転職エージェントの使い方|転職を成功させるためのエージェントとの上手な付き合い方
「転職エージェント」というと、あー、テレビCMでよく見るあれですか、と思う方は多いと思いますが、転職時に実際にエージェントを利用したことがある人は37%という調査結果があります。
まだまだ皆さん自分で探して転職する方が多いようですが、「転職」は人生で何度も経験できることではありませんし、気軽に相談できる内容でもありません。
転職エージェントの利用は無料です。また、その道のプロですから相談するだけでも無駄ではありません。
ここでは「利用してみたいけどちょっと躊躇する」「転職を考えているけど何から手をつけたらいいのやら」と思っている方のために、転職エージェントとは何ぞや?というところからご紹介したいと思います。
目次
1.エージェントを使う前に考えておくべき3つのこと
転職エージェントを利用する、ということは、当然あなたは転職を考えているのだと思います。転職エージェントを利用する、しないの前に決めておいていただきたいことがあります。ここがはっきりしないと相談されたエージェントも困ってしまうからです。
1-1.本当に転職したいのか
そもそも論にはなりますが、転職するということは今の環境(待遇)を捨てるということです。給料も人間関係も通勤場所もよくて残業も無く仕事の評価も自分のスキルもアップするような「夢の転職」は、エージェントを利用したとしても、まずありえません。「本当に転職したいのか」という問いは、今の環境を捨てても手に入れたいものがあるか、ということです。
関連記事1-2.転職先として自分が狙っているものは何か
次の転職先としてあなたが狙っているものは何でしょうか。
- 今の仕事は残業が多すぎて体がもたないし、自分の時間が欲しい
- とにかく給料が安いから給料UP
- 今の仕事を通して別の分野に興味が出てきたのでそちらへキャリアチェンジしたい
など、自分が転職する理由、転職して手に入れたいものを明確化しておきましょう。
「今の仕事(職場)つまんない」という漠然とした理由であれば、「つまんない」の原因を考え、何が改善されたら満足するのか考えてみてください。
1-3.いつまでに転職したいのか
新卒と違い、転職時期に固定された期間はありません。ただし、転職先で必要とされる資格があったり、業種や社会情勢によって求人数も変動します。
「夏は暑いからスーツ着たくない。転職は冬にしたい」という人もいましたが、まずは今の仕事に支障が出ず、自分に都合のよい転職スケジュールを考えてみましょう。あまり短いと自分が準備できない場合もありますので、おおよそ2~3か月後が目安です。
2.初めて転職する時こそエージェントを使おう
さて、転職の意思とスケジュールは決まりましたので、いよいよここからです。
「今回が初めての転職です!」という方こそ、転職エージェントを利用するべきです。なぜならば転職には、以下のような準備が必要で、必ず悩む時があるからです。正直どれもめんどくさいですがa.からd.は転職エージェントにお任せできます。
- 企業情報収集
- 履歴書や職務経歴書の作成
- 面接準備
- 面接のスケジュール調整
- 今の仕事のスケジュール調整(引継ぎ準備)
転職サイトには常時求人が掲載されており、履歴書や職務経歴書もサンプルはネット上にありますが、行きたい会社を探し出すのも時間がかかりますし書類もどうまとめたらよいものか悩みます。今の仕事をこなしながらの転職活動は時間も限られているのに、最初の「転職先探し」の段階で手間がかかってしまっては、どんどん転職時期が遅れていきます。そんな時に転職エージェントというプロに相談しサポートしてもらえれば、時間に余裕が生まれ、転職活動もスムーズに進みます。
また、こうしてエージェントに任せられる部分が多ければ「今の仕事のスケジュール調整(引継ぎ準備)」に注力できます。
関連記事2-1.使う理由1:他人から自分はどう見えるのか確認できる
エージェントと面談をしておくことで、自分では気が付かなかった部分を発見することがあります。今まで「自分はこういう人間」と思っていたのに、まわりから「あなたって〇〇だよね」と言われて驚いたことはありませんか。思っている自分と他人から見た自分にギャップがあるように、意外と自分のアピールポイント(強み)を見逃している場合があります。逆に面接時に弱みを指摘されるよりも、先にプロからその部分をカバーするためのアドバイスをもらっておけば、気持ちに余裕もできます。
2-2.使う理由2:「転職」に関するノウハウを教えてもらえる
時代が変われば応募、面接、採用までに準備すべきこと、やらなければいけないこと、考えておかなければいけないことも変わります。特に面接ですが、今はオンライン面接(WEB面接)が増えてきていますので、そんな時の注意点を教えてくれたり練習させてくれるエージェントもあります。
効果的な書類の書き方、面接対策を一人で試行錯誤するよりは、プロの力を借りましょう。
◆参考
【WEB面接(スカイプ面接)」本当にあった失敗話】
2-3.使う理由3:給与交渉をまかせられる
転職時に一番言いにくいこと、それはやはり給与面でのことでしょう。
募集内容で「経験を考慮」や「〇万円~〇万円」といった記載があり、つまり私はいくらなの?と思う時も、月収(あるいは年収)や、その他の条件について、あなたに代わって交渉してくれるのがエージェントです。
2-4.使う理由4:アフターフォローがある
応募してめでたく採用となった後も、エージェントがアフターフォローとして、仕事や環境などについてヒアリングをしてくれます。これは、転職者からいろいろヒアリングすることで、その会社の雰囲気や実情が把握できるので、その後に紹介する時のマッチングがしやすくなるという利点がエージェント側にあるからですが、転職直後にある程度事情がわかっている人がいると、愚痴も言いやすいものです(笑)
また、万が一募集内容に偽りあり!というような場合があれば、転職エージェントが代わりに会社側へ申し入れをしてくれます。
(アフターフォローが無いエージェント会社もありますのでここは確認してください)
3.転職エージェントを利用する場合の注意点
無料で仕事探しや交渉をお願いできて必要書類まで作ってくれるなんて、世の中そんなうまい話があるわけない、きっと何か落とし穴があるはず・・。と、思われる方もいらっしゃるでしょう。もちろんございます(笑)何事も一長一短あるのが世の常です。
3-1.担当者に難点がある場合がある
担当者によってスキルに差があります。この場合のスキルとはあなたが転職したいと思う分野の事情について知識不足と感じられるということを指します。また、スキルは申し分なくても、どうもこの人とは性格的に合わない、という場合もあります。これは避けられないことですが、その担当者と話し合ってもどうにもならなければ担当者変更も可能ですし、どうにもならなければエージェント会社ごと変更も可能です。
担当者変更の理由は「ほかの方のご意見も伺ってみたいので~」のような内容で問題ありません。
3-2.決断を急がされる場合がある
これは「なぜ無料で仕事を紹介してくれるのか」ということを考えると納得できる話ですが、転職エージェントは企業に人材を紹介することで報酬を得ています。あなたが「入社します!」と一言言ってくれれば報酬確定なので、依頼人のあなたよりも早く仕事が決まることを願っているかもしれません。(正確には、その後3か月以上はその企業で働いていただかないと報酬は支払われない場合がほとんどです)内定が出たら「今日明日で決めてください」と急かすエージェントもいますが、これはあなたの転職です。迷いがあるなら断る勇気が必要です。
3-3.地方では紹介企業が少ない
地方ですと、そもそも募集している企業が少ないこともあり、求人情報はハローワークの方が多い場合がありますし、地元の知り合いつながりで雑誌には掲載されていない情報を持っていることがあります。いますぐ地方に行きたい!というわけでなければ、都心部で探して転勤可能かを確認してみるという方法もあります。
3-4.「非公開求人」に過度な期待をしない
「非公開求人」という、転職サイトで公開されていない求人があります。確かに魅力的に思えますが、その会社があなたにとってベストな転職先かどうかは別です。しかし人間興味はあるものですよね。「非公開求人多数と書かれていましたが、どんな募集があるのでしょうか?」と聞いてみることは全く問題ありません。
関連記事4.転職エージェントを使うには
以上をふまえて、いよいよエージェントに依頼しよう!と思って探してみると、何社か名前が挙がります。複数社登録するのであれば、スケジュールのバッティングなどを防ぐために各エージェントに他にも登録していることを伝えておきましょう。
4-1.選び方
まず、次の2点を基準とします。
- 扱う求人数が多い
- 自分の進みたい分野が得意
いくつかピックアップし、この段階で3~4社に絞りましょう。多いと逆に自分が大変になります。
例えばですが、求人数も多く対象業種も幅広くカバーしている大手で2社、自分が希望する分野が得意なエージェントで1~2社という組み合わせでも良いでしょう。(以下の一覧でA群から2社、B~Hで1~2社、など。I群のスカウト系は年収に見合う高いスキルが要求されます)
決めかねる場合は、口コミサイトを参考にしてみる、各社のサイトを見てサービス内容を確認してみる、希望する地域や職種ではどんな募集があるか、などを比べてみましょう。
◆主な転職エージェント一覧(50音順)
A.全国対応・幅広い業種をカバー
- type転職エージェント(https://type.career-agent.jp)
- Doda(デューダ)(https://doda.jp/consultant/)
- パソナキャリア(https://www.pasonacareer.jp/)
- マイナビエージェント(https://mynavi-agent.jp/)
- リクルートエージェント(https://www.r-agent.com/)
- WORKPORT(ワークポート)(https://www.workport.co.jp/) ※IT・調剤薬局・生産系・経理・人事の専門サイトあり
B.IT系
- GeekOut(ギークアウト)(https://geek-out.jp/)
- Geekly(ギークリィ)(https://www.geekly.co.jp/)
- TechClipsエージェント(https://agent.tech-clips.com/)
- レバテックキャリア(https://career.levtech.jp/)
C.外資系・海外が得意
- JAC Recruitment(ジェイエイシー・リクルートメント)(http://www.jac-recruitment.jp/)
D.障がい者支援あり
- Spring転職エージェント(https://www.springjapan.com/) ※障がいをお持ちの方専門のコンサルタントがいます。
E.フリーター・ニート・第二新卒に手厚いサポートあり
- UZUZ(ウズウズ)(https://uzuz.jp/) ※「ウズカレ」という就職支援サービスあり(登録は29歳まで)
- JAIC(ジェイック)(https://www.jaic-g.com/) ※「就職カレッジ」という就職支援サービスあり(登録は34歳まで)
F.飲食業
- Itk(アイ・ティー・ケー)(https://i-t-k.co.jp/)
- cookbiz(クックビズ)(https://cookbiz.jp/) ※海外求人もあります
- Foods Lab(フーズラボ)(https://www.foods-labo.com/)
G.介護・医療・保育士
- カイゴジョブ(https://www.kaigojob.com/)
- きらケア(https://job.kiracare.jp/)
- ジョブメドレー(https://job-medley.com/) ※医科・歯科・介護・保育・理学療法士・美容師・エステティシャンなども情報あり
- 保育ひろば(https://hoiku-hiroba.com/)
- マイナビ介護職(https://kaigoshoku.mynavi.jp/)
H.金融業界
- KOTORA(コトラ)(https://www.kotora.jp/)
I.スカウト待ち(スキルと年収が高い方向け)
- CAREER CARVER(キャリアカーバー)(https://careercarver.jp/)
- BINAR(バイナー)(https://binar.jp/)
- BIZREACH(ビズリーチ)(https://www.bizreach.jp/)
4-2.転職エージェントとの面談の前にしておくこと
エージェントに登録すると面談を行うための連絡があります。お互いの日程を調整し、まずはエージェントと面談を行うことになるのですが、それまでに自分の意思を再度確認してください。いつ転職したいのか、どの方面に進みたいのか、希望待遇などです。そして、企業面接と同じくらいに、とまではいかなくても服装や身だしなみには気を付けてください。美容院はご無沙汰、スーツがイマイチ、という方はお店に行って準備しましょう。
4-3.面談当日のポイント
遅刻厳禁です。また、服装や言葉使いなど、最低限のマナーも必要です。
当日は主に「キャリアカウンセリング」「転職活動の流れの説明」がありますが、その日に求人を紹介される場合もあります。自分の今までのキャリアや希望をエージェントに理解してもらう必要があるので、ここで遠慮せずにきちんと話しましょう。面談は1回の場合がほとんどですので、伝え忘れることが無いように準備をしていきましょう。
5.エージェントを使わないという選択肢もある
どうしてもエージェントを使うことに抵抗がある、あるいは自分で探す方が性に合っていると思う方は、エージェントを使わない方法で探す選択肢もあります。
5-1.自力で探す
転職エージェントに依頼せずに自分で探す場合は、次のような手段があります。
- 転職サイト
- ハローワーク
- リファラル採用
- 企業サイトから直接応募
「リファラル採用」は、その会社の社員の紹介で採用を行う方法です。リファラル(referral)とは「推薦する」「紹介する」という意味です。もし、知人、友人が勤務している会社に入社したい、と思うのであれば、一度リファラル採用を行っているか聞いてみるか、企業サイトを確認してみましょう。事前にいろいろ内情を聞ける(あるいは聞いていた)というメリットもありますが、内定辞退や退職時にちょっと気を遣うことになります。
5-2.スカウト待ち
いわゆる「ダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)」ですが、転職サイトに登録しますと、スカウトを受けるか受けないかの選択肢が設けられているサイトがあります。これは企業から直接スカウトを受けるかどうか、なのですが、こちらを設定しておくと企業の人事担当者から「スカウトメール」が届きます。自分にそんなものはこない・・と思っていませんか?私が以前いた会社では、なかなか採用者が決まらないことで「人事部にまかせておけない!」と、情報システム部長自ら登録者一覧から検索してスカウトメールを送り、2名採用しました。採用された2名がその会社を知っていたかというと、スカウトメールが届くまで名前も知らなかったそうです(一応、東証一部上場企業)このように、エージェントに登録しなくても企業側にあなたを見つけてもらう方法もあり、FacebookなどSNS経由でも行われています。
5-3.ヘッドハンティング待ち
ヘッドハンターと呼ばれる人たちから声をかけてもらうには、自分でヘッドハンティングのデータベースに登録するか、何かしら会社の外で目立つことが必要です。また、こちらは有料の場合があります。
自分のスキルに自信がある人向けです。
6.転職エージェントからひとこと
この記事を作成するにあたり、エージェント経験者の方々から伺ったお話をご紹介したいと思います。
「会う回数とか時間は短いけど、相手がどんな人なのかなーっていうのは大体わかりますよ。あと、話しているうちに、この人ほんとはこっちの方が向いてるんじゃないかな、とか、違うことしたいんじゃないかな、と感じることもありますね。でも僕らも超能力者じゃないから、そのあたりは正直に言われないとわからないし、あとで『実はこうでした』ってひっくり返されるのが困るんだよね~。あと反応がないのも困るかな。紹介した案件でいいのかダメなのか、はっきりして欲しい」
だそうです。
そのほかのお話も含めてまとめますと、エージェントがあなたに望むことは以下の6つです。
- 自分の学歴、職歴、保有資格、スキルは正確に伝える(自分で取捨選択しない)
- 担当のエージェントと相性が悪いと思ったら我慢せず変更を申し出る(わりと相手も同じこと思ってます)
- メール返信、または折り返しの電話は24時間以内で(すぐに回答するのが無理なら一次返信だけでも。返事が早いと本当にうれしい)
- エージェントが作成した書類は必ず確認する(たまに認識が違うことがあります)
- 紹介された案件に応募するしないをはっきりさせる(回答が無いと次に進まない)
- 面接後の連絡は必ずほしい(結構本気で心配しています)
エージェントがして欲しいことは、それほど難しいことではありません。これらをすることで良好な関係が築けて良い案件を紹介してもらえる確率が上がるのなら、お安い御用ではないでしょうか。
そして、さらにつけ加えておきたいことがあります。
「『お忙しいのにありがとうございます』とか『遅い時間まですみません』と、一言あると印象が全く違う」とのことです。やさしくしてくれる相手を雑に扱う人は滅多にいないと思います。このようなちょっとした一言で良い印象を持ってもらえるのであれば、是非一言そえてみましょう。(実際忙しくて大変だそうです)
7.転職エージェントに遠慮は無用
ここまで読んでいただいて「よし!エージェントに依頼してみよう!」と思ったあなた。
初めて依頼する方は「こんなこと聞く人いないって言われそう」とか「スキルが低くて恥ずかしい」とか、内定をもらっても「あんまり気が進まないけど断ったら悪いかな」などと無用な気遣いをしてしまうかもしれません。しかし、そんなことを気にしていては結果に満足できる転職はできません。高飛車に出る必要はありませんが、遠慮したり言いたいことを我慢しては、せっかくタダで手伝ってくれる人がいるのですから勿体ないことです。転職は30代でも約半分の人が未経験なのですから、わからないことは素直に聞けばいいのです。
転職エージェントを味方につけて、結果に満足のいく転職を目指しましょう。
8.さいごに
正直言って、転職サイトで企業を検索していて面白いのは1週間くらいで、そこで見つかれば良いですが、あとは疲れてくる一方です。おまけに自分のこととはいえ、履歴書も職務経歴書も「どう書いたらええねん」状態になります。頼めるものなら誰かに頼みたい、そんな時のエージェントです。エージェント会社の評判は良くても担当者がイマイチ、という場合もありますが、転職時期に余裕をもたせて一度経験してみるというのは無駄にはなりません。
ちなみに私が受け取った一番面白いスカウトメールは「旅館の女将やりませんか」でした。ちょっとお話聞いてみたい気持ち満載でしたが、ぐっと我慢していまに至っております。
関連記事
コメント