メタバースとは何か?全くの初心者でも理解できるメタバースの基本をweb3から解説

メタバースとは何か?初心者でも理解できるメタバースの基本をわかりやすく解説

福井克明(編集長)

ENGINEER.CLUB編集長/ボールド経営戦略本部長/50歳/ボールド歴8年

最近、メタバースという言葉を聞く機会が増えてきました。

そもそもメタバースとは何のことなのか。何となくは分かるけど、きちんと理解できていない。皆が先を競ってやっているように感じるが、それほど急ぐ必要があるのか判断ができない。メタバースが拡大するとどんな世界が訪れるのか分からない。そういう方も多いのではないでしょうか。

プレイヤーを増やさないことにはメタバースそのものが加速しないので、わざと有益性を安易に説明したり、先行者メリットを説く人が大変多いので錯覚しがちですが、(一部の人を除いて)それほど急ぐ必要はありません。今回はその辺りを整理し、読者の皆さんにとって各々良いペースがみつかり自分らしくメタバースと関わっていけるようにまとめてみます。

またメタバースをきちんと説明するにはweb3と呼ばれている領域すべてについて理解して頂く必要がありますので、本稿ではメタバースに軸足を置きながらも、できるだけ簡易に初心者の方にも分かりやすくweb3全体も紐解いていきます。

※新しい言葉がかなり多いので、分かりやすさにも限界はあります。2章の2に新しい語句が沢山出てくるので(超かんたん解説)と(通常解説)を両方書いてあります。長い説明を読むと眠くなってしまう人は、超かんたん解説だけを読んで次に進まれることをお薦めします。

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目次

1.メタバースとは何か

メタバースとはそもそも何なのか。

分かりにくい一番の理由は、これがメタバースの全てだというものはどこにも存在しておらず、様々なサービスの総称であるからです。しかも各サービスの提供者がまるで自分たちが提供しているものがメタバースの全てだのような書き方をするので、受け手が混迷しているというのが現在です。

インターネットという言葉が世の中に出始めたころに少し似ています。
言葉の定義を丁寧にやると、それだけでかなり長い解説になってしまいますので、今回はメタバースを最も広義に捉えて、具体例や今後について考察を進めていきたいと思います。

1-1.メタバースとはインターネット上の仮想空間のこと

メタバースとは、インターネットの中に構築された「仮想空間」のことで、英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語です。(インターネット上で無いところにもメタバースと呼ばれるものもありますが、ほぼ全てはネット上のサービスです)

最初にメタバースという言葉を用いたのはSF作家のニール・スティーヴンスンで、1992年に発表した『スノウ・クラッシュ』の中で架空の仮想空間サービスの名称でした。その後、欧米を中心に仮想空間サービスが登場し始めると、それらの総称として用いられるようになりました。

日本においては昨年(2021年)以降に出た仮想空間や仮想サービスをメタバースと呼ぶようになりましたが、それまでにあったVR(仮想現実空間)とかサイバースペース(電脳空間)と呼ばれているものとほとんど変わりません。

もっと言うと、従来にあったweb2.0と呼ばれるインターネットサービスとも大して違いません。違いと言えば、空間が二次元ではなく三次元になっており、サービス上の「自分」も文字や二次元のイラストではなく、あたかも自分の分身のような三次元の像(これを化身・アバターと呼びます)になっていること、そしてサービス上でお金が稼げるようになったことくらいです。(ただ、これが裾野が広がるという意味では大きな差になるのです)。

この概念は特に新しいものではなく、もともとテクノロジーが発展すればインターネットサービスは須らくそうなる予定でした。規定路線です。ですので、世界中で話題になっているfacebookが社名をmetaに変えたことや、彼らがmetaとして提供するサービスもあくまでもメタバースの一例に過ぎず、現段階では決して代表的なサービスではありません。

ちなみに、VR(仮想現実)用のゴーグルをつけるサービスの方が臨場感は増しますが、ゴーグルを必要としない(つまり普通のディスプレイやスマホの中に3次元的に見せられるだけの)サービスもメタバースと呼ばれています。

ではなぜ、いま急にメタバースが騒がれているのか。それは、高速通信環境の世界的整備が一気に進んだことと、ブロックチェーン技術に代表される「暗号資産を存在させる」ための技術が近年一気に整ったことと、先行者メリットを得たい一部の人たちが、一人でも多くの人をメタバースの世界に連れて行こうとしているからです。そこを今回は紐解いていくことにします。

1-2.メタバースの事例

2章以降の解説に入る前に、1章の後半では皆さんにメタバースをイメージしてもらいやすくするための例示をしておきたいと思います。

1-2-1.マトリックス

まずは、1999年公開のハリウッド映画「マトリックス」です。人間が「世界」として認識しているもの全体が実は仮想空間であり、人類は生まれてすぐに培養液のようなものに浸けられ、全身をケーブルで接続され、マシンの動力源として利用されており、意識だけは仮想空間に送り込まれ、そこが現実だと思い込まされているという設定でした。すごい設定ですよね。当時としては画期的な着想ですが、22世紀にはあり得てしまうかもしれないところまで現実が追いついてきたという感じです笑。

1-2-2.セカンドライフ

次に2003年に、サンフランシスコに本社を置くリンデンラボ(Linden Lab) 社がサービスを提供しはじめた「セカンドライフ」です。こちらは、映画の中のフィクションである「仮想の仮想空間(笑)」ではなく、実在する「本当の仮想空間」(誰か適切な日本語教えてください笑)でした。

実は私はかなり初期のセカンドライフユーザーなのですが、15年前(日本語版の初リリースは2007年)のあの当時、入ってはみたものの何をしていいのか全然分からずにいました。しかし、コンセプトとしてはまさにメタバースであり、先見の明があったと言えると思います。

ただ、いかんせん高速度の通信環境が当たり前のインフラになっていない時代、使い勝手も悪いし、動作も重いし、背景やオブジェクトの精緻さも未熟で、全てが「早すぎた」というのが総括です。(※メタバースの失敗例として語られることが多いセカンドライフですが、ピーク時に比べれば減ってはいるものの今なおDAUと呼ばれる1日あたりのアクティブユーザーが20万人いると言われており、きちんと1サービスとして存続しているあたりにも、メタバース本来の需要の強さを感じます)

この二つのことから言えるのは、メタバースは最近になって新たに産まれた概念ではなく、既に20年前からあった「インターネットの近未来」概念であり、ようやくそれを快適に実現できる時期が来ただけ、と思っていただくために先に歴史に触れました。

1-2-3.あつまれどうぶつの森(あつ森)

最後にうんと直近のもので、かつ最も皆さんの身近にある。垣根の低いメタバース事例として、任天堂のスローライフゲーム『あつまれ どうぶつの森』を挙げておきましょう。

無人島に自分の部屋や庭を開発していくだけの「そもそもゲームなのか?」と思うようなコンセプトです。島を飾ったり、住民と交流したり、季節ごとのイベントを楽しんだりしながら、無人島の住民として「リアルの日常とは違う生活を満喫」するゲームです。オンラインにつなぐことで他の人の島を見たり、自分の島を見せたりすることもできるので、オンライン上での交流も楽しむことができるようになっており、まさに最も日本国民の身近にあるメタバースと言えると思います。

1-2-4.バーチャルオフィス

コロナ禍でテレワークに移行する企業が増えました。最初のうちはzoomslackを活用しながらオンラインでなんとかやっていたものの、長期化してきたことで、一部の企業ではサーバー上にバーチャルオフィス空間を用意するようになりました。

各社員のアバターを置き、あたかもそこに全員で集まって仕事をしているような空間を作りだしています。会議スペースがあったり、休憩スペースがあったり、個人ブースもあったり、2次元でなく3次元的に構築されているバーチャルオフィス、あれもひとつのメタバースです。


2.今なぜメタバースなのか

20年以上前からその概念はありサービスも提供されていたにも関わらず、なぜ今これほどメタバースという言葉が取り沙汰されているのか。そこには3つの理由があります。

一つ目は、世界的に廉価で高速(大容量)な通信網が整ったことにより三次元の世界が構築(使用)しやすくなったこと。

二つ目は、ブロックチェーン技術の確立により、いわゆる「web3」と呼ばれるインターネット第3フェーズが到来し、その中でも特に重要なファクターであるNFT(後述)の流通場所としてメタバースを隆盛させることが必須だから。

三つ目は、web3のサービスの中で最も汎用的・日常的で裾野が広いサービスがメタバースであり、従来の全てのツールやコンテンツのうち多くのものが今後メタバースに移行する可能性が高いから、です。

2-1.5Gの普及

いまインターネットの世界はスマホやタブレットなどモバイル端末からの接続が主流です。
しかし、モバイルで高度なコンテンツやサービスを快適に受けるためには、大容量の通信回線の整備が欠かせません。2019年に、アメリカ、韓国、イギリスなど世界19ヵ国が5G(第5世代)の商用サービスをスタートし、遅れて日本でも2020年春に商用サービスがスタートしました。

5Gの特徴は、「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」で、4Gと比べて通信速度は20倍、遅延は10分の1、同時接続台数は10倍の進化が見込まれています。さまざまなサービスやビジネスでの活用が期待されています。

3Gから4Gに移行した際に、快適さがぐんと上がったのを記憶している方も多いのではないでしょうか?その4G20倍の通信速度ですから、出来ることがうんと広がることは想像に難くないと思います。新たにできるようになることの最たるもののひとつが、3次元の「仮想空間」サービスであるメタバースな訳です。セカンドライフのコンセプトは、黎明期としては秀逸でしたが、いかんせん動作が重かったのです。それがサクサク動く時代が来たということです。

2-2.Web3web3.0)の到来

 

(超かんたん解説)

web1.0はインターネットという言葉が国民に浸透してホームページがやっと整ってきた時代。web2.0はブログやSNSで個人が発信しまくって、その個人が沢山集まるプラットフォーマー(GAFAM)が大勝利した時代。

web3っていうのはその次の世界ってこと。まだどうなるか全然分かっていません。

(以下、通常解説)

インターネットの世界はwindows95の普及で一気に加速した1990年代後半、まだ通信速度も遅く情報が一方通行でした。各種ホームページなどの静的ウェブページにおける情報提供、それを最適に探すための検索エンジンなどが一気に普及した時代からスタートしました。(これを遡及的にweb1.0と呼ぶ人がいますが、当時は1.0もへったくれもなくそれがインターネットの全てでした。)

それから約10年後、2000年代後半にweb2.0の世界がやってきます。Webのプラットフォーム化が加速した時代であり、代表的なサービスとしてソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS) 、電子掲示板、ブログなど、web1.0における「読み手」が情報の発信源「書き手」になりました。それから約15年、web2.0の闘いは情報が集積される「プラットフォーム」としてどれだけ多くのユーザーを囲い込めるかに特化し、(紆余曲折はありましたが)GAFAMに代表される一部の巨大企業の圧勝で決着します。

そしていよいよweb3の時代が到来します。(人によってはweb3.0と表記する人もいますが、同じものです。なぜか2web2.0と呼ぶ人が多く、3Web3と言う人の方が多いようです)。Web3の定義も曖昧な面はあるのですが、端的に言えば「パブリック型のブロックチェーンを基盤としたインターネット」となります。2014年に、暗号通貨「イーサリアム」の共同創設者であるギャビン・ウッドによって提唱されました。

2-2-1.ブロックチェーン技術の進化

(超かんたん解説)

ブロックチェーンとは、デジタル上のデータをブロックのような形でチェーンのように数珠繋ぎにして管理する技術です。履歴が全部公開されているので改ざんしたり盗んだりが出来ないようになっています。500円玉の裏にこれまでの全ての持ち主が刻印されているような感じです。盗まれない前提ですが、盗まれても誰のものか分かりますよね。

(以下、通常解説)

ブロックチェーンとは何ぞやということを本気で丁寧に書くと、本1冊分くらいの分量になってしまいます。端的にまとめるのが難しいのですが、ブロックと呼ばれるデータの単位を生成し、鎖(チェーン)のように連結していくことによりデータを保管するデータベースで、内容や取引履歴を改ざんすることが出来ず、かつシステムダウンが起きず、データ同一性などを中央管理ではなく自律分散システムにより実現する技術です。分かりにくいですよね。

もう少しかみ砕くと、これまでの世界では、あるデータ(銀行の預金口座の残高や、SNS上のある公式アカウント情報など)が正しいかどうかは、それを証明する中央機関(三井住友銀行などの金融機関やfacebookなどのプラットフォーマー)への信頼性により成り立っており、データを改ざんされないよう守るのが中央機関の重要な役割でした。それが不要になるということです。web3は「中央集権からのインターネットの解放」と言われる所以です。

2-2-2.ブロックチェーンで出来ること(暗号資産の流通)

(超かんたん解説)

ブロックチェーン技術で発行した暗号資産を「トークン」と言います。外国の地下鉄などに乗る際に現金でトークンを買いますよね。つまり現金と同じ価値を持ったものの総称です。トークンにはFTNFTがあります。

(以下、通常解説)

ブロックチェーン技術によって出来るようになったことの中で最大の価値は、ひと言でいえば「暗号資産の流通」が可能になったことです。ブロックチェーン技術を使用して発行した「暗号資産」の総称をトークンと言い、トークンにはFT(Fungible Token:代替性トークン)と呼ばれる「法定通貨などと交換できる暗号資産」と、NFT(Non- Fungible Token:非代替性トークン)と呼ばれる「法定通貨との互換性がなく、デジタルデータの唯一無二の価値を持たせた暗号資産」の2つがあります。

2-2-2-1.FTFungible Token:代替性トークン)
(超かんたん解説)

FTとは代替性トークンのことで、今リアル社会で各国が使っているお金(法定通貨)に変えられるもの。仮想通貨のこと。

(以下、通常解説)

FTに分類されるものの代表例は仮想通貨です。仮想通貨は「不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換でき電子的に記録され移転できるもので、法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではないもの」と定義されます。

要は、日本銀行などが正当性を証明する「円」などでなく、ブロックチェーン技術によって正当性が検証される通貨がどんどん出来てくるといいうことです。法定通貨と相互に交換できますので「代替性トークン(FT)」と呼ばれ、実際、交換は出来るには出来ますが、仮想通貨そのものの価値がまだ明確に見定まっていないため、ボラティリティが高く価値が激しく上下動します。
【例】ビットコイン、イーサリアムなど。

2-2-2-2.NFTNon- Fungible Token:非代替性トークン)
(超かんたん解説)

NFTとは非代替性トークンのことで、ブロックチェーン技術で「本物」と証明されているデジタルデータの総称。絵画やアバターに着せる服などのデジタルアーツや、ゲーム内で育てたキャラクター、有名人のサインなど。リアルの「モノ」と違いデジタルデータは本物かどうかが分かりにくかった。NFTが出来たことにより、誰でもコピーできる時代が終わり、デジタル資産の価値が守られるのでセンスさえあれば個人がどんどんクリエイターとして稼げる日が来たという感じ。

(以下、通常解説)

FTに反して、NFTはその名の通り法定通貨との互換性がありません。また、ジタルデータに唯一無二の価値を持たせ、仮想通貨は同一のものが多数存在し固有の識別を持たない(1ビットコインはどのコインであってもい1ビットコインである)のに対し、NFTはひとつひとつが識別された固有の存在となります。例としてよく挙がるものに、Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏の記念すべき初投稿のデジタルデータなどがあります。

これまでの世界では、これが初投稿のデータだと言われても、誰でもかなり簡単に偽造できますし、どれが本物か分かりませんよね。それがブロックチェーンの技術によって、唯一無二の本物だと証明できるようになるということです。

また、それほど特異なデータでなくとも、例えば洋服のデザインなどでも、今までは誰かが秀逸なデザインをしても即座に真似ることが出来ましたが、NFTとして製作すれば見た目が同じデザインでも「誰の手によるものか」が明確にできるようになります。つまりデザイン等のデジタルデータも資産化できブランド化も可能になるということです。

ひとつひとつの暗号資産が個別の価値を持つことになるので、相場などがなく、従って法定通貨との為替レートが存在しないだけで、その資産に需要さえあれば相対取引でいつでも売れます。主にNFTマーケットプレイスという場で売買され、仮想通貨のイーサリアムで取引されることが多いです。コピーや改ざんが容易で、信ぴょう性を確保するのが極めて難しかったデジタルデータに、明確な唯一無二の資産価値をつけたられるようになったことが極めて画期的であり、今後このマーケットが急伸すると予測されています。

2-2-3.NFTを売るためのプラットフォームとしてのメタバース

(超かんたん解説)

ユーザーがNFT(何らかのデジタル資産)を買っても、それを使用したりどこかに飾ったりして「他人に見せられる場」がないと付加価値が大きくならないし、転売したりする相手も増えない。その場として最適なのがメタバースであり、NFT経済圏を伸ばしたい人たちは必死になってメタバースに人を呼び込んでいる。

(以下、通常解説)

ブロックチェーン技術の進化により暗号資産としての仮想通貨(FT)やNFTが実現してきたことはお分かりいただけたと思いますが、それとメタバースがどう関わっているのでしょうか。

実は、特にNFTの市場を発展させるためにはどうしてもメタバースの発展が欠かせないのです。メタバースでの生活を送る人が増え、滞在時間が伸びていかないと、デジタルデータの付加価値が伸びません。例えば、先ほどの洋服のデザインをひとつ取っても分かると思いますが、素敵なデザインを持っていてもそれほど価値を感じられませんが、それをメタバース内の自分(アバター)に着させることで、充足感を得たり、またそれをメタバース内の他人に見せることが出来るからこそ付加価値が上がります。

メタバース内の自分の部屋に、ジャックドーシーの初投稿データが飾ってあるとか凄いね!という話になるわけです。メタバースが急に煽られ気味にバズって来た背景には、このあたりの経済圏を伸ばして先行者メリットを取りたい人たちの利己的な思惑があるからです。

2-3.もうひとつの日常世界としてのメタバース

最後の最後、3番目に書くなよという話なのですが、メタバースの本質的な意味はリアル社会とは分離された「もうひとつの世界」を持てることです。既にweb2.0の現社会において、スマートホンの利用時間は劇的に伸びています。

KDDIの調査では、18歳~22歳までの6割の人が12時間以上スマホで何らかのネットサービスを利用しており、実に22.7%の人が5時間以上使用しているそうです。(出典:https://time-space.kddi.com/au-kddi/20210415/3098)もはや完全に生活の一部ですし、余暇時間内だけでの比率で言えばリアルを逆転している人も多数です。メタバースの登場により、この比率が更に格段に伸長すると思われます。

2-3-1.仮想空間の魅力(魔力?)

前述のKDDIの調査からも分かるように、スマホで利用しているネットサービスの主流は、①SNSでコミュニケーションを取る、②動画を見る、③音楽を聴く、④ゲームをする、⑤情報検索をする、⑥ショッピングなどとなっています。これらのほぼ全てのサービスがメタバース内で提供されるようになりますし、特に①のコミュニケーションの部分が2次元から3次元になることで劇的に進化します。

メタバース内にもうひとつの世界があり、自分の街があり、自分の部屋があり、自分の化身(アバター)がおり、友もいる。街に出ていけば、リアル社会よりも格段にハードル低く他人との会話ができ、知り合いも増える。2次元の文字や画像情報よりも、相当に没頭できる要素があります。文字と画像だけで2次元のやり取りをしている現在のコミュニケーションよりも数段にリアリティが生まれます。

例えば、チャットの文字情報で知り合った相手に恋心を抱いたとしても、それは文字で伝えるしか手段がありませんでしたが、メタバースであればアバター同士で手を握ることも、身体を重ねることも可能です。2次元でただ黙っていると、通信が切れたのかと思われるシーンでも、3次元であれば一緒に黙って存在するだけの空間も価値を持ち、同じ景色を見ていることそのものにも価値が生まれます。

それにより、2次元のコミュニケーションに比べ滞在時間がかなり長くなると言われており、いずれは本来2次元のままで良いもの(3次元になっても大して価値は変わらないもの。例えば動画を見るとかニュースを読むとか音楽を聴くとか情報を検索するとか)もどんどんメタバース内のサービスとして収斂していくと言われています。

2-3-2.匿名性と転生性の魅力(魔力?)

メタバースの世界が日常と化していく重要なファクターとして、匿名性(リアル社会における誰だかは分からない。年齢も性別も自由に設定して生きることができる)と転生性(何度でもゼロリセットできて赤の他人としてやり直せる)があると思います。

リアル社会ではとかく面倒な人間関係があり、既に出来上がってしまっている人格やブランディングがありますがメタバース内では全く新しい自分になれます。そして何度でもやり直せます。

もちろん、匿名性とは言ってもその世界で積み上げていく人間関係やブランディング(や資産)もありますので、軽々にやり直しまくる人も少ないと思いますが、全く新しい人格に挑戦でき、かつ何度でもやり直しが効くという気軽さはやはり魅力になります。ただし、それはweb2.0でも同じでした。では何が違うのでしょうか。それは、経済性がついてくるか否かという点に尽きます。

2-3-3.匿名経済圏

Web2.0の世界ではどれだけ匿名で遊んでも、何か経済活動を行う際には売るにせよ買うにせよ、法定通貨しか存在しておらず、法定通貨を使うからには絶対的に実名が必要でした。

Web3の世界では匿名経済が成り立つ可能性が出てきています。例えば、あるデジタルデータを制作しNFTとして売買する。対価を仮想通貨で得る。次に得た仮想通貨で、今後価値が上がりそうな仮想通貨に投資(交換)する。その仮想通貨が高騰した利ザヤで高価なNFTを購入したり、魅力的なプロジェクトに出資をしたり再投資することが出来ます。

メタバースでの世界をどれほど重要視するか、メタバースの世界とリアルの世界のバランスをどのように生きるかにもよりますが、メタバースの中でかなりのものが完結するようになると、匿名のまま経済活動が出来ることになります。ここが現状の法整備では非課税となっているので、実はweb3の激震は国税庁の方が震度が大きいのかも知れません(笑)。

最終最後、リアル社会での生活に使おうと思えば、NFT→仮想通貨→法定通貨への変換が必要であり、そこでは実名になりますが、この「経済性がついてきた」ことが、世界を大きく変えると言われている最大要素のひとつであることは間違いありません。

2-4.GAFAMとメタバース

だからと言って何故そこまでメタバースが大騒ぎされるのかというと、GAFAM(ビッグテックと呼ばれるGoogle,Apple,Facebook,Amazon,Microsoftの5社)が圧勝したweb2.0の世界が終わり(彼らの優位性は今後ももちろんあるものの)必ずしもGAFAMが覇権を取れるとも限らないweb3の闘いが始まったわけであり、ITを生業とする企業にとっては大手からスタートアップまで全ての企業にweb3世界での新たなGAFAM級の企業になれるチャンスがあるからです。

というのも、いまプラットフォーマーとして圧倒的な数のユーザーを抱えているGAFAMではありますが、各社各々の事業モデルや背景により必ずしもweb3で覇権を握ると言えない状況です。

その上、前述のとおり、web3の世界観は「中央集権からの脱却」でもあり、それは自然な趨勢でもあるのですが、踏み込んで言えば、GAFAMのサービスを好んで使っていたユーザーたち自身がGAFAMから解放されたいというモメンタムすらあります。もちろん、「meta」に社名を変更したfacebookが仮想通貨DiemLibra)を推進しようとしていったん断念していることもありますし、世界の金融を根底から覆すくらいの野望を持っています。ここは今後の動きを見守らないとなんとも予測しがたい領域ではありますが、新興勢力にも大きなチャンスが到来した局面であることは間違いないのです。

2-5.なぜ今メタバースなのか(小まとめ)

20年以上前から概念としては存在していた3次元の仮想空間サービスが快適に提供できる通信インフラが整ったからであり、そこにブロックチェーンの技術により主にNFTをメインとした経済性がつき、またweb2.0の世界で決着がついていたGAFAMの牙城が崩れ、新たに市場の取り合い(新世界の覇権争い)が始まりつつあり、web3で起こる変革の中で最も一般ユーザーが大量に流入してきそうなサービスが「生活」に紐づいたメタバースの領域であるから、という感じです。

自然な流れではあり、ただし、一部の先行者利益を目指す人たちによって煽りに煽られているのが現状という感じです。煽りに乗った方がいいかどうかは、第5章で読者の皆さんの特性ごとに分類して提唱します。


3.メタバースで今できること(具体的なサービスの紹介)

それでは構造的理解が進んだところで、今メタバースで出来ることを幾つか挙げてみましょう。

3-1.疑似生活を送る

メタバースの本質中の本質というか、仮想空間に自分の化身(アバター)を持ち、そこで生活してみるということです。

現状では、ゲームをやるとかライブに参加するとか特定の目的を持ってそのためだけにメタバースに入るという使い方の人も多いようですが、最終的には余暇の時間の多く(ゆくゆくは仕事の時間も)メタバースで過ごしてもらう、そういう世界観を創ろうというのが潮流です。ですので「生活してみる」というのが一番正しい?使い方であり、以下の項目は全て生活の中の一部に溶け込んでいくイメージです。

3-2.ライブを鑑賞する、スポーツ観戦する

最近はコロナ禍の影響もありリアルなライブを開催しにくい環境になっており、それもまたメタバース上のライブ講演を加速させました。ただのネット配信と違い、自分がそこに参加している感覚が強く好評のようです。2021年に米津玄師がゲームの『フォートナイト』内で開催したライブなどが有名ですね。

また、スポーツ観戦もメタバース上で盛り上がりを見せています。直近では2022329日に渋谷区公認プラットフォーム「バーチャル渋谷」内の特別ステージで、サッカーのアジア最終予選の応援イベントが実施されたりしています。その場でアンケートを取ってトークテーマを決めたり、ゲストの隣でクイズに参加したり、ゲストと交流しながらイベントを楽しめたりと工夫が凝らされており、かなりの盛り上がりだったようです。

3-3.ゲームをする(GameFi

もともとソシャゲ(ソーシャルゲーム)をやっている人にとっては、やはりゲームからメタバースに入っていくというのが最も自然な流れなのかも知れません。メタバースになる前から、ソシャゲの中での自分のキャラクターを確立し、リアル社会よりもソシャゲの中にいる時間の方が幸せだという人も多数のようです。

ただ、ソシャゲの中にもヒエラルキーのようなものが出来たり、人付き合いで悩んだり、課金を多くする人の方がもてはやされたりと、結局リアルな社会と同じような展開になるようですが、ひとつ大きく違うのは匿名性と転生性が高いので、何度でもやり直しが効くことのようです。(すみません、筆者があまりゲームをやらないので伝聞形が多いです笑)。2次元のソシャゲでも相当な時間をソシャゲ内で過ごす人が増える中、メタバースのゲームだとそれがもっと長時間化するというのが社会問題になる日も近いかと思われます。

また、web3の時代になり最も大きく変わってきたのがGameFi(ゲームファイ)と呼ばれる概念により「ゲーム内で稼げる」ようになったことです。GameFiとはその名の通り、ゲームと金融がかけ合わさった概念で、ゲーム内で敵と戦ったり、大会に参加したりすることで仮想通貨で報酬を得られるのです。また、ゲーム内のアイテムや自分が育てたキャラクターなどをNFTとして販売することもでき、その対価としても仮想通貨を得られます。更に自分の保有する仮想通貨を銀行預金のように運営サイトに預け、「利子」を受け取ることすらできるようになりました。

2-2-2-1でも触れましたが、仮想通貨は代替性トークンなので、リアル社会の法定通貨への交換が可能です。ゲーム内で得た仮想通貨を実際のおカネに換金できる。「プレー・トゥー・アーン(Play to Earn、P2E、遊んで稼ぐ)」が実現するようになったのです。「ゲームばっかりやってるんじゃない!」と親に怒られる時代の終焉ということでしょうか。筆者は感覚が古いので、喜んでばかりはいられないのですが…。(実はこのゲームの中で稼ぐというのも、より稼げるようになるためのアイテムが転売で暴騰していたりちょっと投機じみているのが現状です。ちゃんと働いて報酬を得られるようになる日は遠いですね)

3-4.モノを作って売る(NFT

ゲームの中で自分が得たアイテムや育てたキャラクターを売ることが出来ると書きましたが、メタバースの世界ではゲームの中に限らず、様々なデジタルデータを売ることができます。

最も分かりやすい例で言うと、化身(アバター)に着せる服や、自分で書いた絵(デジタルアート)などです。デジタルデータを販売することの難しさは、すぐに改ざんされたりコピーされることにありました。しかし、NFTの登場によりそれが自分の製作した本物であり唯一無二のものであることが証明できるようになりました。

極端な話、自分のデザインがバスれば、世界中の人に買ってもらうことができますし、偽物はどこまで行っても偽物だと分かるということです。そして何より、デジタルアートは工場を持たなくても大量生産が出来ます。リアルの社会で服を世界中に売ろうと思えば、H&Mやユニクロのような製造拠点と販売網を持たねば勝負になりませんが、デジタル資産であれば個人で大量生産が可能になります。

また、本来プログラミングが出来る人(コードが書ける人)にしか作れなかったデジタルデータですが、現在は素人でもノーコードで綺麗なデザインができるようになっています。例えば、2021年に小学3年生の通称「Zombie Zoo Keeper(ゾンビ飼育員)」君が、iPadの無料アプリを使って描いたピクセルアートが、約80万円(に相当する仮想通貨)で落札されました。これは海外の有名なDJが購入し、拡散させたことで人気に火がつき、そこに転売目的で早めに入手しようとする人が殺到したことによります。小学3年生でもアートを自力で販売できる時代が来たということです。

そのほか、20219月に香取慎吾さんがNFTアートを用いたチャリティイベントを開催し、自身が描いた壁画をNFTアート化し、それを3,900円寄付した参加者に付与しました。参加順に「No00001NFT i enjoy!」というシリアルナンバーが入っており、同じアートだけれどもひとつひとつに個別の価値を与えることができるのもNFTの特徴です。

3-5.投資をする(仮想通貨、土地など)

最もニュースになりやすいのが、仮想通貨やメタバース内での土地への投資です。

今は将来性への期待が先行している段階ですので、自分が持っている仮想通貨や何の気なく買ったメタバース内での土地が急騰したり急落したりします。仮想通貨はで最も有名なのはビットコインです。他の多くのコインが特定の企業や特定のメタバース内での流通に限られているのに対し、ビットコインは「世界中に流通させ日常の中で使えるようになる」ことを目的としており、最終的な総発行高も定められていることから高騰しました。

また最近ではメタバース上の土地(例えばメタバース上の渋谷駅前の土地等)が瞬時に売り切れたり、高騰しているというニュースも見かけるようになりました。加えて、海外の高級ブランド「グッチ」がメタバース内で土地を購入したというニュースや、渋谷の「109」運営会社がメタバース上に渋谷の街をつくりあげると宣言したりしたことで、ますます賑わいを見せています。

ただし、ここで気を付けなければならないのは、仮想通貨もこのあとどんどん増えてきますし、国家や中央銀行が発行するデジタル通貨なども出てきます。また、土地に関して言うとメタバースはどこにでも幾つでも作れます。極端な話、渋谷駅前が500個できてもおかしくないです。現在の熱狂ぶりはバブルと呼ぶにふさわしいレベルと思われ、投資というよりは投機と言えます。その土地があるメタバースの運営者が成功するかしないかに掛かっていますので、出来たばかりのスタートアップの企業の株式を買うレベルか、もっと言えば、宝くじを買う感覚(1等が当たるか末等しか当たらないか)くらいでないと、後悔することになりかねません。

3-6.組織の一員として運営に携わる(DAO

最後にDAODecentralized Autonomous Organization)について触れておきましょう。日本語に訳すと「分散型自律組織」となり、世界中の人々が協力して管理・運営される組織のことです。

組織の目的は様々で、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨そのものを運営するものもあれば、皆で話し合ってNFTに投資するものや、メタバース上の土地を買うもの、今後のメタバースについて語り合うもの、目的は様々です。

参加したい人は、そのDAOに参加する条件となっているガバナンストークンという(そのDAOで流通している)仮想通貨を買うことで誰でも参加できます。DAOの特徴として、会社で言うとことの社長のようなTOPの存在がおらず、皆で話し合って組織運営がなされます。また、組織に対して貢献した内容などにより報酬を得ることもできます。


4.メタバースが産み出す世界

ここまでの章で、メタバースはそもそも何なのか、web3と呼ばれる領域のさまざまな技術や言葉、サービスなどについて解説してきました。4章では、今後メタバースが産み出す世界観や想定されるサービス(筆者が勝手に熱望しているサービス)などを紹介していきます。

4-1.コロナ禍によりリアル社会からメタバースへ。

コロナ禍より以前からメタバースは存在していた訳ですが、2 章で触れたように通信速度を始め様々な技術が進歩した時期に、更にコロナ禍が重なったことで従来リアル社会で行うことが当たり前だった事の多くがオンラインへ移行することになりました。

今後もこの潮流は続き、単にオンラインになるだけではなくメタバース内で行われるようになるサービスが爆発的に増えると思われます。「食事を摂る」「モノを運ぶ」などに代表される「絶対にリアル社会でなければできないこと」以外の多くのサービスがメタバースへ移行するのではないでしょうか。ゲーム、ライブ、スポーツ観戦、映画鑑賞などの趣味の多くはもちろんのこと、買い物、学習塾などもメタバース内で完結できるようになるでしょう。そしてそれらのサービスにまつわる「お仕事」も全てメタバース内に移行することになります。

4-2.メタバース内で仕事をし報酬を得る社会

今はまだ投資や投機が大多数を占めるメタバースですが、次第に生活に必要な全ての収入をメタバース内で十分に得ることができる人の数も増えてくると思われます。4-1で書いた「仕事の場そのものがメタバースに移行した方々」だけではなく、デジタルアートを作って売ったり、DAOで大きな役割を果たして収入を得たり、従来のリアル社会では実現しにくかった新しい収入の得方も増えてくるものと思われます。この比率が高まれば高まるほど、リアル社会とメタバースの境界が混沌としており、多くの人が睡眠時間以外のほぼ全ての生活時間をメタバースで過ごす日も遠からずやってくる予測です。

朝起きると、メタバース内に出勤し午前中は仕事をこなし、ランチはかろうじてリアル社会に戻ってきて食べるとして、午後からはメタバースに戻って仲間と一緒に映画鑑賞をしたあと、投資物件を物色し、夕刻からはメタバース内で学校の進路相談に顔をだし、その足でDAOの会合も済ませて、リアル社会に戻って夕食と仮眠。翌日からメタバース内で友人と23日のヨーロッパ旅行(メタバースなら日帰り欧州も可能)に出かけるため、深夜に起きて仕事を少し片付けておく、というような世界観もそれほど遠くないかもしれません。

4-3.リアル社会で体験が困難なことのバーチャル化

まだまだ現在のメタバースのレベル感だとリアルの代替えにはなりにくいものの、今後クオリティが高まることで「リアル社会で体験が困難なこと」ほどメタバースに置き換わっていくのではないかと考えられています。

4-3-1.海外旅行

その最たるものが旅行ではないでしょうか。時間的理由や経済的理由によって、行ける場所や回数が限られていますが、メタバースでならば安価に短時間で疑似体験できることになります。筆者の感覚から言えば、これがリアルの旅行の代替えになる日は遠いと思っていますし、できることならなって欲しくないとも思っていますが、クオリティの向上で体験価値が上がればそちらを選ぶ人も増えてくるでしょう。

4-3-2.バンジージャンプやスカイダイビング、スキューバダイビングなど

時間的理由や経済的理由もあるでしょうけれど、危険度が高いとか、準備のハードルが高い体験の多くがメタバース内で体験できるようになります。旅行と同様、リアルの価値と同等になるのは難しいでしょうけど、メタバース内で済ませる人も多いと思われますし、それがきっかけとなってリアルの社会での体験を求めるという流れにもなるかもしれません。

4-3-3.タイムスリップ(希望的観測)

リアル社会でMAPとストリートビューを作ったGoogleに、ぜひメタバースでやってもらいたいなと筆者が思っているのが、「地球まるごとタイムスリップ」です。

メタバース内に入ると、世界中のあらゆる場所を指定して、西暦何年ごろのどこどこの国に自分の化身(アバター)を置いて生活できるというサービス。これはもうリアルの代替えではなくメタバースでしか体験できないサービスですし、利用者は爆発的に伸びるのではないかと思います。ただ、壮大な世界を地球全体規模で幾つも作らねばならず(紀元後に限り50年にひとつでも、40個の地球)さすがに今すぐは出来ないかなと思いますが、筆者の寿命までにタイムマシンは出来ないでしょうから、あれば使ってみたいです。笑

4-4.メタバースの王は生まれるか(妄想)

Web2.0の世界ではGAFAMが台頭し、世界の時価総額ランキングの上位を占め、企業価値が国家予算に匹敵する規模にまでなりました。また多くの産業のIT化が進み、新たに生み出された経済圏もあるにはありますが、メーカーのポジションは守られ、マーケ・広告・販売のチャネルだけが一気にwebSNS経由に移転したイメージでした。

ところが、メタバースを中心とするweb3の世界はもしかするとメーカーそのものの存在が脅かされたり、業界そのものが衰退・消滅する領域が広いように思われます。

GDPの移転率が高いということは、それだけ地球の地図が書き換えられるということです。発展途上の国家にも、資源を持たない国家にも、いや国家レベルでなく一企業や一個人レベルであっても、全てのことがゼロリセットされ主戦場が変わり、闘い方が変わる可能性があるということです。その根幹のプラットフォームを握る人物が現れれば、国境を越えて地球の王とすらなりえるのです。(と妄想する人がいてもおかしくないレベルです)

4-4-1.そもそも中央集権的な世界が終わると言われるが

2章でも少し触れたように、web3の世界は中央集権からの解放であり分散型ガバナンスの時代と言われています。もちろん、技術的にそのようなことが可能になってきていますし、待望論が出るのも分かるほどGAFAMによる寡占化がひどかったとも思います。

しかし、分散型ガバナンスにはそれはそれで大変大きな障壁があります。結局のところ、運営を多数決で決めていれば衆愚に陥りがちですし、トークンの多い者に決定権を持たせれば資本力優性となり次第に中央集権化していきます。

幾ら技術が発達しようとも、それを使う「人類」は大きく変わっていない訳で、そのような画期的な組織が世界を席巻するには残念ながら時間がかかります。それくらい人の組織というものは難しいです。自律分散がしっかり機能する世界が最終的に来るかどうかにすら筆者はまだ懐疑的で、来るとしてもその前にweb2.5(ネーミングはナンセンスですが)とでもいうべき、中央集権のままweb3技術が進化する時期が過渡期として存在すると考えています。

4-4-2.GAFAMよりも可能性を秘めたtwitter

筆者自身、この壮大なタイトルである「メタバース」をいずれまとめてみる構想は以前からあったものの、なかなか重い腰が上がりませんでした。きっかけとなったのは、テスラとスペースXのイーロン・マスク氏がtwitter社を総額6兆円で買収すると発表した2022年4月26日のことです。マスク氏は超のつく変人のようですし笑、私レベルが想像するのもおこがましいですが…。

彼の事業は、リアル社会の主要産業である自動車業界でメーカーとして世界1位になることを十分視野に入れていますし、宇宙産業においてもまだまだ課題は多いものの最先端を走っているうちの1社です。その彼が、6兆かけてtwitterを欲しいと言う。彼らの投資感覚から言えば、6兆円が10兆円になっても全然意味がない、10倍の60兆円だとしても「だから何」の世界かと思います。とすれば、100兆とか200兆とか、なんだったら1000兆円を見に行く感じかなと妄想すると…、リアルな地球上の主要産業である自動車、次いで宇宙空間、それに加えて仮想空間(メタバース)でも王になる気だなと笑。ならば、そろそろメタバース書くしかないか、と。(イーロン・マスク氏は「人類がWeb3の世界に完全没頭することは無い」と言い切っておりますが、没頭するぐらい素敵なWeb3を作る気満々と踏んでいます。)

そういう目で見ると、twitterというメディアはメタバースのプラットフォーム化に適している面があります。第一に匿名性が高く(また公式アカウントなどのリアル性も混在させ、何より地球上のあらゆる事件に対してリアルタイム速報性に富み、そして誰もどこかに属するのはではなく(facebookのように友人という限られた世界でもなく)、全世界に一気に拡散できる機動力を備えています。

皆さんも想像してみてください。twitterがそのままメタバースになった感じを。メタバース上の渋谷駅前で知り合いと会話していると、街ゆくアバターたちが同じニュースを一斉にリツイートし始める感じ。普通の会話は白地、リツイートは黄色地などに別れていて、あっと言う間にメタバース内でも拡散する。そして、リアルのtwitterと連動させることで各メタバース内で同時に同じニュースがリツイートされる感じ。

twitterのプラットフォームに乗らないと連動させないよ!という中央集権なweb2.5が実現しそうな感じがしませんか?とにかく筆者は、群雄割拠で誰が覇権を握るのか分からないメタバースの世界に、実はいま一番親和性が高いリアル社会の(web2.0の)サービスはGAFAMではなくtwitterではないかなと感じています。そう考えると6兆円が急に安く見えてくるのです。笑

4-5.リアル社会とメタバース内のGDPが逆転する日

イーロン・マスク氏が王になるかどうかは別として(マスク以外の王が現れるかどうかも別として)、メタバースとリアル社会とのGDPが逆転する日は、来る可能性があります。案外早いかもしれませんし、逆にまったくリアル社会に歯が立たない可能性もあります。2022516日に共同通信が伝えたところでは、世界最大の経済コンサルタント企業「Analysis Group」は、メタバースの導入とその影響がモバイルテクノロジーと同じように進化すれば、導入開始10年後には世界の国内総生産(GDP)に2.8%寄与し得るとする報告書を公表したそうです。2030年くらいに世界のGDPに3兆ドル寄与する可能性があるということです。https://kyodonewsprwire.jp/release/202205161254

筆者はもっと早く強いインパクトでGDPに寄与すると思っていますし、寄与するだけでなくどんどんと移転していくイメージを持っています。仮に2030年が2.8%程度だとしても、そこから加速度的に伸びて2050年にはリアル経済圏が50%、メタバース経済圏が50%という世界があり得てしまうのではないかと予測しています。(嬉しいかどうかは別)

とにかく前出の共同のニュースにもありますように、メタバースは教育、医療、製造、職業訓練、通信、娯楽、小売りなど幅広い経済部門を大変革する可能性を秘めています。秘めているというより、必須の流れと見た方が良いでしょう。ですので、世界中の人がメタバースを無視できない日はすぐそこまで来ているということです。


5.メタバースをいつから始めるべきか

こういう論調で進めると、筆者もメタバースを結局煽るのかと見えるかもしれませんが、そうではありません。

どちらかと言えば危惧しています。ここまでメタバースを語っておいてなんですが、筆者はリアル重視派ですし、人類の多くがメタバースでの時間を優先し、仕方なく食事と睡眠だけしにリアル社会に戻るという世界にはなって欲しくないです。

ただ、この潮流は絶対に停まらないと確信していますので、ある程度、加速度的にメタバースがリアル社会を侵食し、度が過ぎて様々なトラブルが起こったり、リアルにしかない価値がどんどん喪失されたのちに、リアル社会に揺り戻されてくるしかないと思っています。

何度でもやり直せる人生も気楽だが、やはり人生はやり直しが効かないからこそ楽しい。人生は一本で連続しているべきだし、過去は変えられないがそこを背負って未来を拓くことにこそ意味があり、楽しい。「リアル社会で実名で生きている時間こそが圧倒的に素敵だ」という帰結がやってくることを祈っています。

そういうスタンスであることを前提として、今、読者の皆さんのお一人お一人が今どのような感じでメタバースと付き合っていくのが良いかを最後にまとめたいと思います。

5-1.メタバースを主戦場にしている起業家

これはもう、入るも何も今すでにメタバースのど真ん中にいるでしょうし、煽るくらいの勢いでメタバースへの参加者を増やしまくれば良いと思います。それはビジネスのために正しいスタンスです。

リアル好きな筆者ですが、世界の趨勢がメタバースである以上、できれば日本の企業にも頑張ってもらいたいと考えています。Web2.0で負けっぱなしだった日本ですが、メタバースではゲームの文化と技術から入れば十分に闘えると思います。

SONYや任天堂、DeNAやサイバーエージェント、スクエニあたりにはぜひ頑張って頂きたいですし、ゲーム以外の領域からでも彼らに迫るスタートアップがユニコーン化して頂きたいものです。ベトナムとかフィリピンの本気度を見ていると、日本も国家として何か後押しできる制度を持てばいいのにと思います。

5-2.リアル社会での事業がメタバース上に移転されるのが早そうな領域の企業

エンターテイメント、小売り業、教育、医療、メーカー(におけるマーケ・広告)などはメタバースの侵食が極めて早そうな領域です。これら産業においては、経営者であろうが従業員であろうがメタバースへの進出の巧拙が10年後の業績を大きく変えることになると思われます。今すぐにでも研究を始めるべきでしょう。

小売りの中でも特に洋服や靴などファッションやスポーツにまつわる領域、および教育の領域は火急の課題と思われます。

そして何より不可避なのが、いまweb2.0のサービス(特にGAFAMのプラットフォーム)に乗っかってビジネスをしている方たち。SEOとか、webマーケとか、広告とか、採用とか、いわゆるITコンサルな方々。コンサルというのは時代を先取って、周囲の平均リテラシーが自分たちに追いついてくるまでの「時限価値」なので、メタバースには今すぐにでも入らざるを得ないでしょうね。

5-3.ハイリスク・ハイリターンな投資(投機)先を求めている投資家

20年に一度(見方によっては100年に一度)の投機タイミングが到来していると言えます。個人であれ、機関であれ、1000倍、1万倍のリターンが得られるのは今の時期だけかもしれません。またこの方たちが、一般大衆を煽って連れて行こうとしますので自分がそうでない方は注意が必要です。

5-4.クリエイター(クリエイターではないがクリエイター気質な人を含む)

Web2.0がインターネットの利用者を「読み手」⇒「書き手」に変えていった図式をweb3について表すと、「作り手」に変わっていくイメージです。

【読み手(web1.0)→書き手(web2.0)→作り手(web3.0)】

クリエーター気質の人には、人生最大のゲームチェンジが訪れたと言えます。しかもITに強くない人でもデジタルデータが作れる時代です。もし、モノづくりを夢見ていたがいつのまにか諦めてしまっている人は、今すぐにでもメタバースの世界に入り、売られているNTFのレベル感などを感じ取って、自分でも創作に励むとよいでしょう。バズったりすると思わぬ大金が転がりこむ可能性があります。時間は投入せねばなりませんが、売れないからと言って何か金銭的な損失はわずかで済みますので、ここはオススメです。

5-5.リアル社会に居場所がない人

リアル社会(特に今の日本)は閉塞感が漂っています。総人口が減りつつ高齢者率は上がり、GDPも極めて低成長であり、国の財政は厳しく、資源のない国なのに技術立国もできない。まず今のままでは国勢が暗いです。全体感が暗い中では国民ひとりひとりの充足感も薄れます。まあ、そこまで大局観で入らずとも、今の社会に辟易としている人は多数いることでしょう。

メタバースならば解決するとは言い切れませんが、web2.0のサービスに比べるとメタバースの世界は、リアル社会の代替え空間になりえるし、そこにももちろん人間関係も貧富の差もあるけれど、匿名性と転生性が担保されていることは気楽です。滞在時間が長くなり過ぎない程度にリアルとバランスを取りながら、やってみてください。ダメなら一からやり直せばいいのです。メタは。

5-6.エンジニア

ENGINEER.CLUBに寄稿する記事なのに、エンジニアのことが後回しでごめんなさい。今回は広く一般の初心者向けにまとめましたので、特にエンジニアに特化した内容が少なかったです。

日本のエンジニアの場合、メタバースに最も近しい領域のエンジニアはゲームエンジニア(及び3DCGのデザイナー)となるでしょう。初期はゲーム開発企業がこぞってメタバースに向かうからです。しかし、その後多くの大手企業も必要に迫られてメタバースに参入していきます。基幹システムに大きな変化は見られないと思いますが、消費者向けのサービスはメタバース化していくはずです。

サーバー・ネットワーク系のインフラエンジニアやセキュリティ関連の技術・知見はますます需要が伸びると予測されます。開発系のエンジニアは、ゲーム以外の基幹系システムは従来通りJavaを中心に進みますが、メタバース化に伴ってUnityに使われる「JavaScript」、「C#」や、Unreal Engineに使われる「C++」あたりの需要が伸びそうです。

いずれにせよエンジニアという職業柄、web2.0web3への時代の潮流には多少なりとも影響を受けることは間違いありませんので、その他職種の方よりは少し早めにユーザーとしてでもメタバースに馴染んでみるのも悪くないですね。

5-7.上記のどれにも当てはまらない人(筆者もここ)

どれにも当てはまらない人は、全然急ぐ必要はありません。自分の好きなタイミングで、興味のあるものだけ摘まんでやってみれば良いと思います。

ゲームでも、ライブでも、スポーツ観戦でも、何かのきっかけで気になったものだけやってみると良いです。いつの時代も、ユーザーは最後の最後にやってきて最高のサービスを受けるだけで良いのです。むやみに煽られることなく、焦燥感を感じずに、快適なタイミングで入っていってください。

実のところ、今のメタバースサービスの3DCGの世界はまだ日常を過ごすほど快適なクオリティでもないです。投機とかクリエイティブを意図しない人にはまだ少し早い感じで、本当に大衆がこぞってメタバースに行くのは2025年くらいかなと感じています。実はこれが一番言いたかったことでもあります。笑

まだまだ投資というより投機水準であるし、いかんせん法整備などが全く追いついていません。FTNFTがブロックチェーンで守られるようになったのは結構ですが、法的には資産と扱われません。万が一盗まれても何の罪にも問えなかったりします。また、仮想通貨同士の変換で利益を出す分には課税されず(まあ匿名なので出来ないのだけど)、しかし法定通貨に返還すると課税されるという矛盾な構造になっています。

なので、仮想通貨の世界の人たちはどこまでも仮想通貨のまま経済を回そうとするはずで、ここら辺は法を急がないと経済移転とともに税収が大幅に下がるリスクが(国家には)あります。いずれにしても、まだまだ混沌としているので、ゆっくり構えて気楽に楽しみましょう!


6.おわりに

Web3の時代は一般市民をまずは投機で熱狂させ、そして「作り手」へといざないます。中でもメタバースはそこに「日常」があり、滞在時間が異様に長く、「生活の場」となりえます。結局、メタバースを握った者がweb3を握るともいえる展開です。

まだまだ投機レベルのサービスが多いため、今回の記事ではあまり具体的なサービスをご紹介しませんでした。もう少しメタバースの世界が進み、選別が可能な段階になったら次の記事ではお薦めのサービスなども列挙してみたいと思います。

メタバースとは何かを検索する人が非常に多いので、軸足をメタバースに置いたままweb3全体について出来るだけ端的に書こうとしたのでまとめるのに苦労しました。読み苦しい点があればご容赦ください。皆さまの理解が深まる一助になれば幸いです。

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