知識ゼロから1.5ヶ月でAWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイトに合格した方法
AWSは最大ユーザ数を誇るクラウドサービスで、その公式資格として、AWS認定資格制度が提供されています。
その中の「AWS 認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト(以下AWS SAA)」はAWS認定資格の中でも最もポピュラーな資格であり受験する方が非常に多いのが特徴です。
受験した体感としてはきちんと対策できれば決して難しくないですが、実務経験者でも対策しないで受験すると落ちる可能性があるなと思いました。
ですので、これから受験をしようと考えている方向けに、本記事ではAWS SAAに804点で合格できた対策方法や試験申し込みについてもご紹介したいと思います。
目次
1.AWS ソリューションアーキテクト アソシエイトとは
AWSのソリューションアーキテクト(以下SAA)とは、AWSで提供されているサービスを構成するコンピューティング・ネットワーキング・ストレージ・データベースの知識が必要になる資格になります。また、AWSで必要なデプロイや管理の他、安全性や信頼性を意識した構成能力も求められます。以下に試験情報についてまとめました。
1-1.試験概要
- 試験名:SAA-C03: AWS Certified Solutions Architect – Associate
- 試験日程:通年
- 試験方式:パソコンで実施するCBT方式の試験
- 試験時間:140分(アンケート含む)
- 問題数:65問(択一選択問題、複数選択問題)
- 合格点数:720/1000
- 試験内容の概要:
第 1 分野: セキュアなアーキテクチャの設計 30%
第 2 分野: 弾力性に優れたアーキテクチャの設計 26%
第 3 分野: 高性能アーキテクチャの設計 24%
第 4 分野: コストを最適化したアーキテクチャの設計 20% 合計 100%
1-2.想定されている難易度
AWS認定試験では、以下の認定レベルに応じて想定スキルを能力認定の基準として設定しています。今回執筆するAWS SAAはアソシエイトレベルの認定(中級)の難易度になります。
・基礎レベルの認定(初級) 基礎レベルでは、6ヶ月程度のAWS実務経験者を対象としており、AWS クラウドの主要サービスを理解していることを基準としています。AWSクラウドプラクティショナーがこのレベルに該当します。
・アソシエイトレベルの認定(中級) アソシエイトレベルでは、1年のAWS実務経験者を対象としています。今回ご紹介するAWS SAAはAWSを使用したシステムやベストプラクティスに基づいたソリューションズ設計の知識があることを基準としています。AWS技術者であれば是非取得しておきたいですね。
・プロフェッショナルレベルの認定(上級) プロフェッショナルレベルでは、2年のAWS実務経験者を対象としています。AWSサービス全般について最新サービスを網羅した設計を行う知識を基準としています。そのため、難易度は高めでしっかりとした対策やナレッジが必要になります。
・専門知識認定(上級) 専門知識認定では、対象分野のより深い知識が求められます。各専門知識分野に関するAWSクラウドでの2年の実務経験者を対象としています。難易度はプロフェッショナル認定同様に高めですがそれよりかは範囲が狭い試験が多く対策がしやすいレベルになります。
1-3.取得の3大メリット
取得するメリットとして転職の武器になることや勉強した証拠をアピールできるなど色々あると思いますが筆者が考える3大メリットが以下の3つになります。
①資格をセルフブランディングの材料にして、挑戦の機会を増やせる
資格は新たな挑戦権を得るための手段として代表的なものだと思います。筆者は資格勉強で得た知識と技術(実務)が合わさって初めて自分の技術資産になると考えていますので、挑戦権を得て実務を経験することがエンジニアとしてのバリューを大いに高められる可能性があると思っています。仮にAWS経験者の方が2人いたとして片方がAWS資格を持っていて、片方が持っていなかったとしたらどちらにAWSの業務の依頼や技術的な質問をするかは明白ではないでしょうか。
②AWSの全体像を構造的に学べる
専門知識以外のAWS資格試験は「広く浅く」の傾向がありますので場面によってサービスを使い分ける広い視点が身につきます。現場でも細かい制約があり足踏みする場面に直面した時にはその広い視点が役に立つ機会があるかもしれません。
③自信につながりモチベーションを上げられる
主観ですがこれが一番のメリットではないかと思います。AWS SAAに合格してAWSからお墨付きがもらったときに嬉しかったのはよく覚えています。達成感があり学習を終えることもできましたが合格したことで興味が広がり学習姿勢がさらに前のめりになれました。現在メイン業務はAzureですがAWSの学習習慣も引き続き行えています。
2.実践した勉強方法と使用教材
筆者は参考書やYouTubeでインプットを行い、後述のTechstockという問題集にて理解度を深めて試験に臨みました。具体的には参考書でインプット→Techstockでアウトプット→間違えた箇所や振り返りに参考書を用いて再びインプットといった流れになります。YouTubeはどうしても文字だけでは理解しにくい箇所やハンズオンなどの補助教材として利用していました。1日3〜4時間勉強していたのでトータル100時間程SAAの勉強に割きました。
その結果、SAA対策期間は4週間弱、AWSを学び始めてからは1ヶ月半でSAAに804点で合格できました。以下で勉強に用いた教材の紹介をします。
2-1.Techstock
Techstockは3ヶ月5480円(税抜)で11種のAWS認定試験(AWS SAP on AWS – Specialty(PAS)以外)に関する約5000問の問題が詳細な解説とともに提供されていて、数多くの受験者が利用しているコンテンツサイトになります。筆者はあくまでAWSの知見を得ることが目的でしたので何回も周回するより自分で、なぜこの選択肢が間違っていてなぜこの選択肢は正しいのかを言語化できるレベルになるまで解いていました。ですので、1回しか解かなかった問題もあれば何回も解いた問題もあります。解説が丁寧で関連するAWS公式ドキュメントのリンクも貼られており、リンク先もあわせて確認し理解を深めるのが理想的だと思います。
2-2.参考書
参考書は概要や機能を把握するインプットとして使用していました。筆者が読んで参考にしていたのは以下参考書ですが、現在は認定試験が改訂されており内容が以前のSAA -C02対応となっています。ですので、SAA-C03に対応している参考書を選ぶようにしましょう。
AWS認定資格試験テキスト AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト 改訂第2版
現行試験に対応している参考書の1つがこちらになります。
要点整理から攻略する 『AWS認定ソリューションアーキテクト–アソシエイト』
2-3.YouTube
YouTubeはどうしても文字だけでは理解しにくい箇所やハンズオンなどの補助的な教材として利用していました。くろかわこうへいさんが運営しているCloudTechチャンネルが有名です。この方はスライドや説明時の要点がよくまとまっているので現役エンジニアのフォロアーも多い印象があります。
CloudTech
3.申込み〜受験終了まで
3-1.申込み〜受験当日まで
2023年からピアソンVUEからのみ受験予約ができますので、ピアソンVUEで申し込む方法をご紹介します。
試験予約の方法(ピアソンVUEを想定)
- AWS 認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト にアクセス
- AWS認定ページ にサインイン
- サインイン後「受験資格がある試験」一覧から「AWS Certified Solutions Architect – Associate」を参照し「ピアソンVUE によるスケジュール」を押下
- ピアソンVUE のガイダンスに従って、予約完了すれば予約完了メールが届きます。
※予約変更やキャンセルの方法は予約完了メールに記載されているのでチェックするようにしましょう。
3-2.受験当日〜受験終了まで
受験当日は受験方法によって変わってくるため分けてご紹介します。
3-2-1.テストセンターで受験する場合
・当日
試験当日の持ち物として身分証明書が2点必要となるので持っていきましょう。また、試験会場には時間に余裕をもって、15分前には着くようにしましょう。署名や写真撮影などの手続きがあるためすぐには受験できません。開始時間ギリギリに到着するとテストセンターの職員に注意されるので気を付けておきましょう。
・終了時
ホワイトボードとペンを返却します。その後署名を記入してスコアレポートを受け取って終了になります。
3-2-2.オンラインで受験する場合
・当日
30分前には試験開始の準備を済ませましょう。理由としては自身で行うセットアップや監視官によるチェックに時間がかかる可能性があるからです。
・終了時
画面の試験終了ボタンを押せば監視官とコンタクトを取ることなく終了になります。
4.受験における注意点
受験する際に心得ておきたいポイントや注意点についてご紹介します。
4-1.試験における注意点
筆者が思う試験における注意点、問題の解き方などをご紹介します。
- 1問1分目安で解く
- 試験時間はたっぷり130分あるので、見直し含めて2周できるくらいの余力を残しておく
- 消去法で解くと残った選択肢に集中して考えられるのでおすすめです
- 迷う or 分からない問題には見直すフラグを立てておく。もしかしたらその後の問題でヒントになる文言が出てくるかもしれないです
- 日本語表現が怪しいと思ったら、英語に切り替えてみる
4-2.受験環境における注意点
試験の申し込みをする際にオンラインでの受験かテストセンターでの受験にするか決める必要があります。テストセンターでの受験と自宅(オンライン)での受験は制約や環境が大きく異なるため注意点として下の表にまとめます。環境的にはテストセンターでの受験がベストだと思いますが、「光」などの専用線をひいている場合であれば自宅での受験もありかなと思います。
テストセンター | 自宅 | |
試験中のお手洗い | 残り時間は止められないが許可されている。 | 離席が認められていない。離席したい時は試験終了となる。 |
目線 | 隣席を覗き込むような行為は許容されないが多少下を向いたり上を向くことは可能。 | パソコンから目線を外すとポリシー違反になり、チャットで画面の奥にいる監視官に注意される。繰り返すと強制的に試験終了になる恐れがある。筆者はアンケートを答えている時に下を向いて注意されました。 |
ネットワーク環境 | フリーズや動作が重くなることは基本的にない。 | Wi-Fi(70Mbpsくらい)だとかなり動作が重くクリックしてから画面遷移するまで2秒ほどタイムラグがある。 |
試験中のメモ | 試験開始時ホワイトボードとペンが渡される。そこでアーキテクチャやネットワーク設計の計算ができる。 試験終了時に回収となります。 | オンラインホワイトボードが使用できるがメモ量はネットワーク環境に大きく依存する。 |
試験中のマスク | 他の受験者もいるので必須な可能性があります。 | しなくても大丈夫です。 |
5.最後に
先日、知人のフロントエンジニアが十分な理解がないままCloudFrontやRoute53を設定しようとしていて頭を抱えていました。それを見て筆者はAWSやAzure などのパブリッククラウドが全エンジニア必須の知識になる時が来るのかもしれない、と思いました。そのパブリッククラウドの中でもAWSが第一線を走っているため、AWS認定資格の中でもポピュラーなAWS ソリューション アーキテクト アソシエイトの資格を取得することでエンジニアとしてのvalueを高め仕事の自由度や生産性を高めていける手段として是非活用していただけたらなと思います。本記事が皆様の参考になれば幸いです。
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