ITパスポートとは?取得のメリットや難易度、勉強方法を解説【初心者向け】
IT関連資格の中では「初心者向け」と言われるITパスポート試験ですが、みなさんも一度は耳にしたことがあると思います。
いまやITと全く関わらない仕事を探す方が困難な時代です。パソコンを使ってデータを編集する、メールを送る、などのちょっとしたことでも、ITの知識があるか無いかで仕事の効率化や情報の取り扱いに対する考え方が変わってきます。
いまや社会人として必須となっているITに関する基礎知識を問われる「ITパスポート」とは、どのような内容の試験なのか、ご紹介しましょう。
目次
1.ITパスポートとは
ITパスポート試験は情報処理技術者試験の一試験区分であり、「情報処理の促進に関する法律」に基づく国家試験ですので、合格しますと合格時の経済産業大臣の名前が入った合格証書が届きます。
IPA(情報処理推進機構)が試験を実施しており、略称は「iパス」です。
合格率が、おおよそ50%という難易度は低めの試験ではありますが、システム関連知識に加え、企業活動に関する知識も問われる内容であり、また「ITを利活用する者」を対象とした試験ですので、学生から社会人まで幅広い年齢層が対象です。
他の情報処理試験と異なり、パソコンに解答を入力するCBT(Computer-Based Testing)方式での試験となっています。
2.取得するメリット
この資格を取得したからといって、就職、転職、年収アップにダイレクトに結びつくわけではありません。
しかし、取得のための学習により、ITに関わる基礎知識を偏りなくおさえることができますし、経営やマネジメントに関する問題も出題されますので、社会人として総合的な基礎知識を把握できる内容となっています。
ですので、ただパソコンを使えるだけではなく、もう少し踏み込んだ知識を持っていることが証明できますし、これを足掛かりとして、さらに上位資格へ挑戦するとしても、既に基礎は押さえた状態となるので取り組やすくなります。
実際に、ITパスポート、セキュリティマネジメント(午前)、基本情報処理(午前)の問題を比べてみますと、かなり似ていることがわかります。これ1つ取れば2度おいしい、シメシメ感満載の大変お得な学習内容です。
また、特定のOSや製品に偏らないIT関連知識について習得できるということは、どの方面に進んでもITと関わりがある限り役立ちますし、IT企業ではなくても、取得すると報奨金の支給や成績評価の加点対象となっている場合があります。
3.試験の評価・難易度
現在、「ITの基礎知識は職種に関わらず不可欠」ということで、ITパスポート試験のシラバスにあわせてカリキュラムが作成されている高校、大学もありますし、IT企業ではなくても取得を勧めている企業が多く見受けられます。
また、警視庁や自衛隊でも情報処理能力を確認するための指標として活用されています。
【参考】
■ITパスポート 活用事例
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/example.html
3-1.合格率は50%程度
ITパスポート試験サイトによりますと「iパスは、ITを利活用するすべての社会人・学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です」と、あります。
「基礎的な知識」なので難易度はそれほど高くはなく、合格率は平均50%前後です。独学でも十分合格が期待できる試験です。
3-2.学習期間の目安は2~3カ月
初心者の方の場合、最初は毎日15分から30分程度の学習で、2~3カ月くらいの期間が目安です。
15分って短くない?と思われるかもしれませんが、人間の集中力は思っているほど持続しません。
学生時代、目は教科書の文字を読んでいても頭の中では全く別のことを考えていたり、「ちょっと休憩」のつもりが「ずっと休憩」になってしまったりしませんでしたか?
いきなり長時間がんばっても単なる「苦行」になってしまうようでは、今日覚えたことも翌日あっさり忘れます。某マンガのセリフにもありましたが大事なのは「密度」です。短くても集中できる時間を確保して、一日1つでも「わかることを増やす」ように続けてください。(もちろん、可能であれば時間を延ばして学習を進めてください)
慣れてきたところで、がっつり時間を取って追い込みをかけましょう。試験時間は120分なので、その時間内は耐えられるようにしておかなければなりません。
プログラミングやシステム的な基礎知識に加え、経営やマネジメントに関する知識も必要になりますので、この部分が苦手な方はこちらを重点的に補強してください。
法務、経営、経営戦略などに関する用語は、覚えていなければ答えられないので、必ず確認しましょう。
3-3.随時追加される新しい用語は必ず確認しよう
問題には新しい用語が随時追加されますので、経験者といえどもシラバスは必ず確認し、雑誌やニュースで話題となった用語や事象、事件などは、内容を確認しておいてください。
■IPA 試験要綱・シラバスなど
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/_index_hanni_skill.html
4.ITパスポート試験の内容
では、「ITに関する基礎的な知識」とは具体的にどのような知識なのでしょうか。
試験問題数は100問、120分間の試験で、問われるのは以下のような内容です。
ストラテジ系(35問前後)
企業活動、法務、経営、システム戦略、マーケティングなど、経営全般に関する知識です。
- 企業活動
- 法務
- 経営戦略マネジメント
- 技術戦略マネジメント
- ビジネスインダストリ
- システム戦略
- システム企画
マネジメント系(20問前後)
開発の流れ、プロジェクト管理方法、システム監査など、プロジェクトマネジメントに関する知識です。
- システム開発技術
- ソフトウェア開発管理技術
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- システム監査
テクノロジ系(45問前後)
コンピュータの構成、セキリュティ、ネットワーク、データベースなどのIT技術関連知識です。
- 基礎理論
- アルゴリズムとプログラミング
- コンピュータ構成要素
- システム構成要素
- ソフトウェア
- ハードウェア
- ヒューマンインタフェース
- マルチメディア
- データベース
- ネットワーク
- セキュリティ
毎年新しい用語が問題に追加されますので、過去問さえ解ければ大丈夫、というわけにはいきません。受験前にシラバスを確認しておきましょう。
■IPA 試験要綱・シラバスなど
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/_index_hanni_skill.html
4.申込みから合格・認定まで
受験申し込み、受験票取得、試験結果確認などは、すべてIPAのITパスポート専用サイトで行います。
他の情報処理試験とは異なり、試験日、試験開始時間、試験会場は実施会場の中から自由に選択できます。
4-1.試験実施日、試験地、試験会場
試験会場 | 全国47都道府県で実施しています。
月初と土日に実施している会場がほとんどです。 |
試験開始時間 | 受験会場によって異なります。概ね1日2回実施されています。 |
試験日申込受付可能期間 | 最短で申込日の翌日(又は翌々日)から3カ月後まで受付 (2019年3月1日の午前中に申し込んだ場合→2019年3月2日予約可能) (2019年3月1日の午後に申し込んだ場合→2019年3月3日予約可能) |
※上記は受験料の支払いがクレジットカード、バウチャーチケットの場合です。コンビニ支払いの場合は5日後から3カ月後までの受付となります。試験日は余裕を持って申し込むようにしましょう。 | |
受験手数料 | 5,700円(税込)※2021年1月現在 クレジットカード、バウチャーチケット、コンビニ支払いが利用できます。 |
試験日の変更 | 試験日の3日前まで可能 |
4-2.申込から受験までの流れ
- 初めて受験する方は、まず利用者IDを登録しましょう。
以下のページで「初めて受験する方はこちら」をクリックして登録します。
【iパス 受験申込み】
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/application/applies.html
※登録するためには、有効なメールアドレスが必要です。また、利用者IDは必ず控えておいてください。
2.登録した利用者IDでログイン後に、「利用者メニュー」から「受験申込」を選択します。
3.受験希望の地域、試験会場、試験日、試験開始時間、受験手数料支払方法等を選択します。
4.支払い方法でコンビニを選択した場合は、3日以内に払込を完了してください。
5.支払完了後、利用者メニューの「受験申込」から、確認票をダウンロート、印刷して試験会場に持参してください。
6.受験時には、下記の2点が必要です。
・利用者ID、受験番号、確認コード →確認表に記載されています。
確認表は自分で印刷する必要があります。(郵送されません)
印刷できない場合は、自分で控えておいてください。
・有効な期限内の顔写真付き本人確認書類(運転免許証等)※コピー不可
遅刻制限時間はありません。試験時間内はいつでも受付できますが試験終了時刻は変わりません。
4-3.合格・認定
試験終了後に結果はすぐに画面で確認できますが、試験結果レポートがダウンロードできるのは2~3時間後です。
【iパス 試験の流れ】
5.ITパスポート取得のための学習方法
学習を開始して、最初の1~2週間は「これって、そんな仕組みなんだ~」くらいの軽い気持ちで参考書を1冊読んでから、少しずつ細かい部分を把握して、過去問題に挑戦されることをお勧めします。
初心者の方は以下の3点を心掛けて学習してください。
- 最初は本を流し読み(覚えようと気合いを入れすぎない)
- 全体を通して見覚えの無い単語をなくす(目次や索引などを見て、見たことがある、ない、でOK)
- よくわからない単語がある場合、どのようなカテゴリでその単語が使われていたかと、その単語の前後の文章を覚える。(考えるのは後回しで、まずは覚える)
※単語の意味を正確に意味を掴めなくても過去問を解くと何となく解答できたりしますが、正解しても解説は必ず読んでください。
過去問題は、あくまでも問題の一例、としてとらえ、参考書の内容を覚えつつ、IT関連のニュースなどで話題になったものは調べておくとよいでしょう。
そして参考書ばかり読んでいますと、人間やはり飽きてきます。そんな時は、遊び感覚で適当に用語を選んでネットで検索してみましょう。検索候補や検索結果を眺め、気になったページを開いてみると、意外と自分にとってわかりやすく解説されたサイトがあったりします。
以上は独学での進め方ですが、もしもまわりにITパスポート試験を受けようと思っている人がいたら、お互いに自分の学習した内容を相手に説明してみてください。説明を間違えて相手に突っ込まれても、それはそれとして覚える良いきっかけです。
黙々と本を読むよりも楽しく記憶に残りますので、お勧めです。
関連記事6.おすすめの参考書&問題集
毎年新しい用語が追加されていきますので、参考書籍は出版年度が新しいもので、図解(イラスト)が多いものをお勧めします。
文字をいくら読んでもピンとこない時がありますが、図で見ると記憶に残りやすく理解もすすみますし、ちょっと乗り気ではない時も「とりあえずイラストだけ見とくかー」と、パラパラめくっておけば、次にじっくり読んだときに頭に入りやすくなります。
以下は、そんな図解多めのお勧め書籍です。まずは書店で見比べてみたり、お近くの図書館にあれば借りて読んでみてください。
参考書の通読と、下記のようなサイト活用をお勧めします。
システム関連用語がイマイチ理解できない時はこちらで調べてみましょう。
ヘタに小難しく書いてある本やサイトよりも、分かった気になれます。
(サイト内の別コンテンツに寄り道したくなるので、その点は要注意です(笑))
こちらのサイト内にも「ピヨピヨ過去問解説メニュー」でITパスポート試験問題が掲載されています。
7.さいごに
ITパスポートで問われる内容は基本的な内容ではありますが、些細なことでも知っている人と知らない人では大きな差が出ます。特に個人情報をはじめ、自分が扱う情報の取り扱いには十分気をつけなければならない昨今、技術と知識の両面を万全にしなければなりません。
「ITリテラシー」という言葉もよく聞くようになりました。
あの人、ITリテラシーが低いから困るよね、と言われないためにも是非取り組んでいただきたい試験です。
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