現場で使える知識が身につく!Python3エンジニア認定実践試験対策

Python3エンジニア認定実践試験とは?筆者が受験した際の試験結果レポート

平井 桃果

平井 桃果

開発エンジニア(Python)/ボールド歴2年

2022年11月からPython3エンジニア認定実践試験の本試験が開始されました。

筆者は12月に受験し合格したので、実施した対策や基礎試験との違いについて共有します。
※Python3エンジニア認定基礎試験をまだ受験されていない方は、先にそちらを受験することをお勧めします。

以下、筆者が受験した際の試験結果レポートです。

Python3実践試験レポート

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1.試験の概要

まずはPython3エンジニア認定実践試験の概要について説明します。

1-1.Python3エンジニア認定実践試験とは

Pythonエンジニア育成推進協会が提供するPython3エンジニア認定試験の1つであり、初学者向けの基礎試験・データ分析試験に続く3つめの試験です。エンジニアのコーディング力の底上げを目的に、Pythonを実践的に使っていく上で重要な仕様やライブラリの使い方を問う試験になっています。

1-2.試験方式

 Python3エンジニア認定実践試験の試験方式は以下の通りです。

  • 試験日程:通年
  • 試験方式:コンピュータ上で実施するCBT方式
  • 試験時間:75分
  • 問題数:40問(すべて選択問題)
  • 合格ライン:70%

試験時間75分で問題数40問ということから、単純に計算すると1問あたり2分弱の時間をかけることができます。ただ、全問選択式かつCBT方式であるため、あまり焦らずともある程度時間には余裕があります。合格ラインは70%に設定されているため、最低40問中28問正解すれば合格です。

1-3.受験対象者

受験の前提条件は特に無いため誰でも受験可能です。ただし、先にPython3エンジニア認定基礎試験を受験し、合格しておくことをおすすめします。
背景として、Python3エンジニア認定試験では実践試験より先に、基礎試験が提供されています。実践試験は基礎試験に続いて、より実践的なPython文法を問う試験として提供が開始されました。したがって実践試験は、基礎試験の内容が身についていることを前提とした上位資格であるといえます。

1-4.試験の申込方法

オデッセイコミュニケーションズWebページで試験会場を検索し、試験会場に直接申し込みをします。

【オデッセイコミュニケーションズWebページ(Python3エンジニア認定実践試験)】

受験料と試験会場については以下の通りです。

  • 受験料:一般 12,000円(税別) / 学生 6,000円(税別)
  • 試験会場:全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンター

2.Python3エンジニア認定基礎試験との違い

上位資格であるPython3エンジニア認定基礎試験との違いについて説明します。

2-1.ライブラリの使い方が問われる

基礎試験では、Pythonの基本的な使い方や仕組み・文法の基礎などに関する知識について出題されます。一方で実践試験では、Pythonの応用的な文法に加えて、reやjsonなどのライブラリの使い方について出題されます。したがって、Pythonによる業務経験が長いから文法はばっちり!という方でも、使ったことのないライブラリについてはさっぱりわからない…となる可能性があります。各ライブラリの使い方をしっかり押さえておくことが重要です。

2-2.問題自体の難易度はあまり変わらない

実践試験とはいえ、選択式の問題が出題されます。また問題は、主教材として指定されている「Python実践レシピ」の内容をきちんと理解しているかを問うものになっています。実際に受験してみて、何か捻りがあったり応用的な使われ方を問われることはなかったので、その点は基礎試験と似たような雰囲気であったと感じました。


3.試験対策として実施したこと

筆者が受験前に実際に行った試験対策について説明します。目標点数は80%(32/40問)以上と設定し、受験日の約1ヶ月前から主に平日の業務後の2〜3時間を使って以下の流れで進めました。

3-1.教材の決定

まずは試験対策に使用する教材を「Python実践レシピ」(技術評論社)と有志の方が公開している模擬試験サイトExamApp(https://python-basic.com/)としました。基本的に資格試験対策としては、現状の正答率や苦手分野を把握してから教材を選ぶのが良いと思います。ただ実践試験の場合は、公式に主教材として「Python実践レシピ」が指定されており試験問題はこの教材から出題されること、また実践試験に似た演習問題が書籍でもインターネット上でもなかなか見つからないことから、上記2つに決まってしまうかと思います。

「Python実践レシピ」には全19章ありますが、公式に発表されている通り試験の出題範囲は7・12・15・19章を除いた以下15章です。1〜5章までの5章がPythonの文法や仕様について、残りの10章がライブラリの使い方について書かれています。

  • 1章 Pythonの環境
  • 2章 コーディング規約
  • 3章 Pythonの言語仕様
  • 4章 Pythonのクラス
  • 5章 タイプヒント
  • 6章 テキストの処理
  • 8章 日付と時刻の処理
  • 9章 データ型とアルゴリズム
  • 10章 汎用OS・ランタイムサービス
  • 11章 ファイルとディレクトリへのアクセス
  • 13章 特定のデータフォーマットを扱う
  • 14章 インターネット上のデータを扱う
  • 16章 テスト
  • 17章 デバッグ
  • 18章 暗号関連

試験対策用教材として購入したのですが、試験合格後も業務で「あのライブラリ使いたいな」と思って調べる際によく開いているので、業務でPythonを扱っている方であれば手元にあって損はないと思います。模擬試験サイトExamAppについては、「Python実践レシピ」で学んだ知識を確認するために使用しました。「Python実践レシピ」には模擬問題がないため、問題演習用にこういったサイトも利用すると良いと思います。ユーザ名とパスワードで会員登録すると、学習履歴を保持することもできておすすめです。

3-2.基礎試験の模擬問題で基本文法を復習

まずは基礎試験の模擬問題を解いてみました。勉強開始前の筆者の状態としては、基礎試験を1年半ほど前に受験し合格しており、業務でもPythonを使用していました。そのためPythonの基本文法についてはほとんど慣れていたのですが、業務上あまり使っていない構文など忘れてしまっている部分もあるかなと思ったので、実践試験に向けたウォーミングアップも兼ねて模擬問題を解きました。結果、合格時よりも得点が少し低かったので(笑)、当時作成した自分用の復習メモを使って基礎試験の内容を軽く再確認しました。

3-3.実践試験の模擬問題で現状を把握

主教材「Python実践レシピ」を読み始める前に実践試験の模擬問題を解いて、自分が現状どのくらい得点できるのか、またどんな分野の知識が不足しているのかを把握しました。筆者の場合は正答率が30%ほどで、試験の出題範囲(「3-1. 教材の決定」参照)のうち文法事項などついて(「Python実践レシピ」前半5章)は比較的正解できたものの、各ライブラリについて(「Python実践レシピ」後半10章)はちょっと使ったことがあるライブラリ以外はさっぱりわからない、という状態でした。そのため試験対策としては、特に各ライブラリについて扱っている章に時間をかけて進めることにしました。

3-4.「Python実践レシピ」を読んで自分用メモを作成

現状の知識量を把握した後、「Python実践レシピ」を読み始めました。具体的には、1章ごとに読んでは自分の中で内容を噛み砕き、簡単なメモにまとめていきました。メモの作成方法について、自分なりに要点をまとめた所謂カンニングペーパーを作成するパターンと、自分の言葉で説明を書き直したり追加で調べたことを盛り込んで自分専用の教科書(読み物)を作成するパターンがあると思っていますが、筆者は前者のパターンで行いました。理由としては、出題範囲が広く浅いから、また後で見直す時の負担が量的にも(精神的にも)小さいからです。実際に受験してみて、実践試験の問題は重箱の隅をつつくというよりは、基本の内容を現場で実践できるかを問うようなものが多かったので、結果的に要点をまとめる方法が合っていたなと思っています。

ちなみにメモはどんな媒体でも良いと思いますが、自分が書きやすいかつ見直したくなるものがおすすめです。参考までに、筆者は普段Notionを使用してメモをとっています。見出しや箇条書きの他にコードブロックの埋め込みなどができるため、自分のPCでテスト実行したコードなどを簡単にコピペして残しておくことができます。またPCでもスマホでも編集・閲覧が可能なため、ちょっとした隙間時間や試験直前にさっと復習できる点が便利です。

3-5.実践試験の模擬問題で途中経過を把握

「Python実践レシピ」を一通り読み終わったところで、再び実践試験の模擬問題を解いて自分の成長具合と苦手分野の確認をしました。筆者の場合、この確認作業が受験日1週間前と直前になってしまったのですが、正答率は85%(34/40問)でした。苦手分野については、特定の分野というよりは全体的に少しずつ間違えている状態だったため、一通り全体を見直していく必要があることがわかりました。

3-6.苦手部分を自分用メモと「Python実践レシピ」で復習

「Python実践レシピ」を一通り読み終わった後に解いた模擬試験の結果をもとに、受験前の1週間は今までに作成してきた自分用メモを使って全体を復習していきました。模擬試験で間違えた部分や復習しながら疑問に思った部分については、適宜「Python実践レシピ」を参照しながら自分用メモを更新しました。

3-7.試験当日

試験当日は、自分用メモを一通り振り返ってから臨みました。筆者の場合は、試験直前に重点的に振り返っていた内容がちょうど試験に出題されたなんてこともあったので、ぜひ直前まで油断せず内容を復習することをおすすめします。


4.さいごに

実践試験の内容を勉強してみて、「標準でこんな便利なものがあったのか!」という気づきがたくさんありました。筆者が今までに受験してきた資格の中で、学んだ内容を最も業務に活かせた資格だったと感じています。Pythonには慣れてきたけどちょっとレベルアップしたいという方、ぜひ受験してみてください。

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