エンジニアの仕事になぜコミュニケーション能力が必要なのか?
よく、”エンジニアにはコミュニケーション能力は不要だ”というタイトルの記事が見かけたりしますが、私の見解はそれと真逆で、エンジニアにとって、コミュニケーション能力は必要不可欠な能力で、むしろ、どの職場よりも、より頻度が高く、高度なコミュニケーション能力が求められるといっても過言ではないと考えてます。本文は、なぜそう言い切れるかの話から始まり、若手やマネージャーを目指す人に求められるコミュニケーション能力のポイント、また、すぐ実践てきるコミュニケーション能力の高め方について説明していきます。
このような考え方もあるんだと思って頂いくのも十分なので、是非一度読んでみて下さい。そして、本文は今後みなさんのコミュニケーション能力を高める上での何かのきっかけになれたら幸いです。
目次
1.エンジニアにとってのコミュニケーション能力の重要性
1-1.エンジニアの仕事になぜコミュニケーション能力が必要なのか?
エンジニアの仕事をよくモノづくりに例えられたりします。それはお客様のニーズに合ったシステムを開発することで、お客様の喜びが得られるという共通点があるからでしょう。
クライアントにとって、一番望んでいるのはなにか?そしてその望みに忠実なモノづくりにこだわって、切磋琢磨をしながら形を作っていく、言わばリサーチ、検証を繰り返す工程がエンジニアにとって非常に重要になってきます。
「クライアントの気持ちを察し、それに応え、意見あるいは提案する」、このいずれの作業のどれもコミュニケーション能力が問われる作業であることに違いはありません。
また、エンジニアの仕事を細分化してみると、新しいシステムを開発するには、クライアントとの打ち合わせ、システム全体のイメージづくり、そして、それに基づき、構成を決める基本設計、機能を実装する詳細設計、その後の制作・テスト・運用という作業工程から成り立っています。
この一連の作業の中で、役割によって、担当する方も異なれば、それぞれ保有している情報の量と質にも差異が生じます。また、納期に合わせるためのスケジュール設定、目標達成を実現するための各ポジションにあるチーム間の調整など、そこから発生する伝達、確認、共有のためのコミュニケーションを取る場面がたくさんあります。更に、プロジェクト規模によって、関わる人の数が変わり、大きければ大きいほど、チーム内、チーム間でのコミュニケーションを取る場面が増えていきます。
以上の点を踏まえて考えてみると、エンジニアの仕事にとって、コミュニケーション能力が非常に重要であることが分かります。
1-2.コミュニケーション能力が不要だと誤解されるのはなぜ?
前節では、エンジニアにとってのコミュニケーション能力の重要性についてお話しました。では、なぜ、エンジニアにとってこの能力は必要ないと誤解されるでしょうか?それは、エンジニアの仕事は、コツコツプログラムを書くイメージが強い面や普段の生活の中で、人と最低限のコミュニケーションが取れればまずは問題ないと考えてる方が多いことが原因でしょう。
しかし、実際のところ、数多い工程の中で、そのどの部分を担うかによって、求められるコミュニケーション能力の質も変わってくると考えられます。例えば、上流工程の立場にある場合、お客様のニューズを聞き出すのに必要な聞く力、提案力、そして、伝達力を土台にしたコミュニケーション能力、プログラマの場合は、報告、相談、確認のためのコミュニケーション能力がより重要視されます。
ただ単にコツコツプログラムを作れば、それで良いというわけではありません。いかに期待通りのものを作り上げるかを考え、チームや個人がより効率よく仕事をこなすためのコミュニケーション能力が問われるのです。ここから、エンジニアに求められるコミュニケーション能力について、少し深掘りしてみましょう。
2.エンジニアに求められるコミュニケーション能力とは
2-1.コミュニケーション能力について
一般的には、コミュニケーション能力というのは他者と円滑に意思の疎通が行える能力だと解釈されています。話が進めやすくする雰囲気作りはもちろん、手振り身振りを使ったり、雑談をしたりして、相手との距離感を縮めることや、話のトーンや発言のスピードの調整といった言語以外の伝え方など、その取り方の手段は様々です。特に最近では、テレビ会議でミーティングを行う現場や職場にこだわらない働き方の浸透など、距離があっても、職場の雰囲気や、顔の表情などが確認でき、より直観的にコミュニケーションが取れるようになってきています。よって、このような言語以外のコミュニケーションの取り方を意識すると、今後、より一層質の良いコミュニケーションが出来るようになるでしょう。
また、ポジションによって、コミュニケーションの土台とする聞く・話す力、理解・提案力や決断力、そして報・連・相や調整の力などの比例が変ってきますが、自分の立場は何か?目標をどうすれば達成できるか?を意識したコミュニケーションの取り方ができれば、仕事のスピードも仕事の完成度もより高い水準に達することができます。まずは、自分に問いかけ、自分に足りないところや自信のあるところについて考えましょう。その後、強みを生かすか、或いは弱みを克服するかを決めましょう。その基準を”どちらがより期待値が大きいか”にしてもよいかもしれません。
関連記事2-2.役割に相応しいコミュニケーション能力の強化
前述でも言及した通り、役割によって、コミュニケーションを取るための重点置きも変わってきます。周りの人に関心を持ち、そのポジションを理解することが、周りの人への理解を深め、よりよいコミュニケーションを取る手助けになれます。
ここからは、一部のポジションにあるエンジニアにとっての重要なコミュニケーション能力について考えてみます。
2-2-1.若手にとってのコミュニケーション能力
①着目点
- お客様先常駐が多く、お客様の満足度や信頼度を高めることが非常に重要。
- 決められた期間内で成果を出す。
②ここがポイント
言うまでもなく、とにかく期限にこだわります。そのため、役割分担や日々の仕事内容の確認・調整作業がエンジニアにとって非常に重要な日課になります。ここで、よく知られている報・連・相についてお話します。
・ 報告:”お時間よろしいでしょうか?”と声をかけるなど、相手の状況を確認してから報告しましょう。そうするだけでも、相手に報告を聞くための準備時間を与え、話し内容の伝わり方もグンと上がります。ここで重要なのは、相手のペースに合わせることと話しの内容を分かりやすく伝える工夫です。
・連絡:仕事の重要度や、仕事のタスク、上司や先輩によって、求められる進捗回数が変わってくると思います。周りの人の言動を学んだりして、自分の経験値を増やしていけば、ベストタイミング、ベスト報告度合が見えてくるはずです。
・相談:任された仕事は必ず期限内で完成させなければなりません。予定通りに仕事が進められるのは一番ベストですが、期限に遅れそうになった場合、責められたりしたくないと考え、自分でなんとかしようとしてしまいますが、なるべく早めに先輩や上司に相談するよう心掛けましょう。それはチームで動くプロジェクトのため、自分自身の遅れが全体のスケジュールに影響を及ぼす可能性があるからです。また、経験値の高い先輩だと、自分より早く解決策を見つける場合があります。よって、早めに状況を伝え、相談したりすると、チーム全体や自分自身の仕事がより早い段階で次へ進むことが出来ます。先輩達に頼れるときは頼って信頼関係を築きましょう。
③実践してみましょう
・思考回路を変えましょう
相手に対して、自分が役に立つことは何がないか?相手が求めることは何か?自分はどう報告すれば、相手がより理解しやすいかを考えて行動すること。
・学ぶ姿勢を常に持ちましょう
上司や先輩はどうやってコミュニケーションを取っているのかを勉強するのが、教本よりも断然に実用的。
・言語以外のコミュニケーション能力を練習しましょう
自分自身もそうですが、相手も無意識のうちに、色々表現してくるはずです。与えられた情報の中から、素早くかつ正確に相手の真意が取れるようにしましょう。仕事以外の場でも、意識して強化していきましょう。
話す・聞く力を養うだけで、よりよいコミュニケーションが取れるようになります。より的確に相手の意図を把握することは仕事上の無駄なロスを回避するのにも役立ちます。また、コミュニケーション能力をより一層高めるために、土台にある他の能力を磨くことも大事になります。
2-2-1.マネージャを目指す人にとってのコミュニケーション能力
①着目点
- 組織やチームとしての成果の最大化を目指すための仕組みづくり
- チームメンバーのそれぞれの成長と自己実現の手助け
- 自分自身の総合力の強化
②ここがポイント
チーム全体をまとめることや、チーム目標を達成することには、信頼関係の構築という点が非常に重要です。信頼度が高ければ高いほど、コミュニケーションが取りやすくなり、いざという時も、部下がついてきます。
③実践してみましょう
・メンバー達の成長を真剣に考えましょう
メンバー達の成長が実現できるよう、一緒にプランを考えたり、実現に向けてのサポートをしたりしましょう。その過程の中で、一緒に経験した成功や失敗の思い出がきっと、のちに信頼関係につながります。
・部下と共感しましょう
同じトーンで話したり、会話の時、自分の経験談も入れたりして、共感できる話題作りなどで距離を縮めましょう。
・仕事の思考回路を意識しましょう
普段から、現状を把握し、仮設を立て、目標に向け対策を考え、実行する。その後、成果を振り返るという思考回路を意識すること。そうすることで、どのタイミングでどうやってコミュニケーションを取ればいいかという経験値を高めることができます。
・提案力を高めましょう
一言で提案力とまとめましたが、いい提案ができるためには、聞く・話す能力や、専門知識の熟知度、また、クライアントのニーズの把握、信頼関係構築など、いろんな要素が関わってきます。提案力を高めるというのは、これらを高めることになります。
関連記事 関連記事3.まとめ
コミュニケーション能力の根底には、総合した人の仕事能力が求められて、簡単そうで難しい部分もあるかもしれません。しかし、いったん身につけたら、どの仕事でもこなせるようになる非常に役に立つ能力だと考えられます。特に、今後、グローバル化、働き改革など、働く環境や働き方が大きく変化する中で、コミュニケーション能力はより一層重要になっていくでしょう。
まずは、今の自分のポジションに必要な力をすべて書き出してみて、自分が得意とする能力とそうでない能力のどちらを伸ばすべきかについて考えましょう。そのために、図やグラフなど、分析ツールを活用するのもいいでしょう。
人と会う機会を増やしたりすることで、コミュニケーションを取る回数を増やすのも大事かもしれません。普段の買い物でもいいし、イベントの参加でも問題ありません。とにかくいろんな人と出会って、経験値を増やすこともいいかもしれません。
それに、先輩や同僚とのコミュニケーションを大事にし、自分の成功談や失敗談も積極的に共有しましょう。そうすれば、相乗効果が期待でき、お互いにより高いレベルのコミュニケーション能力を手に入れることができます。
大切なのは、まず、自分が着手できそうなところから確実に実行してみることです。
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