評価アップの仕事術

究極の効率化!時系列の逆転だけで評価されるフロントヘビー仕事術

福井克明(編集長)

福井克明(編集長)

ENGINEER.CLUB編集長/ボールド経営戦略本部長/53歳/ボールド歴11年

私の基本的な論調は目一杯頑張れとか2倍やってみよう!のような昭和的な発想が多いですが笑、今回は、どうせ同じ労力を割くなら評価を最大化しよう!という、頑張りは今のままで評価だけ上げるという話です。

ほぼ全ての組織に「損をしている人」と「得をしている人」がいます。

能力が圧倒的に高い訳でもないのに、他人よりも高い評価をされ出世する人と、怠けもせず頑張っており能力が低い訳でもないのになかなか評価されず出世しない人というのは、全ての組織にどちらも必ず存在するものです。

評価の損得には、様々な要因がありますが、評価される人とされない人を最も大きく二分するのは「時系列」というか「経過時間」の意識があるか無いかだなと昔から感じていました。

今回は、その不公平を解消するために、できるだけ今のままの労力でも、発想を変え、ちょっとした工夫をすれば何倍もの評価が得られるという効果的な方法をまとめます。そのポイントは時間配分です。時間配分を変えて仕事は「フロントヘビーでやろう!」(=仕事の前半に労力の比重をかけてやろう!)という話です。ぜひ意識して取り組んでみて下さい。その効果の大きさに驚く方も多いはずです。

One dayインターン

1.評価には時系列が大きく影響する

評価される人とされない人とでは、仕事に投入する時間の順序やタイミングが圧倒的に違います。その根本的な発想を変えないと、いくら人並みに能力があり、人並み以上に努力をしていても評価が上がりません。

1-1.最終納期に遅れることは最悪

仕事には納期がつきものです。大きなプロジェクトはもちろんのこと、ちょっとした資料作成のようなほんの些細な依頼事まで、仕事には必ず納期があります。仮に納期を明確に切られていない仕事でも「およそいつまでにやらなければならないか」は誰でも意識するものです。ここまではほぼ99%のビジネスパーソンが意識できており、最終納期を無視して仕事を進める本当にKYな人は少ないです。最終納期に間に合わないと怒られるし評価が下がる。だから、最終納期だけは守る。この当たり前のことが、実は損をする発想なのです。最終納期に間に合えばOK、間に合わなければ怒られる。つまり褒められることがないのです。この発想から変えていきましょう。

1-2.経過時間ごとの期待値を意識する

最終納期に遅れてしまうのは言語道断として、評価されない人の場合「途中経過」が悪いことが多いです。たとえば、1週間でやってくれと言われたAという仕事について考えてみましょう。上司が最終納期まで一度もAの進捗を尋ねない場合には、Aをどんな時間配分でやろうが結果は同じです。最終的な成果物でしか評価をされませんので、Aの出来栄えが同じならどんな配分でも良いことになります。ところが、ビジネスシーンにおいては、上司は途中経過としての進捗を確認してくることが多いです。進捗確認のみが俺の仕事だ!くらいに思っている上司すらいます(笑)。3日目にAはどうなっている?と聞かれた際に、上司が期待している進捗よりも遅れていると評価が下がります。5日目になっても進捗が悪いと思いっきり尻を叩かれます。そうして出来あがったAという仕事は、本当に評価が低いです。なんだったら、俺が尻を叩いてやったから何とか仕上がったくらいに思われてしまいます。

評価されない人たちの多くが、上司の「経過時間ごとの期待値」を無視して進めています。依頼する側には3日目には3日目なりの、5日目には5日目なりの「期待値」があります。この期待値を超えるように時間配分を組み立てるだけで評価はガラリと変わります。本当に緊急度や重要度の高い仕事の場合、下手したら3時間後にも「期待値」があります。「まだ何も手をつけていません」などと返したら、上司は憮然とし、そして憮然とされた部下は「いやいや、まだ頼まれて数時間ですよね。こちらにも他の仕事はあるし、納期は守りますから!」と心の中で呟きながら「早めにやります」と答えます。この流れは本当に不幸しか招きません。

Aという仕事に掛かる労力はどんな配分でやろうがトータルは同じです。最終的な納期のみでなく、時系列ごとの「相手の期待値」を考える発想がある人は、往々にして高い評価を受け、ギリギリになって仕上げる人は評価が低いです。総合計の時間や労力は同じであるにも関わらず、です。まずはそれを考える習慣をつけましょう。

仕事Aに関する時系列のイメージ図

 

1-3.命じられる前にやることの価値

上述の仕事Aは上司から命じられた場合の話でしたが、次はまだ命じられていない仕事Bの話です。たとえば、継続的に毎月掛かっているあるコストがあるとします。それくらいの金額が掛かるのが当たり前だと皆が思っているので、特にそのコストが発生することに誰も問題意識を持ちませんが、一方で具体的な交渉をすれば多少は下がるコストです。命じられていないので、最終納期もありませんし、まだあなたの仕事ですらありません。

仮にこれを空き時間などを上手く使ってやっておいたとします。コストが下がったことが確認できて上司に報告に行けば「え?そんなことやってくれたの?」と大変褒められ、評価が上がることは一目瞭然です。 しかし、一度でも上司がそのコストに着目し「おい、このコストもう少しどうにかならんか。君が下げてくれ」と命じられてしまうと、普通のコスト削減のお仕事になってしまいます。前者と後者で仕事Bにかかる労力はまったく同じです。

この「命じられる前にやる」というのは時系列における最良結果であり、最大の評価を受けます。ただ、これは命じられていない分だけ、やろうと思えば仕事が増えます。何から手を付ければよいか、どのような発想でやれば良いかなど、ややレベルが高い話になります。ですので、今回はここには踏み込まず、命じられた仕事、つまりどの道やらなければならない仕事だけに絞って話を進めましょう。この「命じられる前にやる仕事」に興味のある方はこちらのエントリを参考にしてください。

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2.フロントヘビーであることの価値

ここまでをお読み頂ければ時系列ごとの進捗の重要性はお分かり頂けたかと思います。命じられる前の仕事の価値がまず圧倒的に高く、仮に命じられたものであっても時系列の期待値を超え続けながら仕事をすれば評価が高めということです。つまり、フロントヘビーに仕事をしようということです。ちょっと優等生みたいで大変そうに聞こえますが、忘れてはいけないのは「総労力は変わらない」ということです。どうせ同じ時間や労力を投入するならば、評価が高くないと損だという話であり、フロントヘビーで仕事をしない、つまり損をしながら仕事をするという事こそが「大変だ」という話です。そこの発想を逆転させるために、もう少し効用をお話しましょう。

仕事Aに関する投入労力のイメージ図

2-1.初動の重たさの回避

仕事に限らず何事もそうですが、やってみたら案外簡単、やり始めてしまえば案外すんなりと終わった、という経験は皆さんにもあるのではないでしょうか。これを、たまたまの産物にせずに毎回やるということです。やらなければいけないと分かっていながら放置しているもの、どうやればいいか分からず途方に暮れ、ただ時間だけが過ぎていく、こういう時間は精神的にも物理的にもマイナスが多いものです。それを一蹴して、まず最速で着手する。これを習慣化することは、出来るビジネスパーソンの最初の一歩とも言えます。無駄に悩む時間が減る分、おそらく仕事全体の効率が上がるはずです。

2-2.自分の仕事の中で早めにPDCA1回転できる

フロントヘビーに仕事をすることの最大の価値はPDCAが早めに1回転余分に回ることです。一般的にはビジネスパーソンは何か仕事をひとつ抱えた場合、納期にギリギリ間に合いそうなPDCAサイクルを脳内で想定することが多いです。ところがフロントヘビーで仕事をする人は、最初のPDがかなり早まるため、納期までの間のPDCA1回転(場合によっては2回転)多くなります。ここに最終的なアウトプットの質を高めるメカニズムがあります。そもそもPDCAサイクルとはそれを繰り返すことで、目的を見失わずに確実に目標に辿りつくことができる最も古典的でかつ最も有効的な仕事術です。サイクルが多くなればその分、成果の確度も上がります。

PDCAサイクルを知っていながら、なぜ人は目標に辿りつかないのか。多くは、最初の1回転が遅すぎて、途中でCAを回してみたものの次のPDが間に合わないということばかりです。なので、フロントヘビーに仕事をするということは、正しくPDCAを回せる余裕があるということに直結し、結果としてアウトプットの質も上がるのです。途中経過を聞かれた際にも、1回転目の経過なのか2回転目の経過なのかで、報告の質がうんと上がることも容易に想像できるはずです。

2-3.ブランディングが向上する

総じてフロントヘビーに仕事をすることは、自分のブランディングを上げることに直結します。PDCAを回すほどのこともないルーティンワークの場合は、常に時系列ごとの期待値を上回れますし、PDCAを回すタイプの仕事においては「早くも1回転回して検証と修正が済んでるのか」と感心されますし、最終最後のアウトプットもよくなりますし、何より「私は仕事に前のめりですよというスタンス」が周囲に伝わります。このスタンスというものが組織内でのセルフブランディングには極めて有効であり、ご興味ある方はこちらのエントリも併せてお読みください。

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3.具体的な日常への落とし込み方

さて、ここまででフロントヘビーな仕事術がどれほど有効で、かつ労力の少ないものかはお分かりいただけたかと思います。早めに着手するというだけのことなので、ご自身の好みのやり方で進めて頂ければ良いかと思いますが、幾つか具体的な日常への落とし込み方の例をご紹介しておきます。

3-1.タスク管理に経過時間のマイルストーンを入れる

何かひとつの仕事をもらった際に、最終納期の確認とともに必ずマイルストーン設定する習慣をつけましょう。簡単なメモ程度の紙か、エクセル管理でも結構です。マイルストーンを設定しようとすると、まず少しやってみないと正確に描けないということにもなり、初動が早くなる効果もあります。

更に慣れてきたら、マイルストーンの横にその経過時間における上司の期待値も書き込むようにするとゲーム感覚で楽しめます。あの上司はせっかちだから、きっとこの辺で勝手にこれくらい期待しているだろうな、しょうがないので上回っておいてやるか!みたいな感覚です。

3-2.週末もしくは週頭の30分で確認

週に一度、仕事の棚卸しの時間をルーティン化すると良いです。この仕事の棚卸の発想は非常に重要で、類似のタイトルで本もたくさん出版されていますが、それほど大げさなものでなくてよく、日曜の就寝前、月曜の早朝など、自分の好きなタイミングで30分~1時間くらい抱えているタスクの進捗確認をします。

上司の期待度を上回っているタスクが増えてくると、仕事が楽しくなりますし、次の1週間を俯瞰できますので、脳内が整理され、休み明けの出勤が気軽になり、週明けのスタートダッシュが効きやすくなります。

3-3.タスクへの時間投資の順序組み換え

前の二つの延長線上にあり、やや上級編になりますが、タスクごとの時間配分と納期を途中で入れ替えるようにしましょう。ビジネスパーソンには突然重要な仕事が降って沸いて来ます。その際に頭の中で、優先度や重要度の低いタスクのマイルストーンを後倒しにしたり、上司の発言ひとつで優先度を入れ替えたり、毎日パズルを組み替えているような感じです。これができるようになると、ブランディングが上がります。

今週はちょっと過密なので、こっそりマイルストーンを遅らせてみようとか、上司が今週だけは進捗確認してきませんようにとか、おい、そっちから聞くのかよ!とか、もはやゲーム感覚で楽しめます。私は過密な週でも新しいタスクを全てありがたく飲み込みますが、そうでない人は、やや難しい雰囲気を醸し出して、他人に回してもらうという調整すらできるようになります。


4.まとめ

要はとにかく、仕事はフロントヘビーでやりさえすれば全て上手くいくということです。途中経過の期待値にも応えられるし、PDCAサイクルも1回転多く回るし、初動の重さも回避でき、スタンスがよくなりブランディングも上がるし、良いことばかりです。

特に重要なのは、この仕事術において「総労力」はほぼ変わっていないということです。もちろん、前倒しで進めていくので最終納期より早く仕上がります。それを早く報告したら次の仕事を渡され、結局仕事が増えてしまう!というのが嫌な人は報告だけ納期近くまで待てばいいですし、それが嬉しいタイプの人はどんどん仕事ももらってしまえばよ良いということです。

仕事の時系列を意識して組み替えるだけで、労力を増やさなくてもあなたの評価は必ず上がります。下がることはありません。ぜひお試しください。


5.おまけ

今回の話は皆さんの身近な話題に置き換えるとダイエットが好例です。理想体重からおよそ23キロ太るとダイエットを始め、理想体重付近に戻るとだんだんと食べてまた太っていき、また23キロ増えるとダイエットを始めるというサイクルを繰り返す方が非常に多い印象です。これ、先に理想体重から23キロ落としてから思う存分に食べ、理想体重に戻ったらまたダイエットを始めるというサイクルにしても、人生全体におけるダイエットの労力と好きに食べてよい回数はまったく同じです。どちらが平均的なプロポーションが良いかは一目瞭然ですね!笑

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