上級エンジニアを目指す方必携!応用情報技術者試験について徹底解説

上級エンジニアを目指す方必携!応用情報技術者試験について徹底解説

和田 康宏

和田 康宏

開発エンジニア/新卒6期/ボールド歴4年3ヶ月

応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位のレベルに位置付けられている資格試験です。基本情報技術者試験に合格した方を中心に、スキルアップやキャリアアップのために非常に多くのITエンジニアや学生が受験しています。資格取得の難易度は上がりますが、この資格を取得することにより、様々な分野の知識が定着して現場で活躍するエンジニアになれるので、とてもおすすめの資格です。筆者自身もこの資格の取得やその過程での勉強のおかげで、身に付けた知識を現場で応用して業務を遂行する力を伸ばせたと感じています。この記事では、応用情報技術者試験の受験を検討している方向けに、資格の概要や取得のメリット、勉強法を網羅的に解説します。


1.応用情報技術者試験の概要

まずは、応用情報技術者試験について、試験の方式やスケジュールといった概要を説明します。

1-1.応用情報技術者試験とは

応用情報技術者試験とは、情報処理推進機構(IPA)が主催しているIT分野の国家試験の1つです。IPAによると、対象者像を「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」と定義されており、この資格取得を通じてITに関する様々な分野において基礎知識だけでなく応用的な知識や技術の習得を目指す資格となっています。この資格を取得しているエンジニアは、基礎からワンランク上のスキルを身に付けていることの客観的な証明となり、未取得のエンジニアと比べて保有スキルに対する期待値がかなり上がることになります。

参考:https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/ap.html

1-2.試験方式

応用情報技術者試験は、午前試験と午後試験の2つがあります。午前試験は4肢択一式の選択問題を80問、マークシートに回答します。午後試験は分野ごとに長文形式の大問が11問出題され、問一の「情報セキュリティ」の分野は必須回答で、残り4問を自由選択します。回答は記述式です。

1-3.出題範囲

出題範囲について説明します。午前問題については、テクノロジー系、マネジメント系、ストラテジー系の分野から満遍なく出題されます。テクノロジー系とは、プログラミングやネットワーク、データベースなどのIT技術に関する知識、マネジメント系はプロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査といった管理系の知識、ストラテジー系は主に経営戦略や法務に関する知識です。IPAが掲載しているシラバスによると、下記のように非常に多岐にわたる分野が出題されます。

【テクノロジー系】

1.基礎理論
2.アルゴリズムとプログラミング
3.コンピュータ構成要素
4.システム構成要素
5.ソフトウェア
6.ハードウェア
7.ヒューマンインターフェイス
8.マルチメディア
9.データベース
10.ネットワーク
11.セキュリティ
12.システム開発技術
13.ソフトウェア開発管理技術

【マネジメント系】

14.プロジェクトマネジメント
15.サービスマネジメント
16.システム監査

【ストラテジー系】

17.システム戦略
18.システム企画
19.経営戦略マネジメント
20.技術戦略マネジメント
21.ビジネスインダストリ
22.企業活動
23.法務

午後問題の試験範囲は下記の範囲から11題出題されます。1-2試験方式で説明した通り、情報セキュリティについては必須です。

  1. 経営戦略に関すること
  2. 情報戦略に関すること
  3. 戦略立案・コンサルティングの技法に関すること
  4. システムアーキテクチャに関すること
  5. IT サービスマネジメントに関すること
  6. プロジェクトマネジメントに関すること
  7. ネットワークに関すること
  8. データベースに関すること
  9. 組込みシステム開発に関すること
  10. 情報システム開発に関すること
  11. プログラミングに関すること
  12. 情報セキュリティに関すること
  13. システム監査に関すること

それぞれの項目についての詳細な説明は省略するので、興味がある方はシラバスをご確認ください。

https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/t6hhco0000004yy7-att/youkou_ver5_2.pdf

1-4.試験のスケジュールと、申し込み方法

試験のスケジュールは春期(4)と秋期(10)の年2回実施と決まっています。申し込み方法は、申し込みサイト(https://cbt-s.com/examinee/examination/pbt_aki)にて自分のアカウントを作成し、申込期間内に申し込む必要があります。

1-5.難易度及び勉強時間、合格率

応用情報技術者試験の難易度について、ITスキル標準(ITSS)によると、スキルレベルの7段階中レベル3にあたり、基本情報技術者試験の1ランク上で、高度なIT人材のレベルとして位置付けられています(https://www.ssug.jp/docs/isv/isvmap30.pdf)。超難関の試験とまでは言えませんが、少なくとも基本的な知識を身に付けている程度では合格は難しいです。合格率は毎年20%程度と言われています。勉強時間については、自身の得意不得意やIT業界経験によって変わりますが、筆者の場合(文系出身で新卒4年目で取得)では1日2~3時間程度の勉強を3か月間ほど続けたので、約250時間は勉強に費やしていました。


2.応用情報技術者試験の資格取得のメリット

ここからは、応用情報技術者試験の資格取得のメリットについて解説します。様々なITの分野に関する概念の理解することが求められるので、Javaなどのプログラミング系の資格と比べて一見効果がわかりにくいと感じる方もいるかと思います。しかし、様々な技術の根本を支える概念をしっかり理解できているか、またそれについて資格取得を通じて客観的に証明できているかが、業務でのパフォーマンスやキャリアにも大きく影響を与えます。次に説明する資格取得のメリットを理解して、受験のモチベーションを上げていただけたらと思います。

2-1.より現場で活かせる知識が身に付く

応用情報技術者試験に合格するには、午前問題を通じて基本的な概念を理解するとともに、それについて午後問題を通じてどのように活用するかを判断できるようになることが求められます。これは、設計書や仕様書の作成、プログラム開発、テストなどの実際の現場業務で行う思考プロセスにとても似ています。従って、知識の活かし方や、それを自力で考えて導き出すための思考力が身に付くので、基礎知識を覚えているだけの人よりも現場で活かせる知識が身に付いている状態になることができます。

2-2.スキルの客観的な証明となり、就職や転職、異動などに有利となる

どの資格にも言えることですが、応用情報技術者試験はハイレベルな国家資格であり、それを取得していることは客観的な評価において大きな差別化につながりやすいです。すでにITエンジニアとして業務に従事している人ならわかるかと思いますが、どの現場で働いても多かれ少なかれその現場で必要な技術のキャッチアップには全員取り組みます。今の仕事に全力で取り組むことはキャリアアップのための大前提になりますが、加えて資格取得を通じて自己研鑽における成果を保有している人は、してない人に比べて高い評価につながり、望むキャリアを手に入れるうえでとても有利に働きます。

2-3.有効期限はないため、一度取得したら再受験不要

IT業界に存在する様々なベンダー資格には有効期限があることが多く、期限が切れる度に資格を取得しなおすケースがあるかと思いますが、応用情報技術者試験についてはそのような有効期限はありません。そのため、合格してから何年経っても再受験に向けて再び同じ内容を勉強しなおすことは不要で、次のステップに集中し続けることができます。


3.応用情報技術者試験に向けたおすすめの教材

ここまで読んでいただいて受験を目指したいと思った方向けに、勉強を始めるにあたっておすすめの教材を3つほど紹介します。

3-1.キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者

この教材は、応用情報技術者試験で出題される様々な分野についての説明を、筆者が知る限り一番細かく書かれており、読み込むことで基礎的な概念の理解につながります。しかも文字だけでなくイラストも交えた説明も多く記載されており、具体的な内容でありつつも直感的にわかりやすい構成になっています。過去問題を解きながらわからなかった箇所をこの教材を読み直して勉強することも有効です。

・キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者

https://www.amazon.co.jp/キタミ式イラストIT応用情報技術者令和05きたみりゅうじ/dp/4297131889/ref=asc_df_4297131889/?tag=jpgo-22&linkCode=df0&hvadid=622955539433&hvpos=&hvnetw=g&hvrand=9998562008890758863&hvpone=&hvptwo=&hvqmt=&hvdev=c&hvdvcmdl=&hvlocint=&hvlocphy=1009311&hvtargid=pla-1884997570946&psc=1&th=1&psc=1

3-2.応用情報技術者試験ドットコム

このサイトは、応用情報技術者試験の過去問題がすべて載っているWebサイトです。無料で閲覧可能で、「過去問道場」の機能を使えば表示された問題を解いて解説を読み込むという作業を無限に繰り返せます。表示される解説もわかりやすいので、電車の中でも午前問題の学習に有効活用することができます。

・応用情報技術者試験ドットコム

https://www.ap-siken.com/

3-3.応用情報技術者 午後問題の重点対策

こちらは、午後問題の対策に特化した教材です。出題内容や問題の解き方の説明、解答解説が非常に充実しており、内容理解が深まります。午後問題を解くには出題形式に対する慣れが必要ですが、この教材を解き進めればそれを身に付けることができます。

・応用情報技術者 午後問題の重点対策

https://www.amazon.co.jp/2023応用情報技術者午後問題の重点対策小口達夫/dp/4865752757/ref=pd_bxgy_img_sccl_1/357-1756910-9977957?pd_rd_w=k1PF0&content-id=amzn1.sym.bc57a5ab-9f02-4944-8c5c-9e1696e0d32c&pf_rd_p=bc57a5ab-9f02-4944-8c5c-9e1696e0d32c&pf_rd_r=FXKKFWX0QFD2V8Q3JBM2&pd_rd_wg=V9MTu&pd_rd_r=ccba787c-13ce-4039-8d82-4c91396c0e5a&pd_rd_i=4865752757&psc=1


4.応用情報技術者試験の勉強法(午前対策)

ここからは、応用情報技術者試験の午前問題の試験対策について解説します。午前問題の難易度は基本情報技術者試験と大きく差はありません。しかし、きっちりと理解度を上げていかないと合格することはなかなか難しいので、これから解説する内容をしっかり理解して学習に取り組んでいただければと思います。

4-1.分野ごとに満遍なく勉強する

午前問題に関しては、テクノロジー系の範囲が広いので必然的にテクノロジー系からの出題が多くなりますが、ピンポイントで特定の分野が突出して多く出題されるということは現状あまりないので、基本的には満遍なく勉強して理解度を上げるようにするのが望ましいです。そのうえで、自身の得意不得意に従ってどの分野に比重を置いて勉強するべきかを考えていきましょう。

4-2.丸暗記せず、しっかりと概念を理解する

午前問題は用語を覚えるだけで解ける問題もありますが、丸暗記はせずにしっかりと概念を理解するようにしましょう。そうでないと、午後問題でその用語に関する問題が出題されたら理解度が足りずに正解を導き出すことができなくなるからです。午前問題の内容をどれだけ理解しているかが午後問題の合否にもかかわるので、解説の熟読などを通して理解を深めるようにしましょう。

4-3.過去問題を徹底的に解く

午前問題においては、過去に出題された問題が試験本番でそのまま出題されるというケースが結構あります。従って、過去問題の徹底的な演習は試験対策として極めて有効なので、しっかりと演習を重ねて試験本番で確実に正解できるようにしましょう。繰り返しにはなりますが丸暗記は絶対にしないようにしてください。


5.応用情報技術者試験の勉強法(午後対策)

続いて、応用情報技術者試験の午後試験の対策について説明していきます。筆者の周りのエンジニアの中には、この午後試験をなかなか突破できずに不合格になってしまう方がとても多くいるので、少し気合を入れて学習に取り組むべき内容になります。しかし、しっかりと演習を重ねていけば必ず正答率を上げられるので、これから説明する内容を参考にして学習を進めていただければと思います。

5-1.勉強する分野はある程度絞る

既に述べた通り、午後問題は、「情報セキュリティ」の問題は必須選択ですので勉強も必然的にすることになりますが、それ以外は任意選択になりますので、全ての分野について勉強する必要はないです。むしろ、ある程度絞って勉強した方が効率的に学習を進められます。例えばですが、開発系のプロジェクトに従事しているかたは、「プログラミング」、「情報システム開発」、「組込みシステム開発」、インフラ系に従事している方であれば「ネットワーク」、「システムアーキテクチャ」、「データベース」あたりを優先して学習を進めたりするなど、自身が従事している業務や興味がある分野を重点的に学習して理解度を上げることがおすすめです。

5-2.過去問題を最低5年分は解く

午後問題は問題の形式に慣れているかがとても重要になってくるので、過去問題をできるだけ多く解いていくことがとても大切です。筆者の感覚的に、最低5年分は解かないとどの問題でも対応できるようにはなりにくいかと思います。慣れてくれば正答率も少しずつ上がっていくので、しっかりと演習を重ねていきましょう。

5-3.時間を測りながら問題を解く

午後問題の試験時間は150分間なので、1問あたり30分以内に解く必要があります。しかし、これがなかなか難しく、不合格になってしまった方の理由の1つに時間が足りなかったということが多く挙げられるので、常に時間を測りながら問題を解くようにしましょう。慣れてくれば、得意分野であれば20分前後で解けるようになるので、それを目安に学習に取り組むのがおすすめです。

5-4.納得するまで解説を熟読する

問題を解き終わったら、納得がいくまで問題を見直しながら解説を熟読する必要があります。見落としてはいけない問題文はどこかとか、求められている知識事項は何かとかを見極めるつもりで問題演習と解説の熟読を繰り返すことにより、少しずつ問題を解くことに慣れていきます。時間はかかりますが、着実に正答率を上げるためにもこれは丁寧に取り組んでいきましょう。

5-5.正答率が著しく低い場合は、午前問題を勉強し直す

問題を解いてみたら正答率が低く、難易度が高くて解説を読んでもよくわからないと感じる場合は、基礎の定着が甘い状態の可能性があります。そのような場合は、その分野の午前問題から勉強し直して再度基礎の定着を進めていきましょう。その際、基礎知識について自分で説明できるようになれば、午後問題も解きやすくなると思うので、意識して勉強に取り組んでみてください。


6.さいごに

今回は応用情報技術者試験について一通り解説しました。基礎知識のみでは合格は難しい試験であるため、難易度が高く感じることもあるかもしれませんが、この資格を取得出来たら自分の知識や思考力などを向上させて現場でのパフォーマンス向上につなげることができます。自分のスキルを伸ばしてキャリアを高めたい方はぜひチャレンジしてみてください。

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