MSserver勉強会レポート Vol.1

benkyokai

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1.今回のテーマと内容

今回のテーマは「DHCPの実装」です。DHCPとは、Dynamic Host Configuration Protocol略で、コンピュータがネットワークに接続する際に必要となる設定情報(IPアドレスなど)を、自動的に割り当てる仕組みです。DHCPを用いない企業もありますが、IPアドレスの払い出しや付け替えなどが頻発する若しくは、一度に大量の払い出しが必要なる場合などを考慮し、一般的な企業では多く利用されています。

今回はHyper-Vを用いてクライアント・サーバー型のシステムを構築するとの説明を受け、受講者はどの様に構築していくのか、楽しみでワクワクしている様子でした。

1-1.Hyper-V仮想マシンインポート

まず、仮想マシンを1から構築している時間がないので、3分クッキングを連想させますが、予め用意されている仮想マシン(サーバー・クライアント)をそれぞれHyper-Vへインポートし起動させます。仮想技術の説明を行うと朝になってしまうので割愛されましたが、仮想技術とはホスト型とハイパーバイザー型に分類され、ゲストOSと呼ばれる仮想マシンを作り出す技術です。今回のHyper-Vはその名の通り「ハイパーバイザー型」となり、仮想化ソフトを導入せずに直接仮想マシンを構築できるものです。

テキストの手順に従いながら、Hyper-Vマネージャの起動、仮想スイッチの作成、そして仮想マシンのインポートを進め、仮想上のホストサーバーとクライアント端末の起動に成功。この時点で、受講者からは歓喜の声があがるほど、技術を体験する事は楽しく身につき、更に深い知識を手に入れようと頑張る…まさに「好きこそ物の上手なれ」だと感じました。

←左は実際に起動した仮想マシン。クローニング技術で複製したものであっても、自身で構築した仮想マシンが起動する瞬間は、ホッと安心するものです。技術力が向上しても、この瞬間に感じた喜びや達成感は忘れずにいて欲しいですね。

 

仮想マシンの起動に喜ぶ受講者の様子を伺いつつ、この時点で講師陣は座学が主体だったこれまでの勉強会とは明らかに異なる受講者のリアクションに期待を抱き、普段よりもややテンション高めに勉強会は進んでいきます。

結果的に、1時間50分の講義の内およそ1時間40分がハンズオン演習という今までにないスタイルの講義内容となったのですが、隣同士で手順を確認し合う声や4人のサブ講師がフル稼働状態で演習内容について受講者へレクチャーを行う声で終始ざわざわしていて、これまでの勉強会には無かった活気のある空気で満ち溢れていました。

1-2.ドメインコントローラー昇格

今回構築するDHCPサーバーは、ネットワーク上で不正な情報をクライアント端末へ与えない様に、ADドメイン内へDHCPサービスの登録する必要があります。この登録はすなわち、ADから「正規のDHCPサーバーである」…と承認を受ける意味合いがある為、仮想マシン(サーバー)をドメインコントローラーへ昇格し、作成したドメイン内でDHCPサーバーを登録する流れとなりました。

一つ一つ丁寧に説明されているドメコン昇格ですが、受講者は「なぜドメインコントローラーへ昇格させる必要があるのか」理解するのが苦しそうでもありました。今回はDHCPサーバー構築でありADサーバーに対する細かい説明がないので、仕方がないですね…。ADについては、カリキュラムの骨子となる来期勉強会にて改めて取り上げたいと思います。

1-3.DHCP構成

さて、いよいよ本題となるDHCPサーバーの構築です。DHCPサーバーのインストールは、サーバーマネージャーの「役割と機能の追加」から実施し、その後、権限のある管理者が承認を行う流れとなり、更にスコープの作成・IPアドレスの予約へと続きます。

まずはDHCPサーバーインストールの実践開始!

Microsoft社製品はウィザードが使えて本当に便利ですね!講師が説明する内容と、ウィザードに表示されているアドバイスを読み、一つ一つ理解しながら設定を進めている受講者が殆どでした。

インストールが完了すると、サーバーマネージャー上に「!」マークが表示されており、「DHCPサーバーの構成が必要です」と記されていました。そうです、前述しましたがDHCPサーバーを構築するには、ADからの承認が必要なのです。この辺りはシステム上のセキュリティを考慮すると、よく考えられているなぁ…と感心するのですが、受講者はDHCPサーバー構築に夢中で、そこまで気が回らないよう様子でした。頑張れ、受講者のみなさん!!

さて、DHCPの承認作業です。

ポイントは「権限のある管理者による承認」であり、「MSSVR\Administrator」となっていること。これは直前に作成した「MSSVR」ドメインの管理者を指定する事で、MSSRVドメイン内において承認される…となります。

←設定を反映させるためにサービスを再起動させます。WindowsDHCPに限らず、設定変更の反映にはサービス再起動が必要となる場合があり、再起動を失念したことで反映されていない…と言うのが多いので、気をつけましょう。

 

 

DHCPサービスは、クライアント・コンピュータのIPアドレスやデフォルト・ゲートウェイ、DNSWINSサーバーなどの設定を自動化するだけでなく、様々なネットワーク・サービスに関する設定情報をクライアントに通知するためにも利用されます。それらを設定する為に必要なのが「スコープの作成」です。

これでDHCPサーバーとしての基本的な設定が完了しました。

「さぁ、クライアント端末を起動し確認しましょう~」と講師の明るい声が響きます。受講者は正しくIPなどが自動設定されるかドキドキしながら、仮想マシン(クライアント)を起動します。

1-4.クライアント動作確認

仮想マシン(クライアント)のコマンドプロンプトからインターフェース情報を確認した受講者から「おおっ!本当にIPが自動的に割り当てられてる!!」といった歓喜の声が上がり、自身が構築したDHCPサービスに感動している様子でした。

←実際に起動した仮想マシン(クライアント)のインターフェース情報。「自動構成有効」が「はい」となっており、IPアドレス「192.168.1.12」が自動的に割り当てられているのが分かります。

 

 

 

ここで「このIPアドレスは確かに自動的に割り当てられているのですが、実は固定ではなく起動する度に異なるIPアドレスが割り当てられる可能性があるのです。」との説明に対し、普段IPアドレスを意識していない受講者は「???」と不思議そうな表情を浮かべます。

DHCPによって割り当てられるIPアドレスは、アドレスプールと呼ばれるIPアドレス範囲に対し、先着順で割り当てられていきます。基本的にIPアドレスが変動しても大きな影響はないのですが、管理ツールなどの運用を行っている場合、IPアドレスが固定されていないと不都合が発生します。その為、クライアントのMACアドレスと払い出すIPアドレスを紐付ける「IPアドレスの予約」機能について紹介しました。

これでIPアドレスが固定される様になったので、仮想マシン(クライアント)IPアドレスをリリースし、IPアドレスの再取得を確認しました。

IPアドレスのリリースと再取得の実行結果。(1)にてIPアドレスをリリースした結果が(2)であり、(3)で再取得した結果が(4)となっています。IPアドレスの予約設定通り、固定IPが自動的に割り当てられているのが分かります。

 

 

 

固定IPが自動的に割り当てられる結果に、受講者からは「凄い、出来た!」と歓喜の声が。なぜIPを予約し固定化するのかも理解し、満足気な表情が伺えました。


2.次回予告

次回のテーマは「DNSの実装」となります。3台目の仮想マシン(サーバー)を導入し、今回DHCPを構築した環境上へDNSを構築していきます。


3.受講者の声と評価

今回の参加人数26名(本講17/補講9名)、辛口の受講者アンケートでは満足度が平均「95.7点」を獲得し、「現在の現場で役に立つ(実施する)内容でした」「初めて触ったHyper-VDHCPの仕組みが分かった」「もっと学びたくなりました」など、多くの評価を頂きました。

反面、「手順書に(一部)ミスがあった」という指摘事項の他、「パソコンが重すぎる」「ネットワーク通信が遅い」といった、主に学習環境のインフラに関わる部分での改善依頼が寄せられました。


4.勉強会で伝えたい事

DHCPをWindowsサーバーで運用している企業の割合は決して高くないですが、今回の勉強会における演習を通してDHCPの仕組みを少しでも理解頂けたなら幸いです。

また、学習定着率を表す「ラーニングピラミッド」という考え方がありますが、座学主体の講義よりも今回のようなハンズオン演習を交えたデモンストレーションの方が遥かに定着率は高いものです。これだけの参加人数で過去最高を記録した平均満足度がそれを証明していると言えますので、MSServer勉強会では次回以降もこの講義スタイルをよりブラッシュアップしつつ継続していきたいと思います!

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