
情報処理安全確保支援士試験士試験とは?難易度や勉強方法ついて
情報処理安全確保支援士試験は独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する資格試験です。合格すれば情報セキュリティに関する高度な知識を保有している証明になり、就職や転職の際に大きくプラスになります。
この記事では「情報処理安全確保支援士試験って何?」ということから始めて、資格取得のメリットや合格のための勉強法について解説します。
目次
1.情報処理安全確保支援士試験士試験とは
情報処理安全確保支援士試験は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施している国家試験です。
1-1.試験概要
IPAが実施している試験は以下のとおりです。
IPAの試験区分
(※)IPA公式サイトから抜粋
情報処理安全確保支援士を含む下記9個の試験は、高度情報処理技術者試験として最高難易度のスキルレベル4に位置しています。
- ITストラテジスト試験
- システムアーキテクト試験
- プロジェクトマネージャ試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- データベーススペシャリスト試験
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験
- ITサービスマネージャ試験
- システム監査技術者試験
- 情報処理安全確保支援士試験
IPAによると、情報処理安全確保支援士試験の対象者は以下となっています。
「サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援し、また、サイバーセキュリティ対策の調査・分析・評価を行い、その結果に基づき必要な指導・助言を行う者」
このように情報処理安全確保支援士試験は、情報セキュリティの専門家であることを証明する国家試験であると言えます。
1-2.開催日
情報処理安全確保支援士試験の試験日は春季と秋季の2回あり、例年4月・10月です。第2日曜日または第3日曜日に行われます。
1-3.出題形式
出題形式は以下のとおりで、午前Ⅰ・午前Ⅱは選択問題です。午後は記述問題で総合的な問題が4問出題され、そのうち2問を選択して解答します。
出題形式・出題数
1-4.出題範囲
出題範囲は以下のとおりです。
・午前Ⅰ
応用情報技術者試験の午前問題と同じく以下になります。難易度も応用情報技術者試験と同じです。
午前Ⅰの出題範囲
なお同時間に開催される高度情報処理技術者試験の午前I試験はすべて同じ問題が出題されます。
・午前Ⅱ
情報セキュリティを中心にネットワーク、データベース、開発技術、サービスマネジメント、システム監査が含まれますが、重点分野のセキュリティとネットワークの出題比率の合計が80%を占めます。
1-5.一部試験免除について
情報処理安全確保支援士試験では、下記要件をクリアすることで午前Ⅰ試験を免除される制度があります。
午前Ⅰ試験免除の要件
1-6.登録セキスペ・更新制度
情報処理安全確保支援士試験に合格してIPAに登録手続きを行うことで、情報処理安全確保支援士(登録セキスペという)の国家資格を取得することができます。
登録方法は以下のとおりです。
セキスペ登録方法
2.資格取得のメリット
情報処理安全確保支援士試験に合格するには相当な勉強が必要ですが、資格取得のメリットは多くあります。メリットについて以下にまとめました。
2-1.士業として公的スキルの証明
情報処理安全確保支援士はIT系では初の士業となります。支援士として認定されるとロゴマークが名刺などで利用できるようになり、情報セキュリティに関するスペシャリストとして、公的にスキルを証明できます。
2-2.情報セキュリティ専門家の証明
情報処理安全確保支援士はIPAの高度情報処理技術者試験として最高難易度のスキルレベル4に位置しています。
合格者すれば情報セキュリティ対策に関する高度な専門知識と技能を有していることが認められ、組織における情報セキュリティ対策の企画・立案・実施・評価・改善などを行える人材として認められます。
2-3.会社によっては資格手当を貰える
IT企業にとって、高度情報処理試験の合格者が多いことは優秀な技術者が多く在籍していることの証明になるので、多数の企業が資格取得を奨励しています。
このため情報処理安全確保支援士など高度情報処理試験の合格者に毎月一定額の資格手当を支給している企業もあり、直接的な収入アップに繋がる可能性があります。
2-4.昇進に有利な場合がある
IT企業では在籍者を保有スキルごとにランク分けして、スキルを取得しないと昇進出来ないような人事制度を採用している場合があります。
情報処理安全確保支援士の資格を取得すれば情報セキュリティのスペシャリストとしてスキルを証明できるので、昇進・昇給が有利になる可能性が高くなります。
2-5.上流工程エンジニアへの近道になる
上流工程エンジニアには高度な業務知識や問題解決能力が求められます。
ハイレベルな資格を取得することで自身の能力を客観的に提示できるので、上流工程エンジニアになるための手段として高度情報処理試験の資格取得は非常に有効です。
3.合格のための勉強法
情報処理安全確保支援士試験に合格するために必要なことや、効率的な勉強方法について以下にまとめました。
3-1.まず参考書で基礎知識をつける
セキュリティ技術用語やサイバー攻撃手法など、情報セキュリティの分野の一定の基礎知識は絶対に必要です。勉強を始めるにあたりまずは包括的な参考書を購入して熟読する必要があります。
主な参考書を以下にまとめました。
主な参考書(※2024年版)
3-2.午前Ⅰ対策「免除制度を利用する」
午前Ⅰの試験範囲には2進数や論理演算、アルゴリズムなど時間をかけてしっかり勉強する必要がある分野が含まれます。しかしITEC社調べによると、令和6年春期試験の合午前Ⅰの免除者は54.7%で、半数以上の人が午前Ⅰ免除です。
応用情報技術者試験に合格すればその後2年間は午前Ⅰが免除になるので、応用情報技術者試験に合格したら次に安全確保支援士試験を受けて、免除制度が有効な間に合格することが一番効率的です。
3-3.午前Ⅱ対策「過去に出た問題を確実に正解する」
令和5年度春の午前Ⅱ試験では、全25問中20問がセキュリティ分野とネットワーク分野の問題で、それら20問中12問は過去問題がほぼそのまま出題されていました。
このように午前Ⅱ試験では過去問題が繰り返し出題される割合が高いため、過去問演習は非常に有効です。直近6回分程度の過去問演習を行うことで合格可能性が大きく上がります。
3-4.午後対策その1「頻出分野を重点的に勉強する」
ITEC社調べによると、令和6年春期試験の合格率は18.3%ですが、午前Ⅱの通過率は75.2%であり午前試験で落ちる人は少なく、午後試験をいかに突破するかが合格の分かれ目となっています。
午後問題には以下の2つ特徴があります。
①繰り返し出題されている分野がある
※OauthやSAML認証など認証方式、XSSやCSRFなど代表的攻撃手法など
②DNS、FWなどWebシステム関連の問題が多い
※特にHTTPヘッダを扱った内容
実際の過去問題の内容を以下にまとめました。
(※令和5年春までは午後Ⅰと午後Ⅱに分かれていた)
上記より午後問題で高得点を取るためには、OAuth・SAML認証・XSS・CSRFなどの頻出分野、および、DNS・FWなどWebシステム関連、特にHTTPヘッダの内容を重点的に勉強することが効果的です。
4.まとめ
情報処理安全確保支援士試験に合格するためには相当な勉強が必要ですが、合格すれば情報セキュリティの専門家としてのキャリアに進むことが出来ます。
今回解説した効果的な勉強法を参考にして、情報処理安全確保支援士試験合格を目指しましょう。
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