メーカー系SIerという働き方 ~特徴を理解し適性を見極めよう~

メーカー系SIerという働き方 ~特徴を理解し適性を見極めよう~

あべとも

あべとも

インフラエンジニア/運用設計/ボールド歴8年

就職活動始めたてでIT企業について調べ始めたときに、ニュース等ではあまり見ることも耳にすることがない、とある単語に気がつくことはないでしょうか?「メーカー系SIer」です。「SIerって会社名なの?」、「どんな仕事をしているの?」と、みなさんが疑問に思うのも無理はありません。

SIer(エスアイアー)」とは、顧客先企業にコンピュータシステムを提供する企業のことであり、日本国内でしか通用しない、日本独自のIT用語なのです。「メーカー系SIer」とは、そんな「SIer」の分類のひとつです。

本記事では、就活始めたての学生のみなさんを主な対象として、メーカー系SIerの特徴やメーカー系SIerを就職先として考えた場合のメリットとデメリット、メーカー系SIerに向いているタイプ等について、わかりやすく紹介していきます。「メーカー系SIerって就職先としてどうなのかな?」と迷うみなさんにとって、本記事がひとつの道標(みちしるべ)になることを願いつつ、まずは「メーカー系SIerってナニ?」という素朴な疑問から解消していきましょう。

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1.「メーカー系SIer」の3つの特徴

メーカー系SIerの大きな特徴としては、主に以下の3つをあげることができます。

(1) 大手コンピュータメーカーが親会社

メーカー系SIerとは、パソコンやサーバー等を製造しているハードウェアメーカーから独立したSIerです。「メーカー系」と呼ばれるのも、その成り立ちからです。メーカー系SIerの多くは、会社名の先頭に親会社の名前が付くので、分類的にわかりやすいですね。たとえば、日立システムズや富士通エフサス、NECネッツエスアイ等は、すべてメーカー系SIerに分類される企業です。

また、これはメーカー系SIerに限った特徴であると言えますが、親会社のIT部門も「メーカー系SIer」に分類されることがあります。たとえば、5章でご紹介する「メーカー系SIer就職先人気ランキング」では、日立メーカー系SIerである「日立システムズ」と親会社の「日立製作所」の両方がランキングされていたりします。

主要なメーカー系SIerの一例

(2) 親会社からの受注プロジェクトが多め

メーカー系SIerが取り扱うシステムは、親会社が受注してきたものの下請けが多めです。メーカー系SIerが開発母体となり、親会社は顧客先企業とのハブ的な役割として、営業とプロジェクト管理(PMO)のみ絡む形です。それ故に、システムで使用するハードウェア機器やソフトウェアは、親会社や関連企業の製品を使用することが基本原則です。もちろん、メーカー系SIerが取り扱うシステムのすべてが、親会社経由というわけではありません。大手コンピュータメーカーが親会社であるという強みを活かして、有名企業の大規模システムも数多く担当しています。

(3) 上流工程を担当することが多い

メーカー系SIerに限らずSIerの多くは、受注した顧客先企業のコンピュータシステムをワンストップで(要件定義から保守運用まで)提供します。とはいえ、作業工程のすべてを自社内のみで賄うわけではありません。主に要件定義や基本設計といった上流工程のみを担当し、以降の工程は外部委託する形式が多いと言えるでしょう。ただ、これについてはメーカー系SIerに限ったことではなく、他のSIerでも多く見られる特徴です。

また、組織構成によっては、ひとつのSIerの中で上流工程を担当する部署と開発、テスト工程を担当する部署が分かれており、複数の部署が合同でひとつのシステムに携わることもあります。さらには、ひとつのシステムの全体管理と上流工程をメーカー系SIerが担当し、以降の下位工程を独立系SIerに外部委託するというプロジェクトも珍しくありません。


2.「メーカー系SIer」に就職できてラッキー♪その3大メリットとは

メーカー系SIerは、大手コンピュータメーカーである親会社がバックボーンであるため、晴れて就職できた際には様々なメリットがあります。本章では、メーカー系SIerに就職した際の大きなメリットを3つ解説していきます。

2-1.知名度が高い安心感

何といっても大きなメリットは、まずこれです。

メーカー系SIerは、IT業界の中ではどこも名だたる大手企業ばかりですが、社会的な認知度としてはあまり高いとは言えません。とはいえ、メーカー系SIerには、ほぼ必ず親会社である大手コンピュータメーカーの冠が付きます。(前章「表11.」参照)誰もが一度は耳にしたことがある有名企業の名前が冠で付くのですから、「SIerってどんな仕事をするの?」と心配する親御さんもひと安心です。

ちなみに、筆者が新卒で入社した会社も中規模のメーカー系SIerでした。両親に就職先を報告する際にも、「あの〇〇系の子会社ね」とスムーズに納得してもらえました。

2-2.安定度バツグン

メーカー系SIerは、大手コンピュータメーカーである親会社がバックボーンであるため、経営上の安定度はバツグンです。また、大手コンピュータメーカーの系列であるという強みにより、福利厚生の充実度の高さや、給与体系についても安定していると言えるでしょう。自社の経営が安定していれば、そこで働く社員は余計な心配をすることなく、自分の仕事に邁進することができます。

参考資料として、主要なメーカー系SIerの平均年齢と平均勤続年数の一覧を下表に示します。IT業界全体の平均年齢は「40.3歳」と言われていますので、メーカー系SIerは経営が安定しているからこそ、社員が長く勤めることができる証左と言えるでしょう。

主要なメーカー計SIerの平均年齢・平均勤続年数

2-3.大規模プロジェクトで社会貢献ができる

また、メーカー系SIerが携わるシステムは、社会的にも大規模でかつビッグネームなプロジェクトが多く、社会に貢献している!という実感を得ることができます。たとえば、国家的なプロジェクトだったり、TV-CMでよく見かける大企業のシステム、システム障害が即トップニュースになってしまう社会インフラの基幹システムを担当することも珍しい話ではありません。

特化した業種においては、ユーザー系SIerにも同じメリットがありますが、業種の縛りが無い分メーカー系SIerの方が、広く大規模なプロジェクトに関わる機会が多いと言えるでしょう。


3.「メーカー系SIer」に就職した際の3つのデメリット

メーカー系SIerの良いところばかりを持ち上げるつもりはありません。前章であげた大きなメリットがある反面、メーカー系だからこそのデメリットがあることもまた事実です。本章では、メーカー系SIerに就職した際のデメリットについても、3つ解説していきます。

3-1.親会社の意向には逆らえない

大手コンピュータメーカーが親会社であるということは、メーカー系SIer最大のメリットでもあり、またデメリットであるとも言えるでしょう。親会社の意向に逆らうことはできません。

たとえば、筆者が新卒で入社した某メーカー系SIerを例にあげてみましょう。その会社は、創業当初は独立系ソフトウェアハウスでしたが、某大手メーカーとの合併によりメーカー系SIerとなり、数年前親会社の大規模な再編成により、現在では名前のカケラも残っていません。このようなことは、親会社を持つメーカー系SIerでは決して珍しい話ではありません。

3-2.出世スピードは遅め

2章のメリットの面でも解説しましたが、メーカー系SIerで働く社員は、経営的な心配をすることなく仕事に邁進できるため、勤続年数も長くなり平均年齢も高めになる傾向があります。そのため、出世スピードは遅めであると言えるでしょう。勤続年数が長いということは、つまり上のポジションがなかなか空かないということです。

3-3.プログラミングスキルは身につきにくい

「身につかない」と断言はしませんが、そもそもメーカー系SIerは、プログラミングスキルを始めとした技術的なスキルは身につきにくい環境であると言えるでしょう。その理由は、12.の③で前述したとおり、メーカー系SIerを始めとするSIerで働く社員は、上流工程を担当することが多いからです。それは、新卒入社の社員でも変わりません。新人からいきなり顧客調整や下流工程を担当するベテランSEとの仕様調整等をしなければいけないため、どちらかといえばコミュニケーション能力や調整力、仕様を読み解く理解力を必要とされます。

これについては、ユーザー系SIerや独立系SIerも同じような傾向がありますが、その中でも、独立系SIerは、担当する工程の幅が広い分、SIerの中では比較的プログラミングスキル等を身につける機会が多いと言えます。独立系SIerの特徴等については、本サイトの以下の関連記事がありますので、ぜひ比較してみてください。

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4.就職先として「メーカー系SIer」を考えた場合の向き・不向き~こんな人はメーカー系SIer向き~

本章では、こんなタイプの人は「メーカー系SIer」のエンジニアに向いていますよ、という個人的な見解をご紹介します。個人的とはいえ、IT業界歴30年以上の筆者が、「メーカー系SIer」のエンジニアと一緒に仕事をしてきた経験則をベースにしていますので、それほど的外れではないはずです(笑)。

4-1.好きなパソコンメーカーがある人

たとえば富士通のパソコンが好き、NECPC-98シリーズの時代からパソコンを使っていた等の特定のこだわりがある人は、好きなメーカーのSIer向きであると言えます。

自分の好きなメーカーのパソコンやサーバーを思う存分使って仕事ができる嬉しさがありますし、場合によっては、好きなメーカーのパソコンやサーバーの基幹システムに関われるチャンスがあるかもしれません。きっと、モチベーション高く夢を持って仕事ができるのではないでしょうか。

4-2.質実堅実に仕事がしたい人

安定度という点では、メーカー系SIerはバツグンです。親会社の経営方針の転換等による、子会社同士の吸収合併等の可能性はあるものの、大手ゆえに企業母体自体が消失するような事態はそうそう起こりません。

老舗にありがちな多少の窮屈さには目をつぶっても、質実堅実を第一に働きたい人には、メーカー系SIerが向いていると言えるでしょう。

4-3.ビッグプロジェクトに関わりたい人

社会的なビッグプロジェクトに数多く参加して、社会の役に立っている実感を感じたいという人は、メーカー系SIerに向いています。理由は、23.のメリットでも前述したとおりです。

発生した障害が即ニュースに流れる等のビッグプロジェクトならではの苦労もありますが、だからこその大きなやりがいと共に、社会を動かしているという自負を持って仕事に取り組むことができるでしょう。そんな厳しい環境に身を置いて、自分を大きく成長させたいと意欲に燃える人は、メーカー系SIerに向いています。


5.「メーカー系SIer」就職先人気企業ランキング

さいごに、メーカー系SIerの就職先人気企業ランキングのTOP10をご紹介します。最終判断はご自分の意思が第一ですが、参考資料のひとつとしてみなさんの判断の一助になれば幸いです。

就職先人気ランキングトップ10

【参考】
  調査主体:楽天みん就
  企画協力:日経コンピュータ
  調査期間:2021年4月8日~2022年3月25日
  調査対象:2023年卒業予定登録学生のみん就会員
  有効回答人数:2332人
 ※上記調査結果を元に、筆者がメーカー系SIerのみピックアップ


6.さいごに

メーカー系SIerについて、就活始めたてのみなさんに興味を持ってもらえるように、わかりやすく解説してきたつもりですが、いかがでしたか? 本記事を読む前に比べてメーカー系SIerへの理解が深まり、ITエンジニアに対して少しでも良い印象を持ってもらえたら嬉しいです。

IT業界でどんな働き方をしたいのかは、人それぞれです。正解は人の数だけ存在するといっても過言ではありません。だからこそ、自分のやりたいことや働く条件と真摯に向き合い、自分に合った企業を選択していただければと思います。

さいごに、本サイトの中からみなさんのこれからの就活の助けになるような記事をいくつかご紹介します。どれも弊社ライターの力作ばかりですので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

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本サイトの記事が、みなさんの不安を少しでも軽くできたら、こんなに嬉しいことはありません。

実り多い就職活動となりますように、陰ながら応援しています。

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