の発見や新システム導入後の共有に役立ち、多くの人にわかりやすく伝えることで、効果的な業務改善や手戻りの削減が期待できます。

優れた業務フロー図は作業効率に大幅な改善を見込むことができます。書き方を理解し、作成することによってプロジェクトの発展に寄与することができます。また、業務フローはシステムの最上流工程である要件定義でも非常に重要となっており、頭の中に業務フロー図が入っているかどうかで成果が全く変わってきます。業務フローの考え方は上流工程へのステップアップに必要なスキルとなります。覚えることで必ず業務の役に立つでしょう。

 

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