
CCNA勉強会レポート Vol.1
CCNA勉強会は、Ethernetスイッチ・ルーター・企業向け無線LAN機器において、国内46.6%のシェア率を誇るCiscoSyatemsが認定する、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を取得する為、これまで4年ほど勉強会を開催してきました。今回は2020年にCisco認定試験改定に向け情報を収集し、新たなカリキュラムでの勉強会を開催するとの事でしたので、記念すべき第1回CCNA勉強会をレポートします。
1.今回のテーマと内容
今回のテーマは「CCNA取得を目指す、初めの一歩」です。まず、Cisco認定試験がどの様に改定されたのか、そしてどの様なスケジュールでCCNAを取得するのかを説明した上で、受講者のネットワーク知識の確認・実機を用いたハンズオンとなっています。
座学だけではなく実機を用いるスタイルなので、受講者のやる気が緊張と共に伝わります。では、さっそく勉強会を覗いてみましょう。
1-1.Cisco試験の大幅改定について
「既にご存知かも知れませんが、2020年2月24日にCisco認定試験が改定されます。」と講師から説明を行った際、受講者は「ふーん…それで?」と言う表情を浮かべていました。それもそのはず、1度でもCCNAを受験したことがある人であれば、その出題範囲や傾向を知っているのですが、初めてCCNAを取得しようと思う社員が集まっている訳ですから、改定されようがされまいが、大した違いがないと思ったのでしょう。
改定に伴う合格条件は以下の通りです。
- 合格条件
これまでの条件は「ICND1」+「ICND2」若しくは、「CCNA(200-125)」試験の合格でしたが、改定後は「CCNA(200-301)」合格となります。これに合わせ、勉強会のスケジュールは以下の通りに変更されます。
- 勉強会のスケジュール
これまでCCNA勉強会では、7月~12月でICND1、1月~6月でICND2の資格取得を目指したスケジュールでしたが、2020年2月23日までにICND1,2の取得を目指すので、少しタイトな学習になりそうです。この説明を聞いた辺りから、ようやく受講者も「つまり…これまで1年間の学習でCCNAを取得して来たが、今回の改定(2020/2/24)前に取得しなければならない為、約4か月も前倒したスケジュールになるって事…?」と理解し始め、今回のCCNA勉強会がいかにタイトなものなのか感じたようでした。
1-2.ネットワーク知識の確認
冒頭でのCisco認定試験改定について説明を終えた後。講師は受講者へ何気なく質問しました。
「ところで皆さん、基本的なネットワーク知識はありますよね?」
Cisco認定試験を受験しようとしている受講者に対し、この様な質問をしているには理由がありました。それは、タイトな学習スケジュールにおいては、ネットワークの基礎的な知識について詳細な説明を可能な限り割愛し、必要な知識を詰め込んで、実機に慣れ、試験に合格する事に注力したかったからなのです。
「…大丈夫です、まずは基礎をおさらいしましょう」
と、予め準備していたネットワーク基礎の説明を始めると同時に、ネットワーク基礎勉強会に参加する事を勧めたので、不安そうな顔をしていた受講者も安心した様子でした。尚、今回のネットワーク基礎としては、下記ラインナップの説明が行われました。興味のある方は「ネットワーク勉強会レポート」も参照してください。※下図は勉強会で使用されているテキストの抜粋。
<主なラインナップ>
ネットワークの種類・プロトコル・OSI参照モデル・カプセル化・非カプセル化・TCP/IP・通信の種類・通信速度・トラフィック(輻輳や品質)
事前に理解している受講者も、そうではない受講者も説明に聞き入り、改めてネットワークの基礎を確認する事が出来たので満足そうでした。
1-3.演習問題
ネットワーク基礎を丁寧に説明して貰えた事で、雰囲気も和やかになって来たのですが、突然、勉強会スライドに演習問題が表示され、「さて、この問題の答えはなんでしょうか」と受講者へ問いかけました。「え?!」と動揺する受講者もいましたが、実は事前に予習をして来るように連絡してあり、決して「突然」ではなかったのです。
※「ユニキャスト」とは、単一の送信相手を指定して、データを送信することです。
まず「192.168.50.59/30」は
ネットワークアドレス:192.168.50.56
ホストアドレス:192.168.50.57~192.168.50.58
ブロードキャストアドレス:192.168.50.59
とななるので、ユニキャストではありません。
次いで「172.30.136.255/18」は
ネットワークアドレス:172. 30.128. 0
ホストアドレス:172. 30.128. 1~172. 30.191.254
ブロードキャストアドレス:172. 30.191.255
となるので、ユニキャストとなります。
そして「224.1.5.1」はクラスD(IPマルチキャスト用)なのでユニキャストではありません。
更に「255.255.255.255」は制限ブロードキャストアドレスなので、ユニキャストではありません。
よって、「172.30.136.255/18」が正解となります。
この問題を解くためには、サブネットマスクからネットワーク部・ホスト部・ブロードキャスト部の算出方法や特殊利用IPなどの知識が必要となり、実際、この問題を即座に回答出来る人は少ないです。他にも2つほど演習問題を行い、丁寧な解説を行う事で、どの様な問題が出題されるのか、どの様な知識を身につけなければならないのか等、肌で感じて貰う事が出来たのではないでしょうか。
受講者の顔色が悪くなった気もしましたが、恐れずに挑む決意の表情だったと記憶してます(多分…)。
1-4.ハンズオン(体験学習)
初回から頭が混乱している受講者に対し、「さて、実機演習しましょう」と明るい講師の声と共に、蜂の巣をつついたように受講者が実機に群がります。(きっと座学はお腹いっぱいで、早く実機に触れたかったのでしょう)
今回のハンズオンは、下記のラインナップを実施しました。
<ハンズオンラインナップ>
・CiscoルータとPCをコンソールケーブルで接続する
・PC上のターミナルソフト「Teraterm」の操作に慣れる
・ルータの操作に慣れる
・「?」(ヘルプ機能)とTAB(補完機能)に慣れる
・コマンドの省略形とコマンドヒストリを活用する
・今動いている設定を確認する(running-config)
・ルータに名前を付ける
実際のハンズオンの様子。実機を触る事で経験値は飛躍的に伸びるので、本当に楽しそうでした。
2.次回予告
第2回CCNA勉強会は「IPアドレス」について重点的に講義します。
ラインナップ:
・IPアドレスとは
・IPアドレスの運用方法
・IPアドレスの使い方
・IPアドレスを設定しての疎通確認 <ハンズオン>
一部NW基礎技術勉強会第2回目の内容と重なりますが、座学で学んだ内容を基に、皆さんには実機(PCやルータ等)に対してIPアドレスの設定をして頂きます。 授業を通じて、通信を行う上でIPアドレスの知識がどれだけ大切かを実感出来ます。次回もしっかりと学びましょう。
3.受講者の声と評価
今回の参加人数15名、辛口の受講者アンケートでは、満足度が平均「86.9点」を獲得し、「初心者のため基礎から講義していただき、学習に入りやすかったです」「実機を使った講義が身に入りやすく勉強になります」「IPアドレスの問題の解き方についてとても理解が進みました」「講師の方々が各テーブルを回り補足情報などを教えてくださるので良かったなど、多くの評価を頂きました。
また過去の受講生からも、「勉強会で教えて頂いたことが現場の業務に役立ちました」というコメントを数多く頂きました。
しかしながら、「実機の実習の割合をもう少し多くして欲しい」「詳しい計算の解説が欲しい」「もう少し詳しく説明して欲しい」など、短時間で多くの内容を講義するには、予習・復習をしっかりしておいて貰う必要があり、次回の勉強会までに課題を確実にやってくるように指示するなど、課題が見えてきました。
4.勉強会で伝えたい事
今回の勉強会で最も伝えたいことは、「勉強会への参加だけでは資格は取れない」と言う事です。本気で資格取得を目指すならば、事前に告知してある講義内容を予習し、受講した内容を復習し、そして過去問題を徹底的に繰り返し、その上で分からない事を講師に質問する…と言った「自主的な学習姿勢」で臨んで頂きたいです。
勿論、業務都合などにより勉強会へ参加できなかった受講者へは、補講を実施する事で100%受講を目指しますし、理解できない箇所については、とことん説明して確実に理解できるようにフォローします。
誰一人欠けることなく、全員でCCNAを取得するように講師陣も本気で頑張りますので、皆さんも本気で頑張りましょう!