
プログラミングに数学は必要?数学ができると有利な分野について解説
昨今IT技術の目まぐるしい進化を目の当たりにして、プログラミングに興味を持った方も多いのではないでしょうか。しかし、プログラミングと聞くとどうしても理系のイメージが頭に浮かんで、数学が苦手な方はいまいちプログラミングの勉強に消極的になってしまっていませんか。そこで今回は、果たしてプログラミングに数学の知識は必要なのかを検証し、プログラミングに本当に必要なスキルをお教えします!
目次
1.プログラミングに数学は必要?
結論から申し上げると、数学が絡むようなプログラミングでない限り、プログラミングに数学の知識は必要ありません。三角関数、フーリエ変換や指数関数のような高校・大学レベルの数学は要求されず、足し算・引き算・掛け算・割り算の四則演算さえできればプログラミングに支障はありません。
一般的なウェブアプリケーションをプログラムする際は、数学を意識することはないです。データベースからデータを検索し、その結果を画面に表示させたり、ウェブサービスのユーザーのログイン機能や掲示板を作るという作業には数学は関係してこないのです。これらは一般的なプログラマーの業務のため、上記の作業を業務とする企業に就職する場合は、数学が苦手でもあまり心配する必要はないです。もしどうしても気になるようでしたら就職後、業務で苦手な数学を頻繁に使わなければならず、周りについていけなくて苦痛を感じるようになってしまうといったミスマッチを防ぐためにも、面接の際に質問してみたり会社に直接問い合わせてみるなどしてみるといいでしょう。
2.そうはいっても数学ができると有利な分野もあり
上記のように一般的なプログラミングは数学ができなくても可能ですが、数学の高度な知識を持っていた方が有利な分野もがあるのも確かです。それらを具体的に見ていきましょう。
2-1.ゲームプログラミング
ゲームの開発を目指している方は数学を勉強する必要があります。スマホアプリのような2D系のゲームはそうでもないのですが、据え置きの3D系のゲームなどを開発したい場合、高度な数学の知識が要求されるのです。ゲームプログラミングでは、物の動きを現実に近づけるために物理演算を使用したり、3Dフィールドの構築に高度な数学理論を用います。最近のゲームは日に日に高度化しているため、例えば人がジャンプした時の動きや、物を投げた時の物の動き方などをプログラムでよりリアルに再現するには高度な計算が必要とされます。
関連記事2-2.AI(人工知能)
自動運転や画像認識など近年その目ざましい進化が注目されているAIの分野でも、システム構築や実装をプログラムする場合、数学の知識があると有利になります。AIは大量のデータを取り扱わなければならず、微分・積分のような高校・大学レベルの高度な数学知識が必要です。理系の大学で数学をしっかり勉強してきた人の方が理解が早く、数学が苦手な人にとっては厳しい分野です。自分の研究したい分野がAIの場合、数学を勉強しておいた方がいいでしょう。
2-3.統計処理
マーケティングなどのビジネスの分野で頻繁に使用される統計処理も、「統計学」という数学理論が必要になります。統計学とは簡単に説明すると、データの中から規則性を導き出したり傾向を見つけ出すための学問で、マーケティングを支援するソフトウェアでよく用いられます。また研究機関を相手にデータ解析のシステムを組む場合も統計処理が用いられるので、分散・中央値・標準偏差などの基礎統計量の知識は勉強しておきましょう。
2-4.その他
その他にも、数学が得意な方がプログラミング上有利になる分野はあります。画像認識や信号処理はフーリエ変換や微積分を使い、データをグラフィカルに描いた方が分かりやすい場合は二次元・三次元で図形を描くために幾何学の知識を用います。このように数学理論を活用しなければならない分野もたくさんあるので、自分の進みたいプログラミングの分野がある程度定まっている方は、一度その分野について数学の知識が必要なのか、どんな分野の数学知識が必要なのかなど詳しく調べてみるとよいでしょう。
3.プログラミングに求められる本質とは
3-1.論理的思考
数学とは、常に論理的な学問です。証明問題などを思い出してもらえれば分かる通り、数学には「AであるからBが成り立つ」といった論理的な思考と回答を求められます。ここが本質的に重要な部分です。数学自体が求められるわけではなくとも、論理的思考は求められます。プログラミングはそれ自体が論理的な構造を持っているので、全体を整合させるためにもプログラミングをする上で論理的思考は非常に大切なのです。例えばプログラムに問題が起こったとき、どうやって解決するか論理的に考えを組み立てたり、論理の力で難しいものを単純化することで作業効率を上げたりと、こういった問題に対して論理的思考というのは役立ちます。
3-2.数学的な処理
一般的なプログラムでも、時には数学的な処理を要求されることがあります。そういった場合にはやはり、数学の知識を持っている人の方が実装の速度が速いという側面はあります。例えば業務系のソフトウェアでは、売り上げや在庫などの計算処理で数値を扱う場合も少なくありません。もちろん数学の知識がなければプログラミングできないというわけではありませんが、数学が得意な方ほど早く記述できます。
4.プログラマーに求められる能力とは
ここまででプログラミングに絶対的に数学の知識は必要ないということを説明してきましたが、それではいったいプログラマーにはどういった能力が重要となってくるのでしょうか。見ていきましょう。
4-1.コミュニケーション能力
プログラマーとして会社から採用される際には、コミュニケーション能力を重視されることが多いです。会社でプログラマーとして働くということは、開発案件を依頼する顧客がいて初めて成り立ちます。顧客が望んでいるものはいったい何なのか?顧客の頭の中にある完成図はどういったものなのか?を顧客とのコミュニケーションの中で見つけ出していかなければなりません。
また、大きな案件になるにつれて、プログラマーはチームを組みます。チームでプロジェクトを進める際はコミュニケーションのミスが大きなトラブルに繋がりますので、採用では協調性があるほど優遇される傾向にあります。分からないことや、全体の作業の進め方などは積極的にメンバーと話し合う必要があります。近年ではプログラミング経験者よりも、文系理系問わずコミュニケーション能力のある人間を採用する企業が増えてきています。もちろんプログラミング技術があると有利に進めますが、コミュニケーション能力はプログラマーにとって最も重要なスキルといって過言ではないでしょう。
関連記事4-2.英語力
こちらは、プログラミングをする場合に「If~」のような基本的な英文法や英単語を要求されることがあるからです。また英語のドキュメントや英語で書かれた情報に触れる機会が多いため、英語力を身につけていて損はないでしょう。
4-3.根気
プログラミングは、根気が必要な世界です。プログラミングは基本的に独学で勉強しなければならないため、途中でリタイアしてしまう人も少なくありません。ですから、プログラミング学習において重要なのは、理解力よりも継続して勉強し続ける根気です。またプログラミング技術は日々更新され、AIやVRなどプログラミングの領域は拡大され続けています。そういった移り変わりの激しい世界で、新しい知識を学び続けていく根気はプログラマーとして必要なスキルといえます。あとは徹夜でやらなければ納期に間に合わないといったことがプログラマーの世界では多いため、根気が必要になることもあります。
5.文系プログラマーの活躍
意外とプログラマーの中には理系学部ではなく、文系学部出身の人もたくさんいます。企業によって異なりますが、実は内定者の3~5割、多いところだと6~7割が文系出身のエンジニアなのです。理系と文系では求められるプログラマーのスキルは異なります。技術的な面ではやはり理系の能力が不可欠です。プログラミングには基礎となるアルゴリズムを考える必要があり、そのアルゴリズムには数学的思考が求められます。よって理系にはプログラミングの純粋な技術面のスキルが要求されます。一方、顧客の要望をもとに設計しシステム化していくことは文系的な力が必要になります。顧客の要望を正確に捉えて、顧客とチームをつないで開発を進めていくという役割を文系は求められているのです。
関連記事6.さいごに
いかがだったでしょうか。プログラミングと聞くと数学が苦手な人は避けて通りがちですが、意外にも文系出身のプログラマーが多いと聞いて、興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際に顧客とチームの懸け橋になって活躍している文系プログラマーも多数います。理系にはない文系ならではの力を活かしてプログラミングを勉強してみてはいかがでしょうか。
- プログラミングに数学が絶対必要というわけではない
- 数学の知識を必要とする分野に関しては、あらかじめ必要な知識をチェックしておく
- プログラミングに最も必要なことは、コミュニケーション能力と継続して学ぶスタンス、根気
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