JSTQBテスト技術者資格Foundation Levelとは?難易度や勉強方法を解説
システム開発に従事している中で、ソフトウェアテストについてより詳しく学びたいと思ったことはありませんでしょうか?
そのような方は「JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level」を受験することがおすすめです。
この資格は、ソフトウェアテストに関する概念や、様々なソフトウェアテスト技法の基礎知識について体系的に出題される資格で、ソフトウェアテストの資格で最もポピュラーな資格であると言えます。
この記事では、資格の概要と、受験する際におすすめする勉強法について解説します。
1.試験の概要
まずは、JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Levelの試験の概要を解説します。
1-1.JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Levelとは
この資格は、JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)が運営しているソフトウェアテスト資格のうち、最も基本的なレベルの資格になります。JSTQBは、日本のソフトウェアテスト資格の認定団体で、世界各国のテスト技術者認定組織が参加しているISTQB( International Software Testing Qualifications Board)に加盟している組織です。このため、この資格は国際的にも認められている資格といえます。Foundation Levelでは、ソフトウェアテストの基本的な考え方や、各種テスト技法、テストツールなどといった内容が網羅的に出題されます。
1-2.試験方式
CBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)と呼ばれるコンピューター上で受験する形式です。全国のテストセンターへ申し込んで受験する形となります。
1-3.試験のスケジュール
通年での申し込みが可能で、希望するテストセンターが予約可能であればいつでも申込ができます。
1-4.申込方法
ピアソンVUEにて、アカウント登録、詳細個人情報や試験資格情報の登録、試験の予約を行います。下記サイトにて試験についての各種注意点を確認できます。
・ピアソンVUE
1-5.試験の費用
22,000円(税込)です。ただし、JSTQB認定のトレーニングコースを受講した場合など、一部で受験量が割引になる場合もあるようです。
・JSTQB認定 ソフトウェアテスト技術者 Foundation Levelトレーニングコース
1-6.難易度及び勉強時間、合格率
ソフトウェアテストに関する基礎知識の理解が問われる試験になるので、出題内容自体の難易度はそれほど高くはないです。ただし、業務未経験者などは慣れない用語が多く出てくるので難しく感じることがあります。勉強時間の目安は公式には発表されていないのですが、筆者 (ソフトウェア開発経験約1年) の場合は1日約2時間の勉強を1か月程度続けたので、50~60時間の勉強時間となりました。合格率は50%~70%の間で推移しております。
・実施要項・試験データ
2.資格取得のメリット
続いて、資格取得のメリットを解説していきます。筆者が考えるメリットは4つあります。
2-1.知識習得や、そのための努力をしたことの証明となる
他の資格でもいえることですが、資格取得はスキルや努力を客観的に証明してくれるものです。ただ、私の主観ですがテスト業務において資格取得などの自己研鑽を通じてスキルアップをしようとしている人はまだまだ少数派だと思います。その中で、このような努力をして、資格取得といった成果を出している人はそうでないエンジニアと比べて差別化を図ることが可能になります。
2-2.ソフトウェアテストについて体系的に学べる
システム開発業務にあたっていると、設計や開発に関するスキルの学習を優先し、テストに関する勉強になかなか取り組む機会がないという状態になりがちです。そのような状態でテスト業務を行うと、問題が発生したときに「本来どうすべきなのか」などがわからなくなってしまいます。本資格取得を通じてテストの原理原則を体系的に理解しておくことで、そのような事態を防ぎやすくなります。
2-3.現場のテスト業務についての理解が深まる
資格取得を通じてテストの原理原則について理解が深められているので、現場で行われているテスト業務についての理解も深められます。具体的には「なぜこのようなテスト計画になっているのか」や「このテストプロセスの何が問題か」を考える際に、資格取得を通じて得た知識が役に立ちます。普段からこのようなことを考えられる人が市場価値の高いエンジニアとして成長するので、資格取得がその手助けになると言えます。
2-4.現場で重宝されるエンジニアに近づく
努力をして自己研鑽を重ねて資格取得をし、テスト業務についての理解を深めていくうちに、やがてほかのエンジニアとの差別化ができ、現場で頼られるエンジニアになれます。経験の浅いエンジニアは勘違いしがちですが、テストはシステム開発プロジェクトにおいてプロジェクトの成功を大きく左右する非常に価値の高い業務です。そのため、テストについての深い知見が身に付いているエンジニアは現場で重宝されやすいです。従ってこの資格の取得はそのようなエンジニアに近づくための1つの手段になり得ると言えます。
3.おすすめの教材
ここからは、資格取得を考えているエンジニアに向けて、おすすめの教材を紹介します。それぞれの特徴を理解して自分に合った教材を選択するようにしてください。
3-1.ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation
この教材は試験範囲に従って用語の説明や具体例の紹介などが充実している読み物教材です。各省の章末に章末問題が出題されており、巻末に模擬試験が収録されています。この教材を読み込むかとで、試験範囲の内容について具体的にイメージすることが可能になります。
・ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation
3-2.演習で学ぶソフトウェアテスト 特訓200問
この本はFoundation Levelに対応した問題集です。実際の試験よりも簡単な内容になりますが、問題数が充実しています。学んだ内容のアウトプットを繰り返していくことにより、定着度が上がります。
・演習で学ぶソフトウェアテスト 特訓200問
3-3.テス友
こちらはインターネットでの学習が可能なサイトで、こちらも演習問題を解き進める形式の学習教材です。問題を解きながら解説を読んでみると、該当するシラバスの内容を表示することができます。電車の中でも学習ができますし、間違えた内容のやり直しもできるので、自分の弱点把握にも役立ちます。
・テス友
3-4.シラバス
JSTQBが公式に掲載しているシラバスで、ここに記載されている内容をもとに試験問題が作成されます。そのため勉強するうえでシラバスを読まないわけにはいかないのですが、すでに紹介した教材で学習を進めながらシラバスを確認することで、試験内容の理解が深められます。
・シラバス
https://jstqb.jp/dl/JSTQB-SyllabusFoundation_Overview__Version2018.J01.pdf
4.おすすめの勉強法
ここからは、資格取得に向けておすすめの勉強法を紹介します。
4-1.いきなりシラバスは読まず、参考書を熟読する
3-4でシラバスの紹介をしましたが、これはほぼ要点のみを記述されていて、初心者の方にとってはイメージしにくい内容かと思います。また、この試験は原理原則にかかわる問題が出題されたり、用語の正しい理解が問われたりすることが多く、漠然とした理解のままだと実際の問題を解いたときに迷うことがあると思います。まずは3-1で紹介した「ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation」を徹底的に読み込んで具体例をもとに理解を深めていく作業が必要です。
4-2.問題集を1周解く
参考書熟読と並行して問題集をまずは一周解くこともおすすめです。参考書でのインプットと問題集でのアウトプットを繰り返すことにより、読んだだけでは気づけなかった理解不足の箇所の補強など、内容の早期定着が実現できます。
4-3.シラバス読み込みと問題演習を繰り返す
4-1と4-2で紹介した学習を進めていき、ある程度試験勉強に慣れてきたらシラバスを読んでみて要点の確認を始めてみると、シラバスの内容も比較的スムーズに理解できるかと思います。シラバスの読み込みと問題演習を何度も繰り返して、この内容は理解できていると自信がつくまで勉強してみてください。
4-4.試験当日は苦手分野のみ復習する
試験前日までに苦手単元などの「このあたりは再度確認したい」と思う内容をリストアップして、その内容のみ当日確認するようにすることが効率の良い最終確認かと思います。あとは実力を十分に発揮するために余計な疲れをためずに、なるべくよい体調で試験に臨んでください。
5.最後に
JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Levelについて解説しました。ソフトウェアテストはシステム開発において大変重要になり、その知識を身に付ける努力をすることはシステムエンジニアのキャリアにとって大きくプラスに働きます。テスト業務について学びたい方や、ソフトウェアテストの知識や技術について課題を感じている方は、ぜひこの資格にチャレンジしてください。
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