
セキュリティエンジニアとは?仕事内容から年収、必要な資格を解説
現代社会では、あらゆる業種でセキュリティに対する意識の高さが求められています。
ユーザーにとっては利便性が増す一方で、ハッキングによる被害も年々増加しています。以前巨額の仮想通貨の流出が大きな話題になりましたが、それだけでなく大量の個人情報の流出など、ハッキング行為による被害は大きなダメージを与え、大きな社会問題になりつつあります。情報の重要さとそれらを守る意識が急速に高まっているのです。その対策として脚光を浴びつつあるのが、セキュリティエンジニアです。
本質的には各エンジニアが従来以上にセキュリティ意識を高めるということですが、そういった職種名が出るほど現場ニーズは高まっているのです。2016年6月経済産業省が発表した統計では、東京オリンピックが開催される2020年までに、サイバー攻撃対策に要するセキュリティ関連の人材は約19万3000人不足すると予想されています。
ここではそんな注目のセキュリティエンジニアの仕事内容や年収、役に立つ各種資格の特徴など、気になるポイントを紹介します!
目次
1.セキュリティエンジニアとは
セキュリティエンジニアとは、情報セキュリティに配慮したシステム設計と構築、サイバー攻撃からシステムを守るためにセキュリティの抜け穴の調査や改善などを行う仕事です。
つまり、クライアントのセキュリティ事故を未然に防ぐということが重要になります。そのためには企業の現状のセキュリティ状態の把握をし、課題を発見し、具体的な対策を立案する必要があります。
セキュリティエンジニアというと机の上で仕事をしているイメージがあるかも知れませんが、このようにクライアントへのヒアリング力、リサーチ力がとても重要になってきます。また最新のセキュリティ情報に精通していることも重要です。セキュリティ関連の技術は海外が進んでいるので、そういった情報にアンテナを張っておくことも不可欠です。
2.高まるセキュリティエンジニアの必要性
近年、企業の情報漏洩トラブルが増加しています。インターネットの利用者が急激に増加したことで、多くの企業がIT技術を採用するようになり、ネットの利用には個人情報の入力が不可欠になりました。
現在日本では約80%の人がインターネットを利用しているなか、サイバー攻撃による企業の個人情報流出は深刻なものです。またウイルスの感染などによるシステムの不具合や機密データの破損が販売機会の損失やブランド力の低下につながり、企業の経済的損失にまで影響を与えるようになっています。
インターネット利用者の増加によるセキュリティ問題の増加で、より安全なシステムの運用が求められるようになり、優秀なセキュリティエンジニアのへのニーズが高まっています。
関連記事3.セキュリティエンジニアの仕事のポイント
実際の仕事内容を見ていただければわかるように、セキュリティエンジニアはセキュリティの知識だけではなく、ネットワークやサーバー、アプリケーションなど幅広い知識が必要とされる職業です。
また不正アクセス禁止法など、法律や制度の知識が必要になる場合もあります。初めからすべてを頭に入れておくというのは難しいので、他の人と差別化を図るためにまずは自分の得意分野を持っておくというのも一つの手です。
また専門の知識がないクライアントにセキュリティシステムの提案や交渉をしたり、現場担当者から現行システムに関する情報を聞き出したりと、セキュリティエンジニアには高いコミュニケーション能力も必要とされます。
セキュリティエンジニアの仕事は主に以下の5つの分野に分けることができます。
3-1.企画
クライアントのシステムを調査・分析し、必要なセキュリティの対策を企画・提案する仕事です。個人情報保護法の施工からは、セキュリティの第三者認証制度であるISMS取得やプライバシーマーク取得を目指す企業が増えたため、セキュリティエンジニアが認証の習得をサポートするというケースもあります。
関連記事3-2.設計
企画書を基にシステムを設計します。実際に運用できるシステムを作るには、ネットワークやサーバー機器、アプリケーションまで細かく気を配らなければなりません。それには大変幅広い知識が必要とされます。
関連記事 関連記事3-3.実装
実際にシステムを実装します。こちらもセキュリティのみを考えるのではなく、ネットワーク機器の設定やOSの設定、アプリケーションプログラミングと、幅広い知識が要求されます。
3-4.テスト
システムに脆弱性がないかチェックするためのテストを行います。セキュリティ検査や脆弱性診断と呼ばれ、システムに穴がないかを調べるために、擬似攻撃を行ったり、ソースコードのチェックをします。このテストは特に重要で、問題が見つかれば設計からやり直すことになります。
関連記事 関連記事3-5.運用・保守
最新の情報を常に収集してシステムをアップデートし、OSやアプリケーションの更新にも対応しなければなりません。ここでは、実際にネットからの攻撃があった際の事故対応スキルが求められます。サイバー攻撃やシステムの不具合にいちはやく対処することもセキュリティエンジニアの重要な仕事です。
関連記事4.セキュリティエンジニアの年収
個人のスキルにもよりますが、平均的な年収のスタートは300~500万円です。
ある程度スキルが身についてきた30歳前後で年収は600万円台に達するケースが多いです。外資系企業の方が高年収傾向が強く、こちらで年収は約800万円です。また、情報処理安全確保支援士試験など資格を持っていると年収は高くなるようです。セキュリティエンジニアとしての高い技術と知識を持っていれば1000万円を超える収入も見込めます。
2020年の東京オリンピック開催でセキュリティ分野への注目が増し、セキュリティエンジニアの需要が高まっているので今後平均年収がさらに上がると予想されます。
5.セキュリティ関連の有効な資格
独学でセキュリティエンジニアを目指すなら、教材や情報が充実していてレベル順に資格が細かく用意されているシスコ技術者認定をまずは受けてみるといいかもしれません。そして、ある程度実力がついてきたら情報処理安全確保支援士の習得を目指しましょう。この二つの資格を習得すれば、独学でもかなりの力がつき、セキュリティエンジニアとしてのスキルも証明されます。
5-1.シスコ技術者認定(セキュリティ)★★★★✩/エンジニア向けで難易度高い
- 世界最大のコンピューターネットワーク機器開発会社シスコシステムズが実施する認定試験のうちのセキュリティ部門
- 基礎レベルから世界で一流と認められるレベルまで5段階用意されている
- 上位の資格を習得するには下位レベルの資格の習得が必須条件である
5-2.CompTIASecurity+★★✩✩✩/マネジメント層向けで難易度は普通
- CompTIA Securityが実施する認定試験であり、世界でも認められている資格なので、外資系企業への転職にある程度使える
- セキュリティの知識を広く浅く問うもので、セキュリティの基礎を抑えたいという初級者におすすめ
- 知識だけではなく、問題解決能力も試される
- TACが提供するWeb模擬試験とほぼ同じ内容が出題される
5-3.ネットワーク情報セキュリティマネージャー(NISM)★★★✩✩/マネジメント層向けで難易度は普通
- サイバー攻撃に対処するためのスキルを証明するベンダーフリーの資格
- NISM推進協議会が実施する実践的な講習を受け、最終日の認定試験に合格することが必要である
- レベルやカテゴリ別に5つの資格から構成されている
5-4.公認情報セキュリティマネージャー(CISM)★★★★✩/マネジメント層向けで難易度は高い
- ISACAが主催する国際的な資格
- 情報セキュリティのマネジメントや設計、監督などを実践できることを証明してくれる
- 受験には情報セキュリティに関する実務に5年以上携わった経験が必要となる
5-5.情報処理安全確保支援士★★★★★/ややマネジメント層向けだが、エンジニアにもニーズは高い
- 国家試験であり、国内のセキュリティに関する試験の中で最も難しい資格
- 試験では様々な分野を取り扱い、幅広く高度な知識が要求される
- 合格率は約16%である
5-6. (ISC)2★★★★★/マネジメント層向けで、難易度は高い
- ベンダーフリーの国際的な資格
- 世界的に認知されているCISSPのほかにキャリアパスや専門領域に合わせた3つの資格が用意されている
- 情報セキュリティの知識だけでなく、実践に必要な判断力が試される
6.セキュリティエンジニアの仕事例
現代は、ネットショッピングやオンラインバンキングなどインターネットで個人情報を用いることが増えてきました。ネットの普及とともに、個人情報の漏えいやWEBサイトの改ざんなど新たな問題が浮き彫りになり、日本では1日に約1万人もの人がサイバー攻撃の被害にあっていると言われています。そんな時代に、多くの一般人をインターネットの危険から未然に守るためにセキュリティエンジニアは日々活動しています。そんなセキュリティエンジニアの具体的な仕事例を、以下に記します。
- ハッキングされないためのメール訓練
- ネットワークの脆弱性の診断
- Webアプリケーションの安全性診断
- Webアプリケーションのファイアウォールの強化
- プラットフォームの安全性診断
- 情報セキュリティのコンサルティング
- ISO27001(ISMS)認証取得支援
- スマホアプリのセキュリティ診断
7.まとめ
今後あらゆるIT分野において、セキュリティが必要になってきます。そのためセキュリティは、全てのエンジニアが習得すべき必須要素になります。また一方で、先端的なセキュリティ知識を持つスペシャリストのニーズも急速に高まっています。
特にセキュリティは、ITスキルだけでなく、リスクマネジメントのセンスが必要です。他の人が気づかない部分をどうやって発見するかという視点とITスキルを融合させることが、これからのエンジニアには求められるのです。
- セキュリティエンジニアは、個人情報の流出などのセキュリティの事故を未然に防ぐ仕事で今後ニーズは高まる
- クライアントの現状のシステムの安全性を把握するなど、コミュニケーション能力も問われる
- 絶えず技術が進化している最先端分野なので、技術のキャッチアップが重要
- シスコ技術者認定(セキュリティ)他、セキュリティエンジニアに役立つ資格は取得した方がベター
- これからの全エンジニアには、ITスキルだけでなく、セキュリティセンスが求められる
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