Linux初心者必見!LinuCレベル1に合格して現場で活躍しよう!

Linux初心者必見!LinuCレベル1に合格して現場で活躍しよう!

平井 桃果

平井 桃果

開発エンジニア(Python)/ボールド歴2年

「現場でLinuxを使っているので、しっかりスキルを身につけたい」「LinuCとLPICがあるようだが、どちらを受験したらいいのだろうか」以上のような思いを持っている方は、ぜひこの記事に目を通してみてください。筆者は2023年5月に受験し合格したので、LinuCの概要からおすすめする理由、また合格するために実施した対策について共有します。

以下、筆者が受験した際の試験結果レポートです。

LinuC101_レポート

LinuC102_レポート


1.LinuCとはどんな試験か

まずはLinuCの概要について説明します。

1-1.試験の概要

日本のNPO法人であるLPI-Japanが、LPICに変わる新しい試験として2018年3月から提供を開始したLinux技術者の認定試験です。クラウド時代においてIT技術者に求められる技術力を証明する試験であり、Linux技術を中心にクラウド・システムアーキテクチャ・オープンソースリテラシーも出題範囲としています。レベルは3段階に分けられており、レベル1から順番にステップアップしていく形式になっています。各レベルについては以下の通りです。

  • レベル1:仮想環境を含むLinuxシステムの基本操作とシステム管理ができる。
  • レベル2:仮想環境を含むLinuxのシステム設計/ネットワーク構築において、アーキテクチャに基づいた設計/導入/保守/問題解決ができる。
  • レベル3:OSの混在環境、セキュリティ、仮想化/高可用性という3つの分野において最高レベルの技術力を持っている。

1-2.試験方式・合格率

LinuCレベル1に認定されるためには、101試験と102試験の2つの試験に合格する必要があります。2つの試験を同時に受験する必要はなく、片方の試験に合格してから5年以内にもう片方の試験に合格すると、レベル1の認定を受けることができます。

各試験の方式は以下の通りです。

  • ・試験日程:通年
  • ・試験方式:コンピュータ上で実施するCBT方式
  • ・試験時間:85分(+アンケート回答時間5分)
  • ・問題数:約60問(選択問題またはキーボード入力問題)
  • ・合格ライン:65~75%程度
    試験時間85分で問題数約60問ということから、単純に計算すると1問あたり1分半弱の時間をかけることができます。キーボード入力が必要な問題もありますが、文章ではなくコマンドなどの文字列を入力する内容であるため、時間配分をあまり気にせずともある程度時間には余裕があります。合格ラインは65~75%程度とされているため、60問中45問以上正解すれば確実に合格できると考えて良いでしょう。

1-3.受験対象者

レベル1認定のための101試験/102試験を受験するための前提条件はないため、誰でも受験可能です。全てのIT技術者の基礎となる内容を扱っているため、IT技術者としてキャリアを積んでいこうと考えている方にぜひ受験をおすすめします。

1-4.試験の申込方法・受験料

まず以下2つを事前に用意し、次にピアソンVUEのWebページから試験の申し込みを行います。受験料は各試験16,500円(税込)です。

  • ・EDUCO-ID:LPI-Japanが管理している、認定試験の受験結果や認定履歴を確認するためのID。
  • ・ピアソンVUEアカウント:ピアソンVUEが管理している、受験予約のためのアカウント(アカウント発行には事前にEDUCO-IDの取得が必要)。

【ピアソンVUE Webページ(LinuC)】

https://www.pearsonvue.co.jp/Clients/LinuC.aspx


2.LPICよりLinuCをおすすめする理由

Linuxの資格試験としてはLPICも有名ですが、筆者が個人的にLinuCをおすすめする理由を説明します。

2-1.LPICの試験漏洩問題を改善した試験である

LPICは、オープンソース技術者の認定活動をする目的でLPI-Japanとカナダに拠点を構えるNPO法人Linux Professional Instituteが開発した試験です。しかしLPICは過去に試験問題の漏洩があり、その対策についての認識がLinux Professional InstituteとLPI-Japanの間で異なったことなどから、LPI-Japanは試験問題漏洩対策技術を取り入れた新しい試験としてLinuCを開発しました。

頑張って勉強して取得する資格ですから、スキルの証明としてより信頼のできる資格であることは受験者にとってメリットであると思います。

2-2.クラウド時代に合わせて出題範囲が改定されている

 LinuCは、日本のIT業界が期待するLinux技術者の育成に役立つような試験問題にするべく、実際に現場で働いているIT業界の専門家たちと協力して開発されています。2018年に試験が開始された際は混乱を避けるためにLPICと同様の出題範囲でしたが、2020年4月からはバージョン10.0として今求められているスキルに合わせて出題範囲が改定されました。具体的には、以下3つの観点で内容が追加されています。

  • 技術対象領域をクラウドを支える技術領域へ拡大
  • オープンソースのリテラシーの理解を追加
  • システムアーキテクチャの要素を導入

これからIT業界で活躍していこうと考えているエンジニアにとって、時代に合わせたスキルを身につけ、証明できることは非常に重要だと思います。

バージョンアップについては、以下公式の記事もぜひ読んでみてください。

https://linuc.org/about/202003.html


3.LinuCレベル1合格のために実施した勉強方法

筆者が受験前に実際に行った試験対策について説明します。目標点数は101試験/102試験でそれぞれ80%(48/60問)以上と設定し、受験日の約2ヶ月前から主に平日の業務後の2〜3時間を使って以下の流れで進めました。

3-1.教材の決定

まずは試験対策に使用する教材を翔泳社の「Linux教科書 LinuCレベル1」(いわゆるあずき本)としました。教材の選び方については、LPI-Japanの認定教材であれば内容に大きな差はないのでどの教材でも構わないと思います。実際に教材を開いてみて、自分がこれから勉強していく上で使いたいと思えたものを選ぶのが良いと思います。

「Linux教科書 LinuCレベル1」は大きく2部構成になっており、1〜6章が101試験、7〜13章が102試験の内容になっています。

  • 第1章 Linuxのインストールと仮想マシン・コンテナの利用
  • 第2章 ファイル・ディレクトリの操作と管理
  • 第3章 GNUとUnixのコマンド
  • 第4章 リポジトリとパッケージ管理
  • 第5章 ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム
  • 第6章 101模擬試験
  • 第7章 シェルとシェルスクリプト
  • 第8章 ネットワークの基礎
  • 第9章 システム管理
  • 第10章 必須システムサービス
  • 第11章 セキュリティ
  • 第12章 オープンソースの文化
  • 第13章 102模擬試験

3-2.模擬問題で現状を把握

教材「Linux教科書 LinuCレベル1」で学習を始める前に第6章と第13章の模擬問題を解いて、自分が現状どのくらい得点できるのか、またどんな分野の知識が不足しているのかを把握しました。筆者の場合は101試験/102試験ともに正答率が20%ほどで、「第3章 GNUとUnixのコマンド」や「第7章 シェルとシェルスクリプト」の知識は業務での経験もあったためいくつか正解したものの、その他の範囲についてはほとんどわからない、という状態でした。そのため試験対策としては、1章ごとにじっくり時間をかけて理解を深めていくことにしました。

3-3.教材を読んで自分用メモを作成

現状の知識量を把握した後、「Linux教科書 LinuCレベル1」を読み始めました。具体的には、1章ごとに読んでは自分の中で内容を噛み砕きながら、簡単なメモにまとめていきました。自分なりに要点をまとめてできるだけコンパクトなメモにしようとしたのですが、出題範囲が広いため結果的にカンニングペーパーというよりはなかなかボリュームのあるメモが完成しました。それでも参考書を読み直すよりは自分のメモを見直す方が負担が量的にも(精神的にも)小さいためスムーズに内容を復習することができましたし、自分でどの部分の理解が足りないのかもわかりやすかったため、おすすめです。

ちなみにメモはどんな媒体でも良いと思いますが、自分が書きやすいかつ見直したくなるものがおすすめです。参考までに、筆者は普段Notionを使用してメモをとっています。見出しや箇条書きの他にコードブロックの埋め込みなどができるため、自分のPCでテスト実行したコードなどを簡単にコピペして残しておくことができます。またPCでもスマホでも編集・閲覧が可能なため、ちょっとした隙間時間や試験直前にさっと復習できる点が便利です。

3-4.Linux環境を用意し、コマンドを実際に実行して動きを確認する

勉強方法の中では、ここが1番ハードルの高い内容かと思います。既に自分のPCにLinux環境を用意していたり現場などで学習用に使用できる環境がある方は、ぜひそちらを使用してみてください。使えるLinuxの環境がない方は、面倒がらずに用意してみてください。Webを検索すると環境構築に関する技術ブログ記事が多く見つかります。慣れていない場合は一筋縄ではいかないかも知れませんが、エンジニアとして決して無駄な経験ではないと思いますので、少し時間をかけてやってみてください。筆者の場合は、プライベートでM1のMacbookを使用しているため、UTMという仮想化ソフトをインストールし、Ubuntuの仮想マシンを作成しました。

Linuxの環境が用意できたら、実際にコマンド操作を行って挙動を確認したり、各種設定ファイルの中身を確認してみました。参考書をただ読み進めるよりも理解が深まる上に記憶に残りやすいです。参考書を読み進めて自分用メモを作成するのと並行して、都度実行確認をしていくと良いと思います。

3-5.実践試験の模擬問題で途中経過を把握

「Linux教科書 LinuCレベル1」を一通り読み終わったところで、再び各部の最後の章である模擬問題を解いて自分の成長具合と苦手分野の確認をしました。筆者の場合、この確認作業が受験日1週間前と直前になってしまったのですが、正答率は101試験/102試験ともに83%(50/60問)でした。苦手分野については、特定の分野というよりは全体的に少しずつ間違えている状態だったため、一通り全体を見直していく必要があることがわかりました。

3-6.苦手部分を自分用メモと教材で復習

「Linux教科書 LinuCレベル1」を一通り読み終わった後に解いた模擬試験の結果をもとに、受験前の2週間は今までに作成してきた自分用メモを使って全体を復習していきました。模擬試験で間違えた部分や復習しながら疑問に思った部分については、適宜「Linux教科書 LinuCレベル1」を参照しながら自分用メモを更新しました。

3-7.試験当日

 試験当日は、自分用メモを一通り振り返ってから臨みました。LinuCは試験が2つに分かれているとはいえ試験範囲が広いので、ぜひ直前まで油断せず全ての内容を一通り復習することをおすすめします。


4.さいごに

受験を決めたときは、内容が予想以上にてんこ盛りで最初は面食らってしまったのですが、勉強を進めながらLinuxについてさらに興味を持つようになりました。ファイルシステムやプロセス、プロトコルについても知識を深めることができるので、コンピュータサイエンスの基礎として勉強をしていて楽しかったと感じています。

インフラ/開発エンジニア問わず、ぜひLinuCを通してLinuxの世界を覗いてみてください。

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